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*材料力学 材料の変形、破壊を予想する工学。 例えば、加えられる最大の力、変形量の予測などが範囲に含まれる。 ただし、大きな変形を伴うものは材料力学では扱うことが出来ない。 **材料力学の基本 材料力学は「応力」の計算が中心となる。 「応力」とは、材料に加わる釣り合った断面に加わる力のことで、単位は圧力と同じ「Pa」(パスカル)である。 もちろんここで全部を語ってもよくわからないので、実用的な部分のみを書くことにする。 **応力 両手でものを引っ張ったり、ねじったりすると、片手から加わる力はものを伝って反対側の手に伝わる。 このときこの「もの」を「材料」と考えると、材料のどの部分にも力が伝わっていると考えられる。 この伝わる力を応力と呼ぶが、この値が大きくなると、材料は変形したり破断したりする。 ちなみにこの応力は、材料の形状が同じならば、どの素材でもだいたい等しい値となる。 **剛性 材料の変形しにくさを表すもの。剛性が高いと変形しにくい。 **強度 材料の壊れにくさを表すもの。強度が高いと壊れにくい。 **安全率 まず予想される最大の力に耐えられる強度を1とする。 しかし、実際には想定できない力が材料には働くため、余分な力も許容できるように設計することが基本である。 この、予想される力よりも何倍耐えられるかを示す値が安全率である。 安全率が2ならば、60kgの人が乗れる自転車では120kgの人が乗っても問題ないということになる。 安全率は、事故によって人の命が奪われるものほど高く設定されている。 例えばエレベータの安全率は10らしい。 ただし、安全率が高いということは、過剰な設計であることも示し、その分重量が重くなっていることも示している。 ゆえに飛行機の安全率は1.2程度らしい。 **剛性と強度 強度に対して剛性が低くても材料は壊れないため、高専ロボコンクラスの計算では無視されることが多い。 形状が同じであれば剛性も強度も材料の素材に依存する。 ただし次のことを頭に入れておいてほしい。 ・変形は応力に比例する。 ・剛性を上げると強度もあがる。 ・断面積を増やすと剛性も強度も上がるが、重量も増える。 ・ロボコンにおいては重量対強度が大事である。が、重量対強度が大きいものは値段が高い。 ・一部の力は断面積に依存するが、一部の力は断面形状に依存する。 **値段対性能 性能といえば、重量対強度である。 そこで、値段に対して軽くて強い部品(形状)を紹介していこう。 ・丸パイプ ねじり、曲げに対する重量対強度が非常に高い。 しかし加工難度が高く穴を空けるだけで性能がガタ落ち。 ・角パイプ みんな大好き角パイプ。 重量に対して強度が高く、一般的でありながら性能は高い。 太ければ太いほど曲げやねじりに対する強度、合成は高まる。 しかし、世の中には応力集中というものがあるので注意。 ・I字鋼(アングル材) ビルなどに使われている一般的な形状の部材。 曲げに対する強度、剛性が非常に高く、パイプや角棒に対して軽く安い。 しかしねじりに対する強度は低く、角パイプのほうが設計に対する柔軟性がある。 ・複合材料 値段が高い部材を一部のみに使うことで、総合的な値段を下げ、値段対性能を上げたもの。 板材(ダンボールorスポンジ)+カーボンフィルム 曲げに対する強度を飛躍的に上昇させることができる組み合わせ。 板材で厚みを作り、その上下にカーボンフィルムを張る。 **応力集中 座屈と並ぶ材料力学の中でも解析が難しいものの一つ。 断面が急激に変化したときに、応力が一箇所に集中し予想したよりも大きな応力が発生すること。 旋盤の突っ切り加工などが原因の一つ。 応力集中があると安全率が5あっても油断できない。 *ロボコン向けの知識 **強度と剛性の分離 実用の部分から言っても、剛性と強度の分離は重要である。 曲がってもいいが壊れると困る場所と、曲がるのも困る場所では、作り方が違ってくる。 一般に強度をあげると剛性は上がるが、剛性を上げて強度を下げる方法はある。 逆に強度を上げて剛性を下げるのは難しい。 **ワイヤートラス 簡単に剛性が上がる代わりに強度が下がる方法。 四角に組んだフレームの対角線をワイヤーで引っ張ると、 四角が変形する力をワイヤーの張力で吸収できる。 しかし、その力をフレームが受け続けるので、強度が下がる。 **衝撃力 衝撃力の計算はとても難しい。 運動量をWhで計算して、材料の変位エネルギーをまたWhで計算することになる。 **材力計算機 力に対する安全率を計算してくれるExcelのファイル。 使い方は材料の種類と形状を選び、そして加わる最大のモーメントを記入するのみ。 不具合、要望などがあればコメントへお願いします。 #ref(材力計算機.xls) ---- #comment()
