オデュッセイアを読む@wiki
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オデュッセイアを読む@wiki
ja
2012-05-06T15:36:21+09:00
1336286181
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画像/トロイの木馬
https://w.atwiki.jp/diktaion/pages/141.html
&ref(TrojanHorseMythImage.jpg)
19th century etching of the Trojan Horse
出典:[[Image:TrojanHorseMythImage.jpg - Wikipedia, the free encyclopedia>http://en.wikipedia.org/wiki/Image:TrojanHorseMythImage.jpg]]
as
2012-05-06T15:36:21+09:00
1336286181
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エピカステ
https://w.atwiki.jp/diktaion/pages/205.html
>エピカステ(Jocasta)は[[テーバイ]]王[[ライオス]]の妻であり、[[オイディプス]]の母である。知らずにオイディプスの妻となり、[[アンティゴネ]]、[[エテオクレス]]、[[ポリュネイケス]]、[[イスメネ]]を産んだ。[[クレオン]]とは姉弟の関係。
*系譜
-父は[[メノイケウス]]
-夫は[[ライオス]]、息子は[[オイディプス]]
-夫は[[オイディプス]]、息子は[[ポリュネイケス]]、[[エテオクレス]]、娘は[[イスメネ]]、[[アンティゴネ]]。
2011-11-20T22:30:36+09:00
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メガラ
https://w.atwiki.jp/diktaion/pages/204.html
>メガラ(Megara)は[[テバイ]]王[[クレオン]]の長女で[[ヘラクレス]]の妻である。ヘラクレスが[[オルコメノス]]と戦ってテバイを守ったので、クレオンは娘のメガラをヘラクレスに与えた。ヘラクレスは[[アンピトリオン]]で彼女と暮らし息子と娘をもうけた([[ヘラ]]に一時的に狂わされたときヘラクレスはその娘を殺した)。
*系譜
-父は[[クレオン]]、母は[[エウリュディケ]]
-夫は[[ヘラクレス]]、息子は[[テリマコス]]、[[クレオンティアデス]]、[[デイコオン]]、[[オピテス]]。
-夫は[[イオラオス]]、娘は[[レイペピレネ]]。
*解説
-一説では、メガラは[[ヘラクレス]]に殺された。別説では、ヘラクレスが12の苦行を終え[[テバイ]]を離れる時、[[イオラオス]]に彼女を与えた。
2011-08-20T20:44:24+09:00
1313840664
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アルクメネ
https://w.atwiki.jp/diktaion/pages/203.html
>アルクメネ(Alcmene)は[[ミュケナイ]]王[[エレクトリュオン]]の娘で、[[ペルセウス]]の孫娘にあたる。母は[[アナクソ]]、あるいは[[リュシディケ]]。[[ゼウス]]と共寝し、[[ヘラクレス]]を生んだ。
*系譜
-父は[[エレクトリュオン]]、母は[[アナクソ]]、あるいは[[リュシディケ]]。
-夫は[[ゼウス]]、子は[[ヘラクレス]] (息子)
-夫は[[アムピトリュオン]]、子は[[イピクレス]]
-夫は[[ラダマンテュス]]、子は[[エリュトロス]]
*解説
-[[ヘシオドス]]はアルクメネを、比類ない知性をもつ背が高く美しい女性であると記述している。彼女の顔と暗い色の目は[[アフロディテ]]のように美しく、いかなる女性よりも夫を尊敬したと言われる。
*エピソード
''ゼウスと共寝する'' [[アポロドロス]]によると、アルクメネは[[アムピトリュオン]]と一緒に[[テバイ]]へ行った。そこで彼は、[[エレクトリュオン]]を殺してしまった罪を、[[クレオン]]によって清められた。アルクメネは、アムピトリュオンが殺された兄弟の復讐を遂げるまで、彼との結婚を拒否した。しかしアムピトリュオンが[[タポス]]へ遠征している間、アムピトリュオンに変身した[[ゼウス]]がアルクメネを訪れた。夜の長さを三倍に伸ばして、ゼウスはアルクメネ(ゼウスの曾孫にあたる)と共寝し、アムピトリュオンの戦争に勝った様子など語ってきかせた。翌日、本物のアムピトリュオンがテバイへ帰還した時、アルクメネは彼が前夜やってきて一緒に寝たと語った。後に彼は[[テイレシアス]]から、それがゼウスの仕業であることを教わった。
''ヘラクレスを生む'' [[イリアス]]によると、アルクメネが[[ヘラクレス]]を生もうとしていた時、[[ゼウス]]は全ての神々に、自分の血を引き自分のすべての支配を受け継ぐことになる子供が今から生まれると伝えた。[[ヘラ]]はその言葉に誓いを立てることをゼウスに要求すると、[[オリュンポス]]を降りて[[アルゴス]]へ行き、[[ステネルス]]([[ペルセウス]]の子)の妻にわずか7カ月で[[エウリュステウス]]を生ませ、その間アルクメネがヘラクレスを産むのを妨害し続けた。結果、ゼウスの誓言の条件は、ヘラクレスではなく先に生まれたエウリュステウスが満たすこととなった。
#region(注釈:ヘラクレスの誕生に関する異説)
-[[オウィディウス]]の変身物語によると、アルクメネは大きな子供を産むのに苦労し、七昼夜苦しんだ後、腕を伸ばして出産の女神[[エイレイテュイア]]を呼んだ。しかし女神は出産を妨害するよう[[ヘラ]]から命じられていた。アルクメネは苦痛で死にかけていたが、そのとき侍女の[[ガランティス]]が女神の妨害を見抜いた。彼女が偽って子供が無事産まれたと叫ぶと、エイレイテュイアは驚いて妨害の手を離してしまった。アルクメネはすぐに[[ヘラクレス]]を産んだ。女神をだました罪で、ガランティスはイタチに変えられ、その後はアルクメネと一緒に暮らし続けた。
-[[パウサニアス]]によると、[[ヘラ]]はアルクメネの出産を妨害するのに魔女たちを送った。魔女たちは出産を妨害していたが、[[テイレシアス]]の娘の[[ヒストリス]]が偽って子供が無事産まれたと言うと、魔女たちはその場を去り、アルクメネの出産を許してしまった。
