官と民の温度差 -G8 北海道洞爺湖サミット


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2008年7月7日~9日の三日間にかけて行われた北海道洞爺湖サミット。サミットは全世界において生じている諸問題に関して、世界的に影響力がある首脳国のトップ同士が会談し、その解決方法について議論する場所。そう私は教えられてきました。しかし、実際の所はどうなのでしょうか。その点について今回は特に環境問題の取り扱いに焦点を当てて見ていきましょう。

サミットで話し合われるべき内容と、話し合われた内容

まずは公式ウェブサイトより、サミットのテーマに関する記述を見てみましょう。


●地球環境問題でイニシアティブを発揮、特に2013年以降の次期枠組みに関する国連での議論を後押し。また、森林、生物多様性等の環境問題も取り上げる。
我が国は、次期枠組み構築に際し、(1)途上国を含む主要排出国が全て参加すること、(2)柔軟且つ多様性があること、(3)省エネなどの技術を活かし、環境保全と経済発展とを両立することを重視。

この文章から、皆さんは何を感じ取るでしょうか。首脳たちがまじめに話し合ってくれそうだ?それとも、今後の環境問題に関する有効な解決方法が提示されそう?私はそうは思いません。このテーマに関する記述を見て、とうてい具体的な内容を話そうという気は全くないだろう、と私は感じました。理由は簡単です。詳細な取り決めができるような項目が何一つとしてないからです。確かに2013年、という具体的な数字は一つ出ていますが、これはあくまで"議論の後押し"をするためのもの。つまり、当人たちが議論する、ということではないのです。ただ、議論の形を作るだけです。実際に具体的な内容が議論されていれば話は別ですが、この事に関してはまた後ほど。
また、同様にして他の項目も非常に抽象的な単語が多く目立ちます。途上国を含む主要排出国、といってもどの程度の排出量を超えれば主要国として分類されるのかも不透明ですし、柔軟かつ多様性、などは個々の問題として話し合えるような内容ではありません。さらに、次の項目もあくまで重視であり、実施ではないわけです。努力目標でしかないわけですから、場合によっては致し方ない、というニュアンスも含んでいることになります。これでは、排出量削減のためだから多少他に影響が及んでも仕方ない…などという発言をされてしまいかねないわけです。これでは環境問題の解決には何ら結び付きません。
このように、話し合うテーマだけを取り上げてみてもろくに具体例が決まるような内容がないわけです。まあ、非常に多くの数の人間のトップに立つ人たちの会議ですから、そう簡単に具体的な方法や数字が決まってしまってもどうかとは思いますが、ここまで抽象的なのもいささかどうかと思われます。

それでは、実際に話し合われた内容はどうだったでしょうか。


2050年までに世界全体の排出の少なくとも50%削減を達成する目標というビジョンを、UNFCCCの全締約国と共有し、かつ、この目標をUNFCCCの下での交渉において、これら諸国と共に検討し、採択することを求める。
セクター別アプローチは、各国の排出削減目標を達成する上で、とりわけ有益な手法。また、エネルギー効率を向上し温室効果ガスを削減する有用な手法。
2009年末までに交渉される国際合意において拘束される形で、全ての主要経済国が意味ある緩和行動をコミットすることが必要。
エネルギー効率に関する中期的な、展望としての目標の設定の重要性を認識。「エネルギー効率に関する協力のための国際パートナーシップ」を設立するという決定を歓迎。
クリーン・エネルギーを推進。再生可能エネルギーの重要性を認識。持続可能なバイオ燃料の生産と使用の重要性を強調。
(一部抜粋)

お分かりいただけるでしょうか。何一つとして決まったことはないのです。求める、認識、歓迎、強調…。なんら積極的に動こう、という意思が見られる単語が見当たらないのです。それも当然、各国の首脳は世界規模の環境問題よりも個々の国が抱えている経済発展や治安、テロ等の問題の方が気になって環境問題は二の次三の次という発想になってしまっているからです。確かに、自国の政治をしっかりと行うことも重要ではあります。ですが、主要国の首脳ともあろう人物が、自国のことしか考えられないようであれば正直役不足である、と私は思っています。なかなかそういった人格者が現れるとは限らないとは思いますが、やはり、人々のトップに立つ者、それなりに広い視野を持っているようでなければ役目は務まらない、と私は思っています。

官と民の温度差

このように、首脳ですら環境問題を一番とは考えていないわけですから、その下で働いている政治家達もそんなことはお構いなしなわけです。何よりもまず、自分の地元の政治をよくしていこう、と考える人がほとんどだと思います。その一方で、なんら政治とはかかわりを持っていない普通の人々は、署名運動、デモ行進、地域清掃等の活動を通じて、環境問題に対して非常に高い関心を持っているという事が出来ると思います。そういう人が今回のサミットで話し合われた内容をみたらどう思うでしょうか。そして、はたして今回のサミットが評価できるものであった、と言えるでしょうか。そして何より、事実として強い権力を持っているのは官です。官が動かなければ、民が動くことは難しくなっています。政治家とは、地域住民の声を代弁するための存在。もっと政治家たちは、市民たちの考えをよくくみ取り、その声を上へと反映させるべくもっと努力をするべきなのでは、と考えさせられてしまいます。