ねじ
ほぼすべてのロボットに必要とされ,種類も豊富.
そんなアイテムであるねじとその周辺についてまとめておく.
ねじの分類
ねじの種類はとても多い.
用途に合わせ様々なねじを使い分けることがのぞましいが,どんなねじがあるのか知っておく必要がある.
大きく分類するのは次の3つ.
それぞれまとめておこう.
ねじ頭の形状
主にねじを回すために必要な場所.
またねじを固定する摩擦力もここで決まっていたりする.
加えて穴の形状もあるので,非常に種類が多い.
- なべ型
- 主にプラスドライバーやマイナスドライバーのためのねじ.
面より大きくはみ出るため,取り付けのときに別のねじと干渉することもある.
値段も一番安く,ホームセンターならどこでも手に入る.
基本的にワッシャなどが必要である.
ドライバーで回す時に歯とびを起こすと,頭が削れ外れなくなる.押す力9割,回す力1割がいいらしい.
- 皿型
- プラスドライバー向け.
締め付けるものにザグリ加工を施す必要があるが,頭が面から飛び出ないため,可動部品まわりに使われることが多い.
ワッシャ類は取り付けることができないので注意.
なべ型と同じく頭が死にやすい.
- 六角型
- 六角ボルトの頭.スパナ向け.
ねじに非常に大きなトルクを伝えることができるため,大きな力が加わる場所に最適.
一方でその力に耐えられる大きめなねじが多く,M3では基本的に使用しない.
頭も一番大きく,丸くないので埋め込みも難しい.
頭は死ににくいが,強すぎてねじが折れたり材料がへこんだり傷ついたりすることがある.
- 六角穴付型
- 六角レンチ用の穴が頭にあいている.
基本的に丸いが,一部はスパナでも回せるように六角形になっているものもある.皿型もある.
メンテナンス性が最も高く,ねじ頭が死ぬことも少ない.むしろ先にレンチが死ぬ.
加えられるトルクが非常に高いため,角パイプなどになべ型と同じ気分で回すと確実に部品がへこむ.
ボールポイント型レンチがあれば,レンチが垂直でなくてもねじを回すことができる.
- トルクス型
- ヘクスローブが一般名称らしい.
頭の穴の形状が独特で,専用のドライバーを要する.
形状としてはなべ型や皿型が多いが,その頭は他の頭に比べ格段に薄い.
締め付け時や外す時に力を加えてもドライバーが外れにくく,頭が死ににくい.
日本では使用頻度の低さからねじの値段が高め.
ねじの材質
ねじの材質によっても,得意不得意があるので注意.
- 鉄+表面処理
- 鉄はそのままではさびやすいので,表面処理を加えさびにくくしたタイプ.
値段は安いがねじの締め付けによる摩擦などで表面処理がはがれ,さび付くこともある.またさびにくいだけでそのままでもさびる.
- ステンレス
- さびない.強い.切れない.
- アルミ
- さびない.弱い.
ねじの太さと長さと規格
まずは規格.
メートルねじとインチねじがあり,お互いに太さが似ていてもねじを通すことができない.
日本ではメートルねじが一般的だが,パソコンのケースではほぼインチネジが使われている.
混入さえしなければメートルねじを使っていれば問題ない.
ねじの太さが太くなると,それだけ抑えられる力も大きくなる.
その分頭も大きくなるので,干渉に注意.
穴やタップの径に依存する.
ねじの長さはほぼ重量に比例するため,軽量化の観点から極力短いことがのぞましい.
ただねじが雌ねじに届かなければ意味がない.
適材適所で使いましょう.
ナット
六角ナット
最も一般的なナット.
外側が六角形で,中が雌ねじになっている.
スパナで回すか,固定して雄ねじを回すことで締結する.
厚さにも種類があり,薄型も存在する.
ただ締結力は下がっていくので,基本的には厚めを使うことをお勧めする.
1つのねじに対して二つのナットで固定するダブルナットを行うと,ねじの外れやすさは減少する.
ただし締結力そのものは減少する傾向にある.
ハードロックナットはその仲間である.
ナイロンナット
雌ねじに加えて中にナイロンリングが取り付けられているナット.
振動に強く,ばね座金なしでも外れにくい.
値段は少し高い,加えて使い捨て前提の品となっているため,結構高くつく.
ハードロックナット
ねじの中心軸と外径の中心軸がずれているナットと,それを囲い込む中心軸のあったナットの2つで構成されるナット.
一つ目を締める→二つ目を締める→一つ目を戻す の順序で締め付けを行う.
まず外れない.
振動に対しても非常に強く,宇宙関連に使用されることすらある.
ただ小径のものがなく,M5以上での使用が前提となる.
ワッシャ
平ワッシャ
単純な穴の開いた板.
サイズによって外径,内径,厚さがほぼ決まっている.
ねじから加わる力を分散させて材料に伝えることが目的.
へこみやすいパイプ材に使用することが基本で,もとから平面である板材には必要ない.
ばね座金
木更津ではスプリング・ザ・ゴールドとも呼ばれる.
切れ目と歪みの入ったワッシャで,締め付けるとばねのように動く.
振動でねじが外れることを防止する効果がある.
角パイプに対してばね座金に対してワッシャを入れるかは人によってまちまち.
ノルトロックワッシャ
傾斜と段差のついた2枚組のワッシャ.
ねじが外れるときのすべりを別の傾斜と摩擦により打ち消す効果がある.
外す時に締めた力より強い力が必要という面白いワッシャ.
リベット
ねじの代わりに穴に固定具を打ち込んで固定するもの.
専用の工具であるリベッターが必要.
一度取り付けると手で外すことはできないため,外さないところや外れてほしくないところに使うとよい.
それでも外したいときはドリルで穴をあける.
下穴をあければ木材に打ち込むことも可能.
ねじより基本的に軽いので,軽量化に使うこともできる.
最終更新:2011年10月28日 12:27