ギア選定


多種多様なギアについてまとめておくページ.

ギアの基本

モジュール

1つの歯の大きさを表す.
基準円直径/歯数=モジュール
モジュールが等しければ歯数の違う歯車でもかみ合わせることが可能であり,これはラックなどにも同じことが言える.

一般に大きいほど大きな力に耐えられる.
一方で最小歯数の問題などでモジュールの大きな歯車ほど小さいギアを作ることができない.

基準円直径

別の言い方ではモジュールと歯数をかけたもの.
歯車同士が噛みあう直径であり,軸間の設計の基本となる.
干渉の発生する歯先円とセットで表すことが多い.


ギアヘッド


モータに直接取り付けられた減速器.
減速比に対して非常に小型であり,適切なギアヘッドさえあれば別に減速機構を取り付ける必要がなくなる.
一方で許容トルクは比較的小さめである.

とある人がギアヘッドが壊れるとかモータが壊れるとか言ってたので,それをまとめておく.

モータに加わるトルクは減速比によって変化する.
しかし減速比を変えてもギアヘッドの中のギアの材質やモジュールはあまり変わらない.
そのためギアヘッドが耐えられるトルクは減速比には依存しない.

すると,次の直線が得られる.

しかし両方とも直列の要素であり,伝達許容トルクは低い方に合わせられる.
そして,もしギア比が低い状態で回せばモータ,ギア比が高い状態で回せばギアが壊れやすいということになる.

ただし,決して交点が一番いいというわけではなく,他の要因(例えばモータの予備はあるがギアの予備がないなど)で使い分けていくことが重要である.

平歯車

みんな大好き平歯車.
ギアヘッドの中はほぼすべて平歯車.

最も種類が多く,減速比も自由に決めることができる.
一方で一段で大きな減速比を得ようとすると,サイズが大きくなりやすい.
ギアヘッドなどの小型なギアボックスでは,多段にすることで大きなギア比を得ている.

伝達効率はギアの中でも最も高い.

軸間距離を調整することによりバックラッシュを増減できる.
一方でバックラッシュをゼロにすることはできないため,この問題が気になる場合は特殊な平歯車を使うなどの方法が必要である.

はすば歯車

歯がねじれている歯車.
平歯車に対して常に歯車同士が接触しているため,効率をそれなりに維持しすつつ許容トルクが大きくなっている.
一方でスラスト力が発生するため,対策も必要である.
二つ組み合わせたやまば歯車はスラスト力を抑えつつ高トルクを伝達できるという長所がある.

かさ歯車(マイタ歯車)

回転軸を90度曲げられる歯車.
そのためモータとタイヤの向きを変えられるため,スペースの問題を解決することができるなど利用法は多い.
ギア比が1:1であるかさ歯車はマイタ歯車と呼ばれる.

平面的な平歯車よりも立体的であり,設計は難しい.
特にスラスト力の発生するため,バックラッシュが変化することもある.
ちゃんとした設計さえできればスペースを有効に利用できる強力な歯車.

ウォーム歯車

ウォームとウォームホイールにより構成される歯車.
回転をねじれの位置に伝達することが可能.
ウォームからウォームホイールに回転力を伝えることは可能だが,ウォームホイールからは回転力がウォームに伝達しないという特徴を持つ.
比較的大きな減速比を得ることが可能.
ウォームの軸との締結が難しく,あまり許容トルクも回転数も得られないことが多い.

必ずスラスト力が発生し,摩擦も大きい.
そのため効率も低い.(一般に50~60%)
スラストベアリングやグリスといった他の歯車では必要ないものを要求することが多い.

ハイポイド歯車

ウォームと同様にねじれの位置に力を伝達できる歯車.
小型で大きな減速比を得ることが可能である一方,効率も抑え目.
また出力側からトルクを伝えないという点もウォームと同様である.

ロボコンでは使用されることが少ないだけでなく,実際使われていることが少ないため(用途は光学ステージなど),高価.
最終更新:2012年01月10日 12:55