第14歌 オデュッセウス、豚飼エウマイオスに会う
内容
オデュッセウス豚飼を訪ねる オデュッセウスは豚飼エウマイオスを訪ねた。彼はオデュッセウスの下僕の中でも特に忠実に資産を守っていた者であった。エウマイオスは乞食姿のオデュッセウスを仔豚の肉と酒でもてなし、無礼な求婚者への愚痴をこぼした。彼は主人を慕っていたが、その生存はすでに絶望視していた。食事が済むとオデュッセウスはエウマイオスを励まし、自身の作り話の遍歴を語り始めた。
オデュッセウス嘘の遍歴を語る 「わしはクレタのカストルの庶子だ。わしは畑仕事よりも戦争を好み、異国を攻め莫大な戦利品を得たので家はたちまち富んだ。あの忌わしいトロイア戦争がおこったとき、イドメネウスとわしはイリアスへ行くよう求められた。それを拒む手立てはなかった。十年目にトロイアを陥し、帰国したのもつかの間、すぐにアイギュプトスに船出することになった。アイギュプトスに着くと部下たちは衝動に負けて、その土地で略奪をした。すぐにアイギュプトス人の襲撃を受けて、我らは打ち負かされた。わしが兜を外して王の膝に縋ると、王は憐れみ助けてくれた。」
オデュッセウス嘘の遍歴を語る2 「わしはその地に七年間滞在した後、さるフェニキア人のいかさま師によって、リビアへいく船に乗せられたが、彼はその地でわしを売る算段であった。ところが船は嵐にあって乗員はみな転落し、わしは帆柱にしがみついてテスプロトイ人の国に着いた。わしはそこの王に助けられたが、そこでオデュッセウスの噂を聞いた。彼はその地からドドネに神意を伺いに行ったという。わしはドゥリキオンに向かう船に乗せてもらったが、船乗りたちはわしの服を剥いで、ぼろを着せた。船がイタカに着いた時、わしは彼らから逃げ出し、ここへ着いた。」
豚飼たちと食事をする エウマイオスはその話に非常に感銘は受けたものの、オデュッセウスが生きているという話だけは信じようとしなかった。彼は以前にも放浪者に騙されたことがあったのだ。そのうち豚飼の仲間たちが帰ってきた。彼は豚を一頭つぶすよう命じ、皆で食事をとった。
トロイア戦争の思い出話をする 夜になってオデュッセウスはトロイア戦争の思い出話をした。「わしはオデュッセウスとメネラオスと共に伏勢を組んで城下で身を潜めていた。夜になって雪が降り始め、薄着だったわしは寒さで凍えていた。ついにオデュッセウスに相談した所、彼は理由をつけて伝令トアスを本陣に送り、わしはトアスの置いて行った上衣で寒さをしのげた。あの頃の力が今のわしにあれば、誰か上衣を恵んでくれようものを」
豚飼の小屋で眠る オデュッセウスはエウマイオスの心を試すべくこのようなことを言ったが、果たしてエウマイオスはその夜の寒さをしのぐ上衣を貸し与えた。こうしてオデュッセウスと他の若者たちはその小屋で眠ったが、エウマイオスは豚の近くで眠るため外に出て行った。
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