-[[プラウトゥス]]の喜劇「アムピトリュオン」では上述の難産とは別のバージョンが示される。アルクメネが[[ゼウス]]を訪ねると、ゼウスは痛みなしですぐに出産できる奇跡をおこなった。雷鳴が轟くと、誰の助けもなしで赤ん坊がうまれた。
#endregion
''ボイオティアに住む'' [[アムピュトリオン]]の死後、アルクメネは[[ゼウス]]の息子[[ラダマンテュス]]と結婚し、[[ボイオティア]]の[[オカレイア]]に住んだ。[[ヘラクレス]]の死後、ヘラクレスの子[[ヒュロス]]は[[エウリュステウス]]を追いつめて殺し、首を落としてアルクメネに与えたが、アルクメネはその目をえぐりだしたといわれる。
''アルクメネの死'' アルクメネの死について2つの話しがある。
(1) [[メガラ]]人によると、アルクメネは[[アルゴス]]から[[テバイ]]へ歩いて向かっている途中、メガラで死んだ。[[ヘラクレス]]の子らはアルクメネの遺体をどこに引き取るかでもめた。[[デルフォイ]]の神はアルクメネをメガラに埋葬するよう神託を与えた。
(2) [[テバイ]]人によると、アルクメネが死んだ時、彼女は人の姿から石に変えられた。
2011-06-19T14:51:25+09:00
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アンティオペ
https://w.atwiki.jp/diktaion/pages/202.html
>アンティオペ(Antiope)は[[ホメロス]]によると[[ボイオティア]]の河神[[アソポス]]の娘である。[[ゼウス]]との間に子をなし、双子の兄弟[[ゼトス]]と[[アムピオン]]を生んだ。
*系譜
-父は[[ニュクテウス]]、母は[[ポリュクソ]]
-夫は[[ゼウス]]、子は[[ゼトス]]、[[アムピオン]]。
-夫は[[エポペウス]]、[[オイノペ]]、[[マラトン]]。
-夫は[[ポコス]]。
*解説
-アンティオペは[[ホメロス]]によると[[ボイオティア]]の河神[[アソポス]]の娘である。もっと後の時代では、[[テバイ]]の“夜の”王[[ニュクテウス]]の娘(あるいは[[キュプリア]]の[[リュクルゴス]]の娘)といわれる。ホメロスによれば彼女は純粋なボイオティア人である。
-[[シキュオン]]では、アンティオペは[[アフロディテ]]の神殿に崇拝の像が祀られるほど重要だった。[[パウサニアス]]によると、ただ一人の年長の尼僧が、ロートロフォロス(※結婚や葬儀などの儀式の間、水を入れておく壺)として仕えるため毎年選ばれる一人の少女を伴って、その神殿の胞室(cella)に入ることが許されていた。
*エピソード
''双子を生む'' [[ゼウス]]は彼女の美しさに魅了され、[[サテュロス]]に変身し無理やり彼女を誘拐した(これはゼウスがサテュロスに変化する唯一のエピソードである)。この後、彼女は[[シキュオン]]の英雄[[エポペウス]]に連れ去られた。彼女の叔父の[[リュコス]]([[ニュクテウス]]の兄弟)に強制されるまで、エポペウスは彼女を離そうとしなかった。
[[テバイ]]へ帰る途中、アンティオペは[[キタイロン]]山の[[エレウテライ]]の付近で双子の兄弟[[ゼトス]]と[[アムピオン]]を生んだ。アムピオンはゼウスの子で、ゼトスはエポペウスの子だった。双子はそこに残され、牧夫によって育てられた。
''迫害され子に救助される'' [[テバイ]]ではアンティオペは[[リュコス]]の妻[[ディルケ]]から迫害を受け、最終的に[[エレウテライ]]へ逃亡するが、そこで牧夫となった二人の息子の家へ知らずに逃げ込んだ(これは[[エウリピデス]]の劇「アンティオペ」の状況である)。彼女は[[ディオニュソス]]祭を祝いに来ていたディルケに見つかってしまう。ディルケは二人の青年にアンティオペを牡牛の角に縛り付けるよう命じた。二人は命令に従いかけるが、彼らを育てた牧夫が秘密を打ち明けたため、彼らは代わりにディルケを殺した。エウリピデス劇では、二人がリュコスを殺そうとするところを[[ヘルメス]]が降臨して制止し、リュコスはテバイの都市[[カドメイア]]を二人に譲る。
''狂気におちいる'' [[ディルケ]]が殺されたことで[[ディオニュソス]]が怒り、アンティオペは狂気におちいり、ギリシア中を放浪した。彼女は[[ティトレア]]に住む[[ポコス]]に狂気を治癒され、その妻となった。その地で二人は一つの墓に埋葬された。
2011-05-29T00:16:19+09:00
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サルモネウス
https://w.atwiki.jp/diktaion/pages/201.html
>サルモネウス(Salmoneus)は[[エリス]]の王で[[サルモニア]]市の創立者である。彼は自らを[[ゼウス]]と称し崇拝するよう命じた。ゼウスは雷撃で彼を打ち倒し、彼の町を破壊した。
*系譜
-父は[[アイオロス]]、母は[[エナレテ]]。
-妻は[[アルキディケ]]。娘は[[テュロ]]。
-妻は[[シデロ]]。
*解説
-[[フレーザー]]によると、初期のギリシアの王は、作物に恵みをもたらす雨が降ることを期して、[[ゼウス]]の電撃をまねる風習があったという。
-[[テッサリア]]のクラノンには干ばつの期間だけ雨乞いのために動かされる青銅の戦車があった。S.ライナハはサルモネウスの逸話が生まれたのは、ある絵画――テッサリアの魔術師が天から雷と雨を伴って現れた絵――が誤解され、彼が[[ゼウス]]の怒りの犠牲者であると解釈されたためと推測した。
*エピソード
''ゼウスの怒りにふれる'' サルモネウスは自らを[[ゼウス]]と称し崇拝するよう命じた。大釜を引きずった戦車で真鍮の橋を走り抜け雷の音をまね、またたいまつを放り投げ稲妻をまねた。ゼウスは雷撃で彼を打ち倒し、彼の町を破壊した。[[ウェルギリウス]]は彼が[[タルタロス]]で永遠に劫罰を受けているとした。
''シシュポスとの不仲'' サルモネウスは[[シシュポス]]と仲が悪かった。シシュポスは、自分が[[テュロ]]と結婚すれば、生まれる子がサルモネウスを殺すだろうとの神託を受けた。テュロはシシュポスと結婚し息子を生んだが、息子がサルモネウスに行うことを知った彼女は息子を殺した。後にテュロは[[ポセイドン]]との間に[[ぺリアス]]と[[ネレウス]]を生んだ。
2011-05-28T14:00:37+09:00
