回路図


回路図とは,これから回路を作るときやすでに作られた回路を調べたりするときに用いる設計図.
これがあるかないかで回路の作りやすさは大きく違います.



読み方


先輩から渡されたり,パソコンのデータが残っていたりして,回路図をみることがあると思います.
その仕組みを一瞬で判断できる人は,その回路を作ったことがある人だけです.

でも,部品を少なくして考えていけば,少しずつ分かってくると思います.
例えば次の回路.
部品数は約15個.

何の回路かよくわからない人もいると思います.

では,回路を分割していきます.
まず最初に理解してほしいのは,電源記号とグランド記号.
回路図の左上や部品の近くに二つの記号が出てくると思います.
この記号は,「同じ記号で書かれた場所はつながっている」という意味を持ちます.
それぞれ電源や基準電圧という意味を持ちますが,決してこの記号があるから電源があるとは限りません.
実際この回路の例では,
上のコネクタ記号により外部から電力を供給するようになっています.
また,二種類以上の記号を使ってグランド表記をすることもあります.
このときは同じ記号のみ接続し,別のグランド記号とはつながないことを示します.
今回の例では下向きの記号もグランドを示していますが,先ほどのグランド端子とは別になります.


次に省略記号.
この記号は,配線表記を省略したいときに使われます.
同じ名前のところにつながることを示しています.
例えば「SWITCH」は
の部分につながることになります.

同じ名前の記号は3つ以上あるときも,すべてつながっているという意味を持つことが多いです.
ただしミスで同じ名前にしてしまうこともあるので,注意したほうがいいかもしれません.

次に各素子について考えます.
それぞれの素子の役割は,その素子について調べればわかると思います.

まずフォトカプラ.
左のLEDが点灯すると反対側のフォトトランジスタが反応し,通電する仕組みです.
LEDには電流を減らすための抵抗がつながっていて,フォトトランジスタは電源端子につながっています.

次に電磁リレー.
電磁リレーとは,電磁石の力によりスイッチをオン,オフさせる素子です.
コイルに電流が流れると磁力が発生し,鉄片を引っ張ることにより動作します.

リレーにはトランジスタがつながっています.
トランジスタはベースからエミッタに向かって電流が流れると,コレクタからエミッタに電流を流すことができます.
よって先ほどのフォトカプラが動作すると,トランジスタがオンになります.

ここまでをまとめてみると,


  • SWITCH端子と下三角のグランドは3端子のコネクタにつながる.
  • SWITCH端子はフォトカプラのLEDを動作させることができる.
  • フォトカプラがオンになると,トランジスタのベースからエミッタに電流が流れる
  • トランジスタのコレクタはリレーのコイルに接続されているため,トランジスタが動作するとリレーも動作する.

よってSWITCH端子よりLEDを動作させるとリレーが動作することがわかります.

次にFET.
FETとは,ゲートとソース間に電圧を加えるとドレインとソースが通電する素子です.
ゲートには先ほどとは違ったフォトカプラが接続されています.
これにはFETの性質がトランジスタと違うため,FETを動作させることが可能なフォトカプラを選んでいるためです.
一方ドレインにはリレーのスイッチ側の端子が接続されています.

以上でこの回路の細分化は終わりです.


ここからはこの回路のまとめです.


この回路はモータドライバです.
単電源でモータを正転も逆転もできるようにするためにはHブリッジが必要となります.
そのため1C接点型の電磁リレーを2つ使って,Hブリッジを作っています.

一方でリレーのスイッチ側の接続は左のリレーと右のリレーで異なっています.
これによりHブリッジは常に動作側になっています.
そこでグランドとリレースイッチの間にFETを用いることにより,停止させることを可能としています.


以上で細分化による読み方説明は終わりです.
わからないことがあれば,コメントにお願いします.


書き方


回路図の書き方は,読み方が分かっていれば難しくはありません.
自分を含めた読む人のためにも,しっかり書きましょう.

ただし,ここでは回路設計には触れません.
実際にある回路を回路図に変換する作業について書いていきます.

まず回路図には基板上についているすべての部品が書かれている必要があります.
回路図上には何もないところに抵抗があったとき,回路の動作が違ってくることさえあります.
そのためにも,まずはすべての素子を回路図上に置きます.
配置はまだ適当で構いません.

次に配線をしたいところですが,まず等電位の中でもよく使う電源電圧とグランド電圧の記号を決めます.
あくまでどちらも基準なので記号は自由で構いませんが,基本的には一番低い電圧にグランド記号,電源の電圧に電源記号を持っていきます.

この二つにつなぐ線は一番多いので,,回路図上で配線をしたときに線が多くなりません.

そしてこの後に配線を行います.
配線が交差する場合は,わかりやすいように直角に交差させましょう.
極力交差させないように,省略記号を使っていくことも重要です.

そして配線が終了した後に,素子の並べ替えをします.
配線が交差しないようにしたり,線を短くしたり省略することにより,回路図が見やすくなります.

そして並べ替えも終わり図面が見やすくなったら,コメントを入れておきます.
だれがいつ作ったのか,問題はあるのかなどを書いておくと,将来その回路図をもとに改良された回路ができるかもしれません.




実際に作るときに間違って配線しないためにも,回路図は作って印刷しましょう.



  • よく見たらコネクタ側の省略記号の向き反対だった,脳内補完してみてください -- 管理人 (2011-04-26 14:23:24)
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最終更新:2011年04月26日 14:36