|新しいページ|検索|ページ一覧|RSS|@ウィキご利用ガイド | 管理者にお問合せ
|ログイン|

[オデュッセイア/オデュッセイア01]の変更点

    

「オデュッセイア/オデュッセイア01」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

オデュッセイア/オデュッセイア01」の最新版変更点

追加された行はこの色になります。

削除された行はこの色になります。

 #center(){[[オデュッセイア]] … [[次へ>オデュッセイア/オデュッセイア02]]}
 
-第1歌  テレマコス、父の消息を求める旅を決意する
+第一歌  テレマコス、父の消息を求める旅を決意する
 
 >流浪の[[オデュッセウス]]を故郷[[イタケ]]に帰国させることが神々の集会で決まった。[[アテナ]]が賢者[[メンテス]]に扮してオデュッセウスの屋敷を訪ねると、彼の妻[[ペネロペ]]への求婚者たちが宴会に興じて屋敷の財産を食いつぶしていた。アテナは[[テレマコス]]に、集会を開催して求婚者の悪行を訴えることと、父の消息を尋ねて旅することを勧めた。テレマコスは求婚者たちに、明朝集会を開催して彼らを糾弾することを宣言した。
 
 
 *内容
-''神々の集会が開かれ、オデュッセウスの帰国が決まる'' さて、[[オデュッセウス]]は帰郷を望んでいたが、彼を愛する女神[[カリュプソ]]の洞窟に引き止められていた。ある時、ポセイドンが留守の間に、神々は[[ゼウス]]の屋敷で集会を開いた。ゼウスはいった。「人間どもは非道な行いによって自ら苦難を招くものだ。このたび、[[アイギストス]]が[[アガメムノン]]を殺したように」[[アテナ]]はいった。「父君よ、[[オデュッセウス]]はその男とは違います。望郷する彼を憐れむ気は起こりませぬか」ゼウスは答えた。「娘よ、[[ポセイドン]]が盲目にされた[[キュクロプス]]のことで彼に腹を立てているのだ。彼を国許へ帰らせる良い手段はないものか」アテナは言った。「では[[ヘルメス]]を[[オギュギエ]]へ遣わし、オデュッセウスを帰国させるよう、かのニンフに伝えましょう。私はこれから[[イタカ]]へ出向き彼の息子を励ましてやり、父親の消息を求めて、[[スパルタ]]と[[ピュロス]]へ行かせるつもりです」
+''神々の集会が開かれ、オデュッセウスの帰国が決まる'' さて、[[オデュッセウス]]は帰郷を望んでいたが、彼を愛する女神[[カリュプソ]]の洞窟に引き止められていた。ある時、ポセイドンが留守の間に、神々は[[ゼウス]]の屋敷で集会を開いた。ゼウスは、
+#divclass(ss01){
+「人間どもは非道な行いによって自ら苦難を招くものだ。このたび、[[アイギストス]]が[[アガメムノン]]を殺したように」
+}
+といった。[[アテナ]]は、
+#divclass(ss02){
+「父君よ、[[オデュッセウス]]はその男とは違います。望郷の念に苦しむ彼を憐れと思いませぬか」
+}
+といった。ゼウスは、
+#divclass(ss01){
+「娘よ、[[ポセイドン]]が盲目にされた[[キュクロプス]]のことで彼に腹を立てているのだ。彼を国許へ帰らせる良い手段はないものか」
+}
+と答えた。アテナはいった。
+#divclass(ss02){
+「では[[ヘルメス]]を[[オギュギエ]]へ遣わし、オデュッセウスを帰国させるよう、かのニンフに伝えましょう。私はこれから[[イタカ]]へ出向き彼の息子を励ましてやり、父親の消息を求めて、[[スパルタ]]と[[ピュロス]]へ行かせるつもりです」
+}
 