1306558837
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オデュッセイア/オデュッセイア03
https://w.atwiki.jp/diktaion/pages/19.html
#center(){[[前へ>オデュッセイア/オデュッセイア02]] … [[オデュッセイア]] … [[次へ>オデュッセイア/オデュッセイア04]]}
第3歌 テレマコス、ピュロスでネストルに会う
>[[テレマコス]]は[[ピュロス]]で[[ネストル]]に会った。ネストルは[[トロイア]]からの帰還の様子を語ったが、[[オデュッセウス]]の消息は知らないという。ネストルは[[アガメムノン]]の最期を語り、[[メネラオス]]を訪ねるよう助言した。テレマコスは[[ペイシストラトス]]と[[スパルタ]]へ出発する。
*内容
''テレマコス、ピュロスへ着く'' 朝になって、一行は[[ネレウス]]の城[[ピュロス]]に着いた。ちょうど海辺では、牡牛を何頭も屠って[[ポセイドン]]に献じているところだった。参列者は九組に分かれ、それぞれの組は500人だった。[[テレマコス]]一行は岸に船を泊め、上陸した。[[アテナ]]はテレマコスにいった。
#divclass(ss01){
「テレマコスよ、さあ、ネストルのところへ行き、父親の消息について何か知っておられるか訊ねなさい。」
}
テレマコスは答えていった。
#divclass(ss02){
「でも[[メントル]]、どのように訪ねて行き、どのように挨拶したらよいのでしょう。年のゆかぬ身で年上の人にものを訊ねるのは気がひけます。」
}
アテナは答えていった。
#divclass(ss01){
「テレマコスよ、そなたが思いつくこともあるだろうし、神が知恵を授けてくださることもあるだろう。」
}
''テレマコス、ネストルと食事をする'' 二人は[[ピュロス]]人らの集まった所へ着いたが、この時、[[ネストル]]の子[[ペイシストラトス]]が真っ先に近づいて二人を宴席に誘い、父親のそばに座らせた。食べ物と酒をふるまい、[[アテナ]]に向かって、
#divclass(ss03){
「では客人、[[ポセイドン]]にお祈りください。これはポセイドンの祭の宴です。献酒を済ませましたら、この方に盃を渡して献酒させてあげて下さい。あなたの方が年長ですから、先ずあなたに盃をお渡しします。」
}
といって、女神に盃を手渡した。アテナはポセイドンに祈っていった。
#divclass(ss01){
「ポセイドンよ、ネストルとその子たちに名声を、ついでピュロスに住む人々に幸せを授けたまえ。さらに[[テレマコス]]と私が、この地に参ったその目的を果たすことができるよう、はからい給わんことを。」
}
テレマコスも女神と同じように祈った。それから皆で豪勢な食事を楽しんだ。やがてネストルが口を切っていった。
#divclass(ss04){
「さて、客人方も食事を楽しまれたことであり、今はもうどこのどなたかおたずねしてもよいであろう。あなた方は一体どなたで、どこから来られたのか。」
}
テレマコスは勇気を出してそれに答えた。
#divclass(ss02){
「ネストルよ、われらは[[イタカ]]からきた者で、用向きは公用ではなく私事です。私は父の消息が得られないかと、求めているのです。父とは[[オデュッセウス]]で、かつてあなたと共に[[トロイア]]で戦ったと聞いております。トロイアで戦った人のなかで、父のみはその最期が伝わっておりません。どうか父について知っていることをお話ください。」
}
''ネストル、トロイアの話をする'' [[ネストル]]は答えた。
#divclass(ss04){
「ああ、そなたの言葉で思い出したぞ。われら[[アカイア]]勢のかの国での苦労をな。[[アイアス]]、[[アキレウス]]、[[パトロクロス]]、またわしの息子[[アンティロコス]]がかの地で最期を遂げた。その苦難はとうてい語り尽くせまい。戦争が終り、帰国する段になって、[[ゼウス]]の姫神の怒りによって、多数のアカイア勢は無残な最期を遂げた。女神はまず[[アトレウス]]家の二兄弟の間に争いを起された。二人は全軍の集会を開いた。[[メネラオス]]は船で帰国することを提案したが、[[アガメムノン]]は盛大な[[アテナ]]の祭りを行うつもりだった。二人は激しく言い争い、全軍が二つに分かれた。半数は船を海におろし、他の半数はアガメムノンと共に居残った。われらは海に乗り出した方であったが、途中で船を反転させ、引き返していった者があった。なんとそれが[[オデュッセウス]]の部隊だったのだ。わしは[[ディオメデス]]やメネラオスと共に帰国を目指した。ディオメデスが[[アルゴス]]に着いたのは四日目だった。わしは[[ピュロス]]を目指してさらに進んだが、順風がやむことはなかった。そういうわけで、他の人々の消息は何も知らぬまま帰ったわけだ。しかし、ここに帰ってから噂で聞き知っていることは、何でもお話しよう。まず、[[ネオプトレモス]]は無事帰国したそうだ。[[ピロクテテス]]も無事に帰国。[[イドメネウス]]も[[クレタ]]へ帰った。アガメムノンについては、[[アイギストス]]に殺害されたことは、そなたも知っておろう。息子の[[オレステス]]がアイギストスを討って、父の仇を報じたわけだ。そなたも、後の世の人に称えられるような勇敢な人間になっていただきたいものじゃ。」
}
''ネストル、アガメムノンの最期の話をする'' テレマコスは答えた。
#divclass(ss02){
「あの方の誉れは後世の人々に伝えられるでしょう。私もそれほどの力をもって、求婚者どもを懲らしめてやれたらと思います。しかし、今は耐え忍ぶほかないのです。」
}
[[ネストル]]はいった。
#divclass(ss04){
「思い出した、そなたの母に多くの求婚者が言いより、屋敷に居座っているとか。しかしな、父上が帰られて、求婚者を懲らしめる日が来ないとも限るまい。女神[[アテナ]]はそなたの父に公然と愛情を示しておられたのだから。」
}
[[テレマコス]]は答えた。
#divclass(ss02){
「神々の意志がそうであっても、そのような大層なことが実現するとは、私には思えません。」
}
アテナがいった。
#divclass(ss01){
「テレマコスよ、神というものは、その気になれば、離れていてもたやすく人を助けることができるのですぞ。」
}
テレマコスは答えた。
#divclass(ss02){
