【第1譜】



実は亀井さんと当たるということは全く想定しておらず、
カードが決まる直前まで先後どちらでも横歩取りを指すつもりでいた。
そういう事情があり初手に時間を使ったが、結局3手目に▲6六歩として振り飛車を志向。
対する△3三角で互いに向かい飛車に収まる相振り飛車となった。

いい機会なので相振り飛車という戦型について少し触れておきたい。
相振り飛車の解説というものに出会う機会が少ないのではないかと以前から思っていたからだ。
(長いので折りたたみました)

+ ...
相振り飛車は居飛車の左右反転と言われることも少なからずあるが、これは大きな誤り。
敢えて最も感覚が近い戦型を挙げるとすれば角換わり腰掛け銀だが、
相矢倉などは感覚的に大きく離れているというのが私の感想だ。

構造的に大きなポイントは

  • 飛車の位置を選択できる
  • 囲いを選択できる

の2点。これらに関して居飛車の将棋よりも自由度がはるかに大きい。
3筋7筋に飛車が居ることは相矢倉の森下システムぐらいでしか見かけることはなく、
最初から穴熊に組みに行くこともまずありえないことからもお分かりいただけると思う。

飛車の位置が自由であるとは言っても、現れる組み合わせは
▲向かい△三間、▲向かい△向かい、▲三間△三間
が殆どで、他は▲中飛車△三間が少しあるぐらい。基本的に四間、中飛車あまり出現しない。
これは向かい飛車がバランスに、三間飛車が出足の早さに優れているのに対し
四間飛車は攻撃力が劣り、中飛車は左金の活用が難しく、
攻める場所が玉から遠いという欠点があるため。

ただし相手の駒組みを見て飛車を振り直すということは頻繁に行われる。
典型的な例が相手の矢倉囲いを見ての矢倉崩しへの組み換え。



こうなれば四間飛車の形が活きてくる。
このように攻めの形を柔軟に築きやすいのも相振り飛車の特徴である。

居飛車系の将棋に慣れてしまうと奇異に写る戦型ではあるが、
攻めの形を作りやすいので、少し慣れれば溶け込み易い戦型だと思う。
将棋そのものの自由度があり個々人の特色の出しやすい戦型なので、
指したことの無い方は是非とも一度挑戦してみて欲しい。

さて本譜。早めの▲5六銀~▲6五歩は趣向。
「鈴木大介の将棋 相振り飛車編」に取り上げられている駒組みだ。
「角道を通したまま向かい飛車にする」という4手目△3三角の主張を消している。
また、それらの手を生かして四間飛車にするのも自然な運びだろう。
直後に△5三銀とされて歩を切ることが出来ないが、向かい飛車にするのもバランスが悪い。
よって駒組みを一旦落ち着け、将来的に参考図のような形を目指す方が優るのではないか。
飛者の働きが薄くやや攻め味に欠けるが、角の睨みが大きく端攻めの狙いもあり、
やりがいのある局面だと私は思っている。



対して△2五歩~△2四角とするのも向かい飛車ではよく見られる活用。
△3三桂~△4二飛とするのが一般的でそうするものだと思っていたが、
指されたのは△3五歩だった。

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最終更新:2011年01月07日 00:26