系譜
解説
- オデュッセウスの帰国後、夫との間に息子ポリポルテスを産んだ。
- テレゴニア(叙事詩の環の一つ)によると、オデュッセウスの死後、彼女はテレゴノスと結婚し、イタロスをもうけた。彼女とテレマコスは、オデュッセウスの死体をキルケの島に持っていったが、そのときテレマコスはキルケと結婚した。
- 語源について。彼女の名はギリシャ語のアヒルの発音と近い。だが普通は、くもの巣ないし横糸の意味の単語(πηνη)と、目ないし顔の意味の単語(ωψ)の組合わせと考えられている。謎めいた考えを持つ狡猾なはた織りの役割にはふさわしい。現代では、彼女の名は貞節と関連付けられるようになった。
オデュッセイアでのエピソード
- 楽人ペミオスの歌を止めようとする。その歌が不在の夫を思い出させ、辛いからだった。テレマコスは彼女をたしなめ、部屋に追い返す。(第1歌)
- テレマコスが旅に出ていることと、求婚者によるテレマコス暗殺の企みを、伝令使メドンから知らされる。彼女は悲しんだ。(第4歌)
- テレマコス暗殺を企んだ求婚者たちを責める。(第16歌)
- 無事旅から帰還した息子に会い、夫の消息を聞く。(第17歌)
- 美しく装って求婚者の前に姿を現し、彼らから贈物をうける。(第18歌)
- 乞食姿のオデュッセウスと会って、話をする。(第19歌)
- 夫そっくりの男が自分の横で寝ているという夢を見る。(第20歌)
- 弓の競技会を開催する。(第21歌)
- 正体を明かしたオデュッセウスと再会する。(第23歌)
エピソード
求婚者たちを織物であざむく オデュッセウスが戦争に出征して以来、何人もの王侯がペネロペに求婚するため屋敷に押しかけた。彼女は嫌な求婚をかわすために策略を考えた。オデュッセウスの老父ラエルテスの葬儀の衣装を織るのが仕上がったら再婚すると、求婚者たちに宣言した。彼女は毎日、衣装を縫ってはほどいて、求婚者を三年間あざむいた。彼女の侍女がその計略を求婚者に暴露したので計略は終わった。
弓の腕競べを開催する ペネロペは屋敷で弓の腕競べを開催した。オデュッセウスの弓を用いて、十二の斧を射通した者と結婚することを宣言した。求婚者たちは試みたが、誰も弓に弦を張ることができなかった。乞食に扮して屋敷に入っていたオデュッセウスは弓を試みようと前に出た。テレマコスはそこでペネロペを寝室に下がらせた。オデュッセウスは弓を張って見事に的を射抜くと、それをきっかけに求婚者たちに正体を明かし、彼らと戦って全員を討ち果たした。
夫と再会する ペネロペが寝室で寝ていると、侍女エウリュクレイアに起こされ、オデュッセウスが帰ってきて求婚者たちを討ち果たしたことを聞かされた。彼女はそれを信じようとしなかった。彼女はエウリュクレイアにベッドを運ぶように命じてオデュッセウスをテストした。彼はそれは無理だと断言した。ベッドは彼が作ったものであり、足の一本は地面から生えたオリーブの木だと知っていたからである。これは夫婦二人の間の秘密だった。その答えを聞いて、ペネロペはついに彼を本当の夫だと受け入れた。
テレゴノスと結婚する 後にオデュッセウスとキルケの子テレゴノスが、父に会いにイタカへやってきたが、誤ってオデュッセウスを殺してしまった。テレゴノスはキルケの住むアイアイエ島にテレマコスとペネロペを連れていった。そこでテレゴノスはペネロペと、テレマコスはキルケと結婚した。