「[[メントル]]よ、その話はもうやめましょう。父は暗い死の運命が定められたのですから。ネストル殿には別のことをお訪ねします。お話ください、[[アガメムノン]]はどのようにして果てられたのか。」
}
ネストルはいった。
#divclass(ss04){
「話して進ぜよう。われらが[[トロイア]]にいる間に、[[アイギストス]]はアガメムノンの妻を口説くのに余念がなかったのだ。妃[[クリュタイムネストラ]]はもとは道理をわきまえた女だったが、宿命によって屈服を余儀なくされた。一方、[[メネラオス]]とわしはトロイアを発って共に船を進めていた。ところが[[スニオン]]の辺りで、メネラオス配下の舵取りが急死したので、彼は部下の埋葬のため、その地にしばらく滞留せねばならなかった。やがて、彼はふたたび海に乗り出したが、嵐にあって[[アイギュプトス]]へ流された。その間に、アイギストスは帰国したアガメムノンを殺害し、七年にわたって[[ミュケナイ]]に君臨した。八年目に[[オレステス]]が[[アテナイ]]から帰国し、アイギストスを討って、父の仇を報じたのだった。オレステスは供養の宴を催したのだが、ちょうどその日にメネラオスが帰国して、この家を訪れたのだ。されば、そなたも屋敷に乱暴者どもを置いたまま、ながらく旅を続けるのはよしたほうがよかろう。ただ、メネラオスの許へは是非たずねて行きなさい。果てしない異国へ流され、先頃帰ってきたばかりなのだからな。息子もいることゆえ、[[ラケダイモン]]まで案内させよう。」
}
''一同、宴を終え、眠りにつく'' ちょうど日が暮れてきた。[[アテナ]]がいった。
#divclass(ss01){
「御老体、只今の話は一々もっともに存じます。しかし、今は神酒を献じた上、眠りにつくとしましょう。」
}
一同はその言葉に従い、献酒を行った。アテナと[[テレマコス]]は船に戻ろうとしたが、[[ネストル]]はそれを引き止めていった。
#divclass(ss04){
「この屋敷には立派な夜具を用意してある。そなたらを甲板の端などで眠らせるわけにはいかぬ。」
}
アテナは答えた。
#divclass(ss01){
「御老体、まことに善いことをいって下された。テレマコスはお言葉に従うのが然るべきことと思います。私は船を帰って仲間に一部始終を話してやります。そして、明日の朝にはカウコネス族の国へ貸しを取り立てにいくつもり。テレマコスはご子息の一人をつけ、馬車で[[スパルタ]]まで送ってやっていただきたい。」
}
こういうと、アテナはヒゲワシの姿になって飛び去った。ネストルは驚いていった。
#divclass(ss04){
「あの方こそ[[ゼウス]]の姫神にちがいない。女神よ、どうかわが家族に善き名声を賜ってください。あなたには、子牛を生贄に供えます」
}
一同はネストルの屋敷へ戻り、そこで酒を飲むと、それぞれの家へ引き上げた。ネストルは、テレマコスに寝台をしつらえ、[[ペイシストラトス]]と並んで休ませた。
#center(){&ref(Telemachus_departing_from_Nestor_-_Henry_Howard_-_Project_Gutenberg_eText_13725.jpg,画像/ネストルのもとを発つテレマコス,height=300)
([[画像/ネストルのもとを発つテレマコス]])}
''テレマコス、馬車でスパルタへ向かう'' 次の朝、[[ネストル]]が寝室を出て腰掛けに座ると、息子たちと[[テレマコス]]も部屋から出てきて周りに集まった。ネストルはいった。
#divclass(ss04){
「息子たちよ、まず[[アテナ]]女神の御心をやすめたいのだ。一人は牧場へ行き、牛を一頭連れてきてくれ。一人は船へ行き、お供の方々を連れてきてくれ。一人は牛の角に金箔を張る、細工師をよんできてくれ。他の者はここで宴の用意をせよ。」
}
息子たちはそれぞれ仕事にかかった。息子たちは牛を、屠り、解体し、串に刺して焼いた。テレマコスはネストルの末娘[[ポリュカステ]]に入浴させられ、場に現われた。宴が始まり、一同は食事を楽しんだ。やがて、ネストルはいった。
#divclass(ss04){
「さて、息子たちよ、テレマコスのために馬車をひいてきてくれ。」
}
息子たちは素早く馬車の用意をした。テレマコスがそれに乗り込むと、ペイシストラトスが、馬の手綱を握り、鞭をふるって馬を進めると、野へ走り出した。
日が沈むまで走って、ペライの[[ディオクレス]]の屋敷に着いた。その夜はそこに泊まり、主人の歓迎を受けた。そして翌日も、朝から日没まで、二人は馬車を走らせた。
*関連
**人名
|BGCOLOR(#f8d0d0):[[テレマコス]]|父の消息を尋ねて[[ピュロス]]へやってきた|
|BGCOLOR(#f8d0d0):[[ネストル]]|[[ピュロス]]の国王。[[トロイア戦争]]の英雄|
|BGCOLOR(#f8d0d0):[[メントル]]|[[アテナ]]が姿を借りている人間|
|BGCOLOR(#f8d0d0):[[ペイシストラトス]]|[[ネストル]]の息子。[[テレマコス]]の旅に同行する|
|[[トラシュメデス]]|[[ネストル]]の息子|
|[[ネレウス]]|[[ネストル]]の父|
|[[エケプロン]]|[[ネストル]]の息子|
|[[ストラティオス]]|[[ネストル]]の息子|
|[[ペルセウス]]|[[ネストル]]の息子|
|[[アレトス]]|[[ネストル]]の息子|
|[[エウリュディケ]]|[[ネストル]]の妃|
|[[ポリュカステ]]|[[ネストル]]の末娘。[[テレマコス]]を入浴させる|
|[[ディオクレス]]|[[テレマコス]]たちを泊めて歓待する|
|BGCOLOR(#f8d0d0):[[アテナ]]|[[メントル]]の姿に扮している。途中、ひげ鷲の姿になって飛び去る|
|BGCOLOR(#f8d0d0):[[アガメムノン]]|[[トロイア戦争]]の英雄。[[ギリシア]]軍の総大将|
|BGCOLOR(#f8d0d0):[[メネラオス]]|[[トロイア戦争]]の英雄。[[アガメムノン]]の弟|
|[[ディオメデス]]|[[トロイア戦争]]の英雄|
|[[ネオプトレモス]]|[[トロイア戦争]]の英雄。[[アキレウス]]の息子|
|[[ピロクテテス]]|[[トロイア戦争]]の英雄|
|[[イドメネウス]]|[[トロイア戦争]]の英雄|
|BGCOLOR(#f8d0d0):[[アイギストス]]|[[アガメムノン]]の妻と通じ、[[アガメムノン]]を殺害する|
|BGCOLOR(#f8d0d0):[[オレステス]]|[[アガメムノン]]の子。父の仇の[[アイギストス]]を殺害する|