-''アテナ、オデュッセウスの屋敷を訪れる''  [[アテナ]]は[[タポス]]王[[メンテス]]の姿に変身し、[[イタカ]]の[[オデュッセウス]]の屋敷を訪れた。屋敷の前では、驕慢な求婚者たちが肉を喰らい遊びに興じていた。[[テレマコス]]は女神に気づいて、すぐに屋敷の中に案内した。彼は客に食事と酒を与えて、その素性をたずねた。アテナはいった。「私は[[メンテス]]と申す者で、[[タポス人]]を治めています。青銅を求めて船でテメセ&footnote(テメセ(Temesa)は南イタリア、ブルッティウム地方の町とも、キュプロス島の地名ともいうが、詳しいことはわからない。)に向かっています。お父上とは先祖代々から懇意の間柄です。ところで、ここで傍若無人に飲食している連中は一体何者なのです」テレマコスはいった。「[[トロイア]]に赴いた父が行方不明になってしまうと、付近の島の領主たちが母の求婚に押し寄せて来て、我らの家財を食いつぶし始めたのです。母は嫌な結婚を拒みもせず、受けもしません。やがて彼らは財産を食い尽し、私を八つ裂きにするでしょう」
+''アテナ、オデュッセウスの屋敷を訪れる''  [[アテナ]]は[[タポス]]王[[メンテス]]の姿に変身し、[[イタカ]]の[[オデュッセウス]]の屋敷を訪れた。屋敷の前では、驕慢な求婚者たちが肉を喰らい遊びに興じていた。[[テレマコス]]は門前の客に気づいて、すぐに屋敷の中に案内した。彼は客に食事と酒を与えて、その素性をたずねた。アテナは、
+#divclass(ss02){
+「私は[[メンテス]]と申す者で、[[タポス人]]を治めています。青銅を求めて船でテメセ&footnote(テメセ(Temesa)は南イタリア、ブルッティウム地方の町とも、キュプロス島の地名ともいうが、詳しいことはわからない。)に向かっています。お父上とは先祖代々から懇意の間柄です。ところで、ここで傍若無人に飲食している連中は一体何者なのです''」''
+}
+といった。テレマコスはいった。
+#divclass(ss03){
+「[[トロイア]]に赴いた父が行方不明になってしまうと、付近の島の領主たちが母の求婚に押し寄せて来て、我らの家財を食いつぶし始めたのです。母は嫌な結婚を拒みもせず、受けもしません。やがて彼らは財産を食い尽し、私を八つ裂きにするでしょう」
+}
 
-''アテナ、テレマコスに助言をする''  [[アテナ]]は憤然としていった。「なんということだ。あなたのお父上さえおられればなあ。ともあれ、今は求婚者を追い払うことが先決です。私の言うことを良くききなさい。明日[[アカイア]]人の集会を開き、そこで求婚者たちに各自の所領に引き上げるよう求めなさい。それから、あなたは船を出して、お父上の消息を尋ねに出かけるのです。まず[[ピュロス]]へ行き[[ネストル]]を、次に[[スパルタ]]へ行き[[メネラオス]]を訪ねなさい。お父上が存命と分かれば、あと一年は辛抱できるでしょう。その後は、求婚者どもを討ち果たす手立てを考えるのです。あなたはもう一人前だ、勇気をお出しなさい。では、私はもう船へ帰ります」アテナはその場を去ったが、[[テレマコス]]の胸に勇気を打ち込んだ。
+''アテナ、テレマコスに助言をする''  [[アテナ]]は憤然としていった。
+#divclass(ss02){
+「なんということだ。あなたのお父上さえおられればなあ。ともあれ、今は求婚者を追い払うことが先決でしょう。私の言うことを良くききなさい。明日[[アカイア]]人の集会を開き、そこで求婚者たちに各自の所領に引き上げるよう求めなさい。それから、あなたは船を出して、お父上の消息を尋ねに出かけるのです。まず[[ピュロス]]へ行き[[ネストル]]を、次に[[スパルタ]]へ行き[[メネラオス]]を訪ねなさい。お父上が存命と分かれば、あと一年は辛抱できるでしょう。その後は、求婚者どもを討ち果たす手立てを考えるのです。あなたはもう一人前だ、勇気をお出しなさい。では、私はもう船へ帰ります」
+}
+アテナはその場を去ったが、[[テレマコス]]の胸に勇気を打ち込んだ。
 