*材料力学 材料の変形、破壊を予想する工学。 例えば、加えられる最大の力、変形量の予測などが範囲に含まれる。 ただし、大きな変形を伴うものは材料力学では扱うことが出来ない。 **材料力学の基本 材料力学は「応力」の計算が中心となる。 「応力」とは、材料に加わる釣り合った断面に加わる力のことで、単位は圧力と同じ「Pa」(パスカル)である。 もちろんここで全部を語ってもよくわからないので、実用的な部分のみを書くことにする。 **応力 両手でものを引っ張ったり、ねじったりすると、片手から加わる力はものを伝って反対側の手に伝わる。 このときこの「もの」を「材料」と考えると、材料のどの部分にも力が伝わっていると考えられる。 この伝わる力を応力と呼ぶが、この値が大きくなると、材料は変形したり破断したりする。 ちなみにこの応力は、材料の形状が同じならば、どの素材でもだいたい等しい値となる。 **剛性 材料の変形しにくさを表すもの。剛性が高いと変形しにくい。 **強度 材料の壊れにくさを表すもの。強度が高いと壊れにくい。 **安全率 まず予想される最大の力に耐えられる強度を1とする。 しかし、実際には想定できない力が材料には働くため、余分な力も許容できるように設計することが基本である。 この、予想される力よりも何倍耐えられるかを示す値が安全率である。 安全率が2ならば、60kgの人が乗れる自転車では120kgの人が乗っても問題ないということになる。 安全率は、事故によって人の命が奪われるものほど高く設定されている。 例えばエレベータの安全率は10らしい。 ただし、安全率が高いということは、過剰な設計であることも示し、その分重量が重くなっていることも示している。 ゆえに飛行機の安全率は1.2程度らしい。 **剛性と強度 強度に対して剛性が低くても材料は壊れないため、高専ロボコンクラスの計算では無視されることが多い。 形状が同じであれば剛性も強度も材料の素材に依存する。 ただし次のことを頭に入れておいてほしい。 ・変形は応力に比例する。 ・剛性を上げると強度もあがる。 ・断面積を増やすと剛性も強度も上がるが、重量も増える。 ・ロボコンにおいては重量対強度が大事である。が、重量対強度が大きいものは値段が高い。 ・一部の力は断面積に依存するが、一部の力は断面形状に依存する。 **値段対性能 性能といえば、重量対強度である。 そこで、値段に対して軽くて強い部品(形状)を紹介していこう。 ・丸パイプ ねじり、曲げに対する重量対強度が非常に高い。 しかし加工難度が高く穴を空けるだけで性能がガタ落ち。 ・角パイプ みんな大好き角パイプ。 重量に対して強度が高く、一般的でありながら性能は高い。 太ければ太いほど曲げやねじりに対する強度、合成は高まる。 しかし、世の中には応力集中というものがあるので注意。 ・I字鋼(アングル材) ビルなどに使われている一般的な形状の部材。 曲げに対する強度、剛性が非常に高く、パイプや角棒に対して軽く安い。 しかしねじりに対する強度は低く、角パイプのほうが設計に対する柔軟性がある。 ・複合材料 値段が高い部材を一部のみに使うことで、総合的な値段を下げ、値段対性能を上げたもの。 板材(ダンボールorスポンジ)+カーボンフィルム 曲げに対する強度を飛躍的に上昇させることができる組み合わせ。 板材で厚みを作り、その上下にカーボンフィルムを張る。 **応力集中 座屈と並ぶ材料力学の中でも解析が難しいものの一つ。 断面が急激に変化したときに、応力が一箇所に集中し予想したよりも大きな応力が発生すること。 旋盤の突っ切り加工などが原因の一つ。 応力集中があると安全率が5あっても油断できない。 *ロボコン向けの知識 **強度と剛性の分離 実用の部分から言っても、剛性と強度の分離は重要である。 曲がってもいいが壊れると困る場所と、曲がるのも困る場所では、作り方が違ってくる。 一般に強度をあげると剛性は上がるが、剛性を上げて強度を下げる方法はある。 逆に強度を上げて剛性を下げるのは難しい。 **ワイヤートラス 簡単に剛性が上がる代わりに強度が下がる方法。 四角に組んだフレームの対角線をワイヤーで引っ張ると、 四角が変形する力をワイヤーの張力で吸収できる。 しかし、その力をフレームが受け続けるので、強度が下がる。 **衝撃力 衝撃力の計算はとても難しい。 運動量をWhで計算して、材料の変位エネルギーをまたWhで計算することになる。 **材力計算機 力に対する安全率を計算してくれるExcelのファイル。 使い方は材料の種類と形状を選び、そして加わる最大のモーメントを記入するのみ。 不具合、要望などがあればコメントへお願いします。 #ref(材力計算機.xls) ---- - あ -- 名無しさん (2017-06-08 21:10:51) #comment()

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