|BGCOLOR(#f8d0d0):[[クリュタイムネストラ]]|[[アガメムノン]]の妻。[[アイギストス]]と計って夫を殺害する|
**地名
|BGCOLOR(#f8d0d0):[[ピュロス]]|ネストル王の町|
|[[スパルタ]]|メネラオス王の町|
#center(){[[前へ>オデュッセイア/オデュッセイア02]] … [[オデュッセイア]] … [[次へ>オデュッセイア/オデュッセイア04]]}
2008-09-15T11:03:06+09:00
1221444186
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オデュッセイア/オデュッセイア02
https://w.atwiki.jp/diktaion/pages/14.html
#center(){[[前へ>オデュッセイア/オデュッセイア01]] … [[オデュッセイア]] … [[次へ>オデュッセイア/オデュッセイア03]]}
第2歌 テレマコス、集会を催し、旅立つ
>翌朝、[[テレマコス]]は[[アカイア人]]の集会を催し、求婚者の悪行を訴えた。[[アンティノオス]]や[[エウリュマコス]]を中心とする求婚者たちは、[[ペネロペ]]が求婚に応じないのが悪いと主張した。結局、求婚者の圧力の前に、集会の効果はなく散会となった。テレマコスはその晩、後見人[[メントル]]と共に船で旅に出発した。
*内容
''テレマコス、集会を開く'' 朝になり[[テレマコス]]はすぐに触れ役に命じて、[[アカイア]]人たちに集会所へ集まるよう触れさせた。集会所に一同が集まると、テレマコスは犬二頭を従えて広場に向かった。テレマコスが父親の座に座ると、長老たちも席を譲って脇へ退いた。
''老雄アイギュプティオス、最初に発言する'' 最初に口を切ったのは老雄[[アイギュプティオス]]だった。老人は一同にいった。
#divclass(ss01){
「[[イタケ]]に住む方々よ。[[オデュッセウス]]が船で出征されて以来、この国で集会が開かれたことはなかった。今どなたがどのような事情でこの集会を催されたのだろうか。願わくば[[ゼウス]]がその方の念願を叶えてあげて下さるように」
}
''テレマコス、窮状を皆に訴える'' [[テレマコス]]は場の中央に進み出て言った。
#divclass(ss02){
「老人よ、皆を集めたのはこの私だ。実は私の身の上に二重のつらいことが起こっている。一つは私が優れた父を失ったこと、もう一つは母への求婚者がわれらの屋敷に押し寄せ、連日飲み食いをしては私の財産を食い潰していくことだ。私は若輩で家を守るだけの力がなく、今や我が家は破滅に瀕している。そなたらはこの無法に憤りを覚えないか。求婚者の方々よ、どうか我が家から手を引いて、私をそっとしてほしい。」
}
怒りに燃えてこういうと、涙を流しつつ、杖を大地に投げ捨てた。
#center(){&ref(Penelope_and_the_Suitors.jpg,画像/ペネロペと求婚者,width=300)
([[画像/ペネロペと求婚者]])}
''アンティノオス、テレマコスに反論する'' 一座は彼に同情し、静まり返っていたが、[[アンティノオス]]が彼に答えていった。
#divclass(ss03){
「[[テレマコス]]よ、よいか、こうなったのはそなたの母の罪なのだ。そなたの母は皆に気を持たせる約束をしておいて、はぐらかし続けている。そなたの母はこんな悪巧みもした。屋敷の中で機を織り始め、我らに向かって、『求婚者の方々、結婚はこの着物を織り上げるまで待って欲しい。これは舅の[[ラエルテス]]が亡くなった時に備えた弔いの衣装なのです』と、こういう話だったので、我らも得心し待つことにした。だがそなたの母は、昼は布を織り、夜はそれをほどいていたのだ。そうして四年目にそれが明らかになるまで、三年間も我らを欺いていた。テレマコスよ、我らの返事はこうだ。そなたは母を実家へ帰し、誰でも望む男に嫁ぐようすすめるのだ。このままではそなたの家の財産はいつまでも食い潰されてゆくだろう」
}
''テレマコス、アンティノオスに答える'' [[テレマコス]]はいった。
#divclass(ss02){
「[[アンティノオス]]よ、母をむりやり追い出すことなど、とてもできることではない。祖父[[イカリオス]]に多額の賠償もせねばなるまい。されば、そのようなことを母に告げる気はまったくない。ともあれ、そなたらは我が屋敷から退散し、自前で宴会を催すことを考えてもらおう。それでも他人の財産を食い潰す方が結構だと思うなら勝手にするがよい。その時には[[ゼウス]]は私の復讐を成就させて下さり、そなたらはこの屋敷で死んでもらうことになるだろう」
}
''老雄ハリテルセス、求婚者に警告する'' この時、[[ゼウス]]は遥かな山頂から二羽のワシを飛ばした。ワシは広場の上空まで来ると、下降しながら、互いに頬や首を掻きむしり、右方へ飛び去った。人々は鳥の動きに驚き、動揺した。そこで老雄[[ハリセルテス]]が口を開いた。彼は予兆を知る術に長けていた。
#divclass(ss04){
「求婚者たちよ、あなたがたの身に災厄が迫っている。[[オデュッセウス]]はいつまでも故郷から離れてはおられまいからだ。どこか近くにあって、求婚者全員を誅殺せんと謀っているのだろう。さればこそ、求婚者たちは自制せねばならぬ。私は二十年前、オデュッセウスは放浪の末に帰国するだろうと予言したが、それが今ことごとく実現しようとしているのだ。」
}
''エウリュマコス、ハリテルセスに反論する'' [[エウリュマコス]]がそれに答えた。
#divclass(ss05){
「爺さんよ、予言なら家で息子たちにでもしてやれ。[[オデュッセウス]]は異郷で果てたのだ。よいか、予言などと御託をならべて、若者を粗暴な行為に駆り立てるようなことをすれば、おぬしには代償を払ってもらうことになる。[[テレマコス]]に忠告しよう。彼は母を実家に帰さねばならぬ。そうすれば実家では、ふさわしい持参金も用意するであろう。それがなされるまでは、テレマコスの財産は散々に食い荒らされるだけだろう。」
}
''テレマコス、旅立ちを告げる'' [[テレマコス]]は答えていった。
#divclass(ss02){
「求婚者たちよ、そのことについて、もはやそなたらに頼みもせねば議論もすまい。それはさておき、船を一艘と、水夫二十人を貰いたい。私はこれから父の消息を求めて、[[スパルタ]]と[[ピュロス]]へ行こうと思う。そこで父が生きて帰ると聞けば、一年は辛抱するつもりだ。しかし父がすでに死んだと聞けば、国へ帰り、葬儀を行い、それから母を嫁がせよう。」
}