-''テレマコス、ペネロペをさとす'' その時、楽人[[ペミオス]]が求婚者のために[[トロイア]]からの帰国物語を歌っていた。階上で[[ペネロペ]]はその歌を耳にすると、部屋から二人の侍女を随えて出てきて、広間に降りてくると、「ペミオスよ、その歌だけはやめておくれ。それを聞くと立派なあの人のことが思い出されて悲しい」といった。[[テレマコス]]は母に向かっていった。「母上、楽人が人を楽しませているのに何がご不満ですか。聴く者に一番耳新しく響く歌こそ、最も世の喝采を博するのです。母上も気持ちをしっかりと持ち、辛抱してお聞きにならねばなりません。さあ、今は部屋に戻ってください」妃はあっけにとられた心持ちで自分の部屋に戻ると、しばらく夫を想って泣いていたが、やがて眠りについた。
+''テレマコス、ペネロペをさとす'' その時、楽人[[ペミオス]]が求婚者のために[[トロイア]]からの帰国物語を歌っていた。階上で[[ペネロペ]]はその歌を耳にすると、部屋から二人の侍女を随えて出てきて、広間に降りてくると、
+#divclass(ss04){
+「ペミオスよ、その歌だけはやめておくれ。それを聞くと立派なあの人のことが思い出されて悲しい」
+}
+といった。[[テレマコス]]は母に向かっていった。
+#divclass(ss03){
+「母上、楽人が人を楽しませているのに何がご不満ですか。聴く者に一番耳新しく響く歌こそ、最も世の喝采を博するのです。母上も気持ちをしっかりと持ち、辛抱してお聞きにならねばなりません。さあ、今は部屋に戻ってください」
+}
+妃はあっけにとられた心持ちで自分の部屋に戻ると、しばらく夫を想って泣いていたが、やがて眠りについた。
 
 #center(){&ref(phemius_Singing_to_the_Suitors.jpg,画像/求婚者に歌うペミオス,width=200)
 ([[画像/求婚者に歌うペミオス]])}
 
-''テレマコス、求婚者に立ち向かう'' [[テレマコス]]は求婚者らに向かって、「一同よ、明日の朝、私は集会を広場で催し、そなたらにこの屋敷から退散するよう、きっぱりと申し渡すつもりだ。これからは、この屋敷での宴会も禁ずる。従わないなら、この屋敷で死んでもらうことになるだろう」と言った。全員テレマコスの大胆な発言に肝をつぶした。[[アンティノオス]]は、「なんという大胆な物言いだ。[[ゼウス]]がそなたを[[イタカ]]の領主になさらぬように祈るぞ」といった。テレマコスはそれに答えて、「イタカの領主には、豪族たちの誰かがその地位につくのだろう。しかし、この屋敷はずっと私のものだ」といった。すると[[エウリュマコス]]がいった。「そなたの財産を奪うような男が出ねばよいがな。ところで、先ほどの客人は何者なのか」テレマコスは、「あの客人は[[タポス]]王で、[[メンテス]]と名のっていた」と答えた。
+''テレマコス、求婚者に立ち向かう'' [[テレマコス]]は求婚者らに向かって、
+#divclass(ss03){
+「一同よ、明日の朝、私は集会を広場で催し、そなたらにこの屋敷から退散するよう、きっぱりと申し渡すつもりだ。これからは、この屋敷での宴会も禁ずる。従わないなら、この屋敷で死んでもらうことになるだろう」
+}
+と言った。全員テレマコスの大胆な発言に肝をつぶした。[[アンティノオス]]は、
+#divclass(ss05){
+「なんという大胆で思い上がった発言だ。[[ゼウス]]がそなたを[[イタカ]]の領主になさらぬように祈るぞ」
+}
+といった。テレマコスはそれに答えて、
+#divclass(ss03){
+「イタカの領主には、豪族たちの誰かがその地位につくのだろう。しかし、この屋敷はずっと私のものだ」
+}
+といった。すると[[エウリュマコス]]がいった。
+#divclass(ss06){
+「そなたの財産を奪うような男が出ねばよいがな。ところで、先ほどの客人は何者なのか」
+}
+テレマコスは答えた。
+#divclass(ss03){
+「あの客人は[[タポス]]王で、[[メンテス]]と名のっていた」
+}
 
 ''テレマコス、就寝する'' それから求婚者たちは夕暮れまで宴に興じた後、各自家路についた。[[テレマコス]]が寝室に向かうと、老女[[エウリュクレイア]]が松明で足元を照らした。この老女は数ある侍女の中でも、テレマコスを最もいとおしんでおり、幼い頃の彼を養育したのもこの女だった。テレマコスは寝台に横たわって、夜もすがら、[[アテナ]]のいった旅のことを思いめぐらしていた。
 