''メントル、住民たちを煽る'' そこで、[[オデュッセウス]]の僚友の[[メントル]]が立ち上がっていった。
#divclass(ss06){
「[[イタケ]]の方々よ、聞いてくれ。求婚者たちの思い上がった振る舞いを私は特に怒ってはおらぬ。彼らはそれを自分らの命を賭けてやっているのだから。私が許せないのは、むしろそなたら、他の領民たちなのだ。多数を誇るそなたらが、求婚者たちに一言のとがめだてもせず、制止することもできぬとは、何という醜態だろう。」
}
''レオクリトス、集会を閉じる'' [[レオクリトス]]がそれに答えて、
#divclass(ss07){
「無礼だぞ、[[メントル]]。よくも領民を煽り、そのような暴言を吐いたな。我らと戦うのは容易なことではないぞ。かりに[[オデュッセウス]]が帰ってきて、求婚者たちを追い出そうとしても、多数を相手に戦えば、ぶざまな最期をとげるだろう。さあ、領民たちは散会してそれぞれの仕事に戻れ。この男の旅の支度は、親しい間柄のメントルと[[ハリテルセス]]がするであろう。しかし、この男がいっている旅など果たせるわけがない」
}
こういうと、集会を閉じてしまった。民衆はそれぞれ家路につき、求婚者たちはオデュッセウスの屋敷へ向かった。
''メントル、テレマコスをはげます'' [[テレマコス]]はひとり波打際へ行き、[[アテナ]]に祈っていった。
#divclass(ss02){
「父の消息を求めて、海を渡って行けと仰せられた神よ、お聴きください。求婚者どもはなにかにつけ私の邪魔をするのです。」
}
そこへ[[メントル]]に変身したアテナが歩み寄り、こういった。
#divclass(ss08){
「テレマコスよ、そなたが父のごとき凛とした気概を持っておれば、今後見苦しい振舞いをしたり、愚かな過ちは犯すまい。今は求婚者どもの企みなど忘れるがよい。そなたには私がついているではないか。そなたは家へ帰り、食糧や酒を用意しなさい。私はこれから町へ行き、水夫や船を手配しよう。」
}
それを聞くと、テレマコスはその場でぐずぐずせず、心は重く沈みつつも屋敷へ向かった。
''求婚者たち、テレマコスを嘲笑する'' 屋敷では求婚者たちが、肉をあぶっている最中だった。[[アンティノオス]]は笑いながら[[テレマコス]]にいった。
#divclass(ss03){
「テレマコスよ、そなたは大口をたたく男だが、もう毒づくことはやめて、飲み食いしてくれ。船も水夫も、[[アカイア人]]たちが調達してくれるであろう。」
}
テレマコスは答えた。
#divclass(ss02){
「アンティノオスよ、そなたのような乱暴者と食事をして楽しいわけがない。求婚者たちよ、そなたらは私の家の財産を散々食い散らかしておいて、まだ足らぬというのか。私も以前は幼かったが、成人した今は、なんとしてでもそなたらに死神を差し向けてやるつもりだ。」
}
求婚者たちは、テレマコスを嘲笑し、口々にいった。
#divclass(ss09){
「テレマコスめ、確かに我らの殺害を目論んでいるぞ。[[ピュロス]]か[[スパルタ]]から援軍を連れてくるつもりかも知れない。あるいは[[エピュレ]]に行き、毒草を持ち帰って混酒器に投じ、我らを皆殺しにするつもりかも知れぬ。」
}
また、別の求婚者たちはいった。
#divclass(ss10){
「彼も[[オデュッセウス]]同様漂流した挙句、死ぬかも知れん。そうすれば、我らの苦労がまたふえることになる。財産を我らの間で分けねばならぬし、屋敷は彼の母と結婚する男に渡さねばならぬしな。」
}
''テレマコス、乳母に食糧を準備させる'' [[テレマコス]]は、そういう求婚者たちを後に、納戸へ降りていった。ここには財産や食糧や酒が保管してあったが、テレマコスは女中頭の[[エウリュクレイア]]を呼び出していった。
#divclass(ss02){
「婆やよ、酒と食糧を準備してくれ。そしてそのことは内緒にしておいてほしい。日が暮れて、母が二階に上がった頃、私が取りに来る。実は父上の消息を求めて、[[スパルタ]]と[[ピュロス]]へ行くつもりなのだ。」
}
心優しい乳母は悲しみの声をあげつついった。
#divclass(ss11){
「坊ちゃま、なぜそんなことをなさいますか。[[オデュッセウス]]の殿様はもう異国でお亡くなりになってますよ。あの求婚者どもは、あなたが旅に出ればすぐに、悪巧みをしてあなたをだまし討ちにするでしょう。どうか、家を守ってここに留まって下さい。」
}
そういう乳母に、テレマコスは答えていった。
#divclass(ss02){
「案ずるな、婆やよ、これは神の思し召しなのだ。このことは母上には申し上げぬと誓ってくれ。せめて今日から十二日ほどはな。母上に心配をかけたくないのでな。」
}
老女は決して洩らさぬと誓うと、酒と食糧を準備した。テレマコスは広間へ行き、求婚者の仲間に加わった。
''テレマコス、船で旅に出発する'' この時、女神[[アテナ]]は[[テレマコス]]に変身して町中をまわり、行き会う者に声をかけ、日が暮れたら船に集合せよと命じた。さらにプロニオスの子[[ノエモン]]に船の手配を頼んだ。そして女神は[[オデュッセウス]]の屋敷に向かい、求婚者たちに眠りをふりかけ、彼らを家へ帰らせた。女神は[[メントル]]に変身してテレマコスを呼び出し、
#divclass(ss08){
「テレマコスよ、船の用意はすでに出来ている。さあ、出かけようか。」
}
といって、海辺までテレマコスを案内した。テレマコスは水夫たちに命じて屋敷から食糧を運ばせると、女神とともに船に乗り込んだ。水夫たちは船を出し、帆を張ると、神々に神酒を献じた。船は夜を徹して航路を進んでいった。
*関連
**人名
|BGCOLOR(#f8d0d0):[[テレマコス]]|[[アカイア]]人の集会を開催し求婚者を弾劾する|
|BGCOLOR(#f8d0d0):[[アンティノオス]]|求婚者のリーダー格|
|BGCOLOR(#f8d0d0):[[エウリュマコス]]|求婚者のリーダー格|
|BGCOLOR(#f8d0d0):[[メントル]]|[[オデュッセウス]]の旧友。集会で[[テレマコス]]を擁護。後半は[[アテナ]]が扮する|
|BGCOLOR(#f8d0d0):[[エウリュクレイア]]|[[テレマコス]]の乳母。女中頭|
|BGCOLOR(#f8d0d0):[[アイギュプティオス]]|集会の一人。集会で最初に口を切る|
|[[ペイセノル]]|集会の触れ役|
|BGCOLOR(#f8d0d0):[[ハリテルセス]]|集会の一人。[[ゼウス]]の鷲を見て[[オデュッセウス]]の帰郷を予言する|
|BGCOLOR(#f8d0d0):[[レオクリトス]]|求婚者。集会を強引に解散させる|
|BGCOLOR(#f8d0d0):[[ノエモン]]|[[テレマコス]]のため船の手配をする|
|BGCOLOR(#f8d0d0):[[ゼウス]]|集会へ鷲を飛ばし、予兆を与える|
|BGCOLOR(#f8d0d0):[[アテナ]]|[[メントル]]に扮して[[テレマコス]]を助ける|
**地名
|BGCOLOR(#f8d0d0):[[イタカ]]|[[オデュッセウス]]の故郷|
|[[ピュロス]]|ネストル王の町|
|[[スパルタ]]|メネラオス王の町|
#center(){[[前へ>オデュッセイア/オデュッセイア01]] … [[オデュッセイア]] … [[次へ>オデュッセイア/オデュッセイア03]]}
2008-06-22T21:07:04+09:00
1214136424
-
オデュッセイア/オデュッセイア01
https://w.atwiki.jp/diktaion/pages/12.html
#center(){[[オデュッセイア]] … [[次へ>オデュッセイア/オデュッセイア02]]}
第一歌 テレマコス、父の消息を求める旅を決意する
>流浪の[[オデュッセウス]]を故郷[[イタケ]]に帰国させることが神々の集会で決まった。[[アテナ]]が賢者[[メンテス]]に扮してオデュッセウスの屋敷を訪ねると、彼の妻[[ペネロペ]]への求婚者たちが宴会に興じて屋敷の財産を食いつぶしていた。アテナは[[テレマコス]]に、集会を開催して求婚者の悪行を訴えることと、父の消息を尋ねて旅することを勧めた。テレマコスは求婚者たちに、明朝集会を開催して彼らを糾弾することを宣言した。
*内容
''神々の集会が開かれ、オデュッセウスの帰国が決まる'' さて、[[オデュッセウス]]は帰郷を望んでいたが、彼を愛する女神[[カリュプソ]]の洞窟に引き止められていた。ある時、ポセイドンが留守の間に、神々は[[ゼウス]]の屋敷で集会を開いた。ゼウスは、
#divclass(ss01){
「人間どもは非道な行いによって自ら苦難を招くものだ。このたび、[[アイギストス]]が[[アガメムノン]]を殺したように」
}
といった。[[アテナ]]は、
#divclass(ss02){
「父君よ、[[オデュッセウス]]はその男とは違います。望郷の念に苦しむ彼を憐れと思いませぬか」
}
といった。ゼウスは、
#divclass(ss01){
「娘よ、[[ポセイドン]]が盲目にされた[[キュクロプス]]のことで彼に腹を立てているのだ。彼を国許へ帰らせる良い手段はないものか」
}
と答えた。アテナはいった。
#divclass(ss02){
「では[[ヘルメス]]を[[オギュギエ]]へ遣わし、オデュッセウスを帰国させるよう、かのニンフに伝えましょう。私はこれから[[イタカ]]へ出向き彼の息子を励ましてやり、父親の消息を求めて、[[スパルタ]]と[[ピュロス]]へ行かせるつもりです」
}
''アテナ、オデュッセウスの屋敷を訪れる'' [[アテナ]]は[[タポス]]王[[メンテス]]の姿に変身し、[[イタカ]]の[[オデュッセウス]]の屋敷を訪れた。屋敷の前では、驕慢な求婚者たちが肉を喰らい遊びに興じていた。[[テレマコス]]は門前の客に気づいて、すぐに屋敷の中に案内した。彼は客に食事と酒を与えて、その素性をたずねた。アテナは、
#divclass(ss02){
「私は[[メンテス]]と申す者で、[[タポス人]]を治めています。青銅を求めて船でテメセ&footnote(テメセ(Temesa)は南イタリア、ブルッティウム地方の町とも、キュプロス島の地名ともいうが、詳しいことはわからない。)に向かっています。お父上とは先祖代々から懇意の間柄です。ところで、ここで傍若無人に飲食している連中は一体何者なのです''」''
}
といった。テレマコスはいった。
#divclass(ss03){
「[[トロイア]]に赴いた父が行方不明になってしまうと、付近の島の領主たちが母の求婚に押し寄せて来て、我らの家財を食いつぶし始めたのです。母は嫌な結婚を拒みもせず、受けもしません。やがて彼らは財産を食い尽し、私を八つ裂きにするでしょう」
}
''アテナ、テレマコスに助言をする'' [[アテナ]]は憤然としていった。
#divclass(ss02){
「なんということだ。あなたのお父上さえおられればなあ。ともあれ、今は求婚者を追い払うことが先決でしょう。私の言うことを良くききなさい。明日[[アカイア]]人の集会を開き、そこで求婚者たちに各自の所領に引き上げるよう求めなさい。それから、あなたは船を出して、お父上の消息を尋ねに出かけるのです。まず[[ピュロス]]へ行き[[ネストル]]を、次に[[スパルタ]]へ行き[[メネラオス]]を訪ねなさい。お父上が存命と分かれば、あと一年は辛抱できるでしょう。その後は、求婚者どもを討ち果たす手立てを考えるのです。あなたはもう一人前だ、勇気をお出しなさい。では、私はもう船へ帰ります」
}
アテナはその場を去ったが、[[テレマコス]]の胸に勇気を打ち込んだ。
''テレマコス、ペネロペをさとす'' その時、楽人[[ペミオス]]が求婚者のために[[トロイア]]からの帰国物語を歌っていた。階上で[[ペネロペ]]はその歌を耳にすると、部屋から二人の侍女を随えて出てきて、広間に降りてくると、
#divclass(ss04){
「ペミオスよ、その歌だけはやめておくれ。それを聞くと立派なあの人のことが思い出されて悲しい」
}
といった。[[テレマコス]]は母に向かっていった。
#divclass(ss03){
「母上、楽人が人を楽しませているのに何がご不満ですか。聴く者に一番耳新しく響く歌こそ、最も世の喝采を博するのです。母上も気持ちをしっかりと持ち、辛抱してお聞きにならねばなりません。さあ、今は部屋に戻ってください」
}
妃はあっけにとられた心持ちで自分の部屋に戻ると、しばらく夫を想って泣いていたが、やがて眠りについた。
#center(){&ref(phemius_Singing_to_the_Suitors.jpg,画像/求婚者に歌うペミオス,width=200)
([[画像/求婚者に歌うペミオス]])}
''テレマコス、求婚者に立ち向かう'' [[テレマコス]]は求婚者らに向かって、
#divclass(ss03){
「一同よ、明日の朝、私は集会を広場で催し、そなたらにこの屋敷から退散するよう、きっぱりと申し渡すつもりだ。これからは、この屋敷での宴会も禁ずる。従わないなら、この屋敷で死んでもらうことになるだろう」
}