 
 *関連
 **人名
 |[[ムーサ]]|詩、文芸の神|
 |[[ヘリオス]]|太陽の神|
 |BGCOLOR(#f8d0d0):[[ゼウス]]|主神。[[クロノス]]の子。[[オデュッセウス]]を帰国させることを決める|
 |[[カリュプソ]]|[[アトラス]]の娘。[[オデュッセウス]]を夫にと望んでいる女神|
 |[[ポセイドン]]|[[キュクロプス]]の目を潰した[[オデュッセウス]]に腹を立てている|
 |[[アガメムノン]]|[[トロイア戦争]]でのギリシャ勢の大将|
 |[[オレステス]]|[[アガメムノン]]の息子。父の仇[[アイギストス]]を殺害する|
 |[[アイギストス]]|[[アガメムノン]]を謀殺する|
 |[[ヘルメス]]|[[ゼウス]]の命により、[[カリュプソ]]の許へ遣わされる|
 |BGCOLOR(#f8d0d0):[[アテナ]]|[[オデュッセウス]]に同情的。[[イタカ]]へ行き[[テレマコス]]を励ます|
 |BGCOLOR(#f8d0d0):[[オデュッセウス]]|[[イタカ]]の王。[[ラエルテス]]の子。[[トロイア戦争]]の英雄。今は放浪の身|
 |[[ポリュペモス]]|[[ポセイドン]]の子。[[オデュッセウス]]に盲目にされた[[キュクロプス]]|
-|[[トオサ]]|ニンフ。海神[[ポルキュス]]の娘。[[ポセイドン]]と交わって[[ポリュペモス]]を生んだ|
+|[[ポルキュス]]|[[トオサ]]の父。「海の翁」と呼ばれる海神|
+|[[トオサ]]|ニンフ。[[ポセイドン]]と交わって[[ポリュペモス]]を生んだ|
 |[[アルゴス>アルゴス]]|百の目をもつ怪物。「アルゴス殺し」は[[ヘルメス]]の枕詞|
 |BGCOLOR(#f8d0d0):[[テレマコス]]|[[オデュッセウス]]の息子|
 |BGCOLOR(#f8d0d0):[[ペネロペ]]|[[オデュッセウス]]の妻。[[イカリオス]]の娘|
 |BGCOLOR(#f8d0d0):[[メンテス]]|[[タポス]]の王。アンキアロスの子。[[アテナ]]が人間に扮するのに姿を借りた|
 |[[イロス]]|メルメロスの子。[[オデュッセウス]]が毒を求めて訪れた人物|
 |BGCOLOR(#f8d0d0):[[アンティノオス]]|求婚者のリーダー格。エウペイテスの子|
 |BGCOLOR(#f8d0d0):[[エウリュマコス]]|求婚者のリーダー格。エウリュマコスの子|
 |BGCOLOR(#f8d0d0):[[ペミオス]]|楽人。宴でアカイア勢の[[トロイア]]からの帰国の物語を歌う|
 |BGCOLOR(#f8d0d0):[[エウリュクレイア]]|屋敷の侍女。ペイセノルの子オプスの娘。[[テレマコス]]を養育した乳母|
 
 **地名
-|BGCOLOR(#f8d0d0):[[イタカ]]|[[オデュッセウス]]の故郷|
+|BGCOLOR(#f8d0d0):[[イタケ]]|[[オデュッセウス]]の故郷|
 |[[オギュギア]]|[[カリュプソ]]の住む島|
 |BGCOLOR(#f8d0d0):[[オリュンポス]]|神々の住みか|
 |[[トロイア]]|西アジアの都市。[[トロイア戦争]]の舞台|
 |[[ピュロス]]|[[ネストル]]王の領地|
 |[[スパルタ]]|[[メネラオス]]王の領地|
 |[[タポス]]|ギリシャ北西の島。[[メンテス]]王の領地|
 |テメセ|南イタリアの都市|
 |ドゥリキオン|[[イタカ]]近辺の島|
 |サメ|[[イタカ]]近辺の島|
 |ザキュントス|[[イタカ]]近辺の島|
 |エピュレ|[[オデュッセウス]]が毒を求めて訪れた[[イロス]]のいた町|
 
 
 #center(){[[オデュッセイア]] … [[次へ>オデュッセイア/オデュッセイア02]]}