と言った。全員テレマコスの大胆な発言に肝をつぶした。[[アンティノオス]]は、
#divclass(ss05){
「なんという大胆で思い上がった発言だ。[[ゼウス]]がそなたを[[イタカ]]の領主になさらぬように祈るぞ」
}
といった。テレマコスはそれに答えて、
#divclass(ss03){
「イタカの領主には、豪族たちの誰かがその地位につくのだろう。しかし、この屋敷はずっと私のものだ」
}
といった。すると[[エウリュマコス]]がいった。
#divclass(ss06){
「そなたの財産を奪うような男が出ねばよいがな。ところで、先ほどの客人は何者なのか」
}
テレマコスは答えた。
#divclass(ss03){
「あの客人は[[タポス]]王で、[[メンテス]]と名のっていた」
}
''テレマコス、就寝する'' それから求婚者たちは夕暮れまで宴に興じた後、各自家路についた。[[テレマコス]]が寝室に向かうと、老女[[エウリュクレイア]]が松明で足元を照らした。この老女は数ある侍女の中でも、テレマコスを最もいとおしんでおり、幼い頃の彼を養育したのもこの女だった。テレマコスは寝台に横たわって、夜もすがら、[[アテナ]]のいった旅のことを思いめぐらしていた。
*関連
**人名
|[[ムーサ]]|詩、文芸の神|
|[[ヘリオス]]|太陽の神|
|BGCOLOR(#f8d0d0):[[ゼウス]]|主神。[[クロノス]]の子。[[オデュッセウス]]を帰国させることを決める|
|[[カリュプソ]]|[[アトラス]]の娘。[[オデュッセウス]]を夫にと望んでいる女神|
|[[ポセイドン]]|[[キュクロプス]]の目を潰した[[オデュッセウス]]に腹を立てている|
|[[アガメムノン]]|[[トロイア戦争]]でのギリシャ勢の大将|
|[[オレステス]]|[[アガメムノン]]の息子。父の仇[[アイギストス]]を殺害する|
|[[アイギストス]]|[[アガメムノン]]を謀殺する|
|[[ヘルメス]]|[[ゼウス]]の命により、[[カリュプソ]]の許へ遣わされる|
|BGCOLOR(#f8d0d0):[[アテナ]]|[[オデュッセウス]]に同情的。[[イタカ]]へ行き[[テレマコス]]を励ます|
|BGCOLOR(#f8d0d0):[[オデュッセウス]]|[[イタカ]]の王。[[ラエルテス]]の子。[[トロイア戦争]]の英雄。今は放浪の身|
|[[ポリュペモス]]|[[ポセイドン]]の子。[[オデュッセウス]]に盲目にされた[[キュクロプス]]|
|[[ポルキュス]]|[[トオサ]]の父。「海の翁」と呼ばれる海神|
|[[トオサ]]|ニンフ。[[ポセイドン]]と交わって[[ポリュペモス]]を生んだ|
|[[アルゴス>アルゴス]]|百の目をもつ怪物。「アルゴス殺し」は[[ヘルメス]]の枕詞|
|BGCOLOR(#f8d0d0):[[テレマコス]]|[[オデュッセウス]]の息子|
|BGCOLOR(#f8d0d0):[[ペネロペ]]|[[オデュッセウス]]の妻。[[イカリオス]]の娘|
|BGCOLOR(#f8d0d0):[[メンテス]]|[[タポス]]の王。アンキアロスの子。[[アテナ]]が人間に扮するのに姿を借りた|
|[[イロス]]|メルメロスの子。[[オデュッセウス]]が毒を求めて訪れた人物|
|BGCOLOR(#f8d0d0):[[アンティノオス]]|求婚者のリーダー格。エウペイテスの子|
|BGCOLOR(#f8d0d0):[[エウリュマコス]]|求婚者のリーダー格。エウリュマコスの子|
|BGCOLOR(#f8d0d0):[[ペミオス]]|楽人。宴でアカイア勢の[[トロイア]]からの帰国の物語を歌う|
|BGCOLOR(#f8d0d0):[[エウリュクレイア]]|屋敷の侍女。ペイセノルの子オプスの娘。[[テレマコス]]を養育した乳母|
**地名
|BGCOLOR(#f8d0d0):[[イタケ]]|[[オデュッセウス]]の故郷|
|[[オギュギア]]|[[カリュプソ]]の住む島|
|BGCOLOR(#f8d0d0):[[オリュンポス]]|神々の住みか|
|[[トロイア]]|西アジアの都市。[[トロイア戦争]]の舞台|
|[[ピュロス]]|[[ネストル]]王の領地|
|[[スパルタ]]|[[メネラオス]]王の領地|
|[[タポス]]|ギリシャ北西の島。[[メンテス]]王の領地|
|テメセ|南イタリアの都市|
|ドゥリキオン|[[イタカ]]近辺の島|
|サメ|[[イタカ]]近辺の島|
|ザキュントス|[[イタカ]]近辺の島|
|エピュレ|[[オデュッセウス]]が毒を求めて訪れた[[イロス]]のいた町|
#center(){[[オデュッセイア]] … [[次へ>オデュッセイア/オデュッセイア02]]}
2008-06-22T11:01:35+09:00
1214100095
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イドメネウス
https://w.atwiki.jp/diktaion/pages/200.html
>イドメネウス(Idomeneus)は[[ミノス]]王の孫で、[[クレタ]]島の王である。[[ヘレネ]]の求婚者だった彼は、クレタ人を率いて[[トロイア戦争]]に参加した。[[メリオネス]]は彼の御者で戦友だった。[[イリアス]]において、彼は[[アカイア]]勢で最も活躍した将の一人であり、[[アガメムノン]]の信頼する助言者の一人だった。他の多くの英雄が傷ついた時、[[ヘクトル]]と勇敢に戦い、これを撃退した。[[トロイの木馬]]に入った一員だった。トロイア戦争を彼は無事に生き延びた。
*系譜
-父は[[デウカリオン]]。
#center{&ref(ft_idomeneus_small.gif,画像/系図/イドメネウス)
[[画像/系図/イドメネウス]]}
*解説
-別名はイードメネウス。
-1780年に書かれたモーツァルトのオペラセリアはイドメネウスの物語に基いている。
*エピソード
''息子を犠牲に捧げ、故国を追放される'' [[トロイア戦争]]後、彼の船は嵐に襲われた。彼は[[ポセイドン]]に、もし船と部下を救ってくれるなら、帰国して最初に目にした生き物を犠牲に捧げることを約束した。彼が帰国して最初に目にしたのは彼の息子だったが、彼は息子を犠牲に捧げた。神々は息子を殺した彼に怒り、[[クレタ]]島に疫病をはやらせた。クレタ人は彼をイタリアのカラブリアへ追放した。
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2008-03-08T13:03:51+09:00
1204949031