PWM


PWMとは,Pulse Width Modulationの略で,日本語ではパルス幅変調.
おそらく機械系の人でも「モータにPWMを使う」なんて言葉を聞いたことがあると思う.
はたしてどんなものなのか,またはどうすればできるのかを考えてみよう.


PWM波形

PWMの信号の波形は,単純な0と1の繰り返しでできている.
この1と0の時間を自由に変えることで,少数(分数)を表現する.
例えば次の例.
この時は1と0の時間の合計を5とした場合,1の時間を

0,1,2,3,4,5

と変更すると,一回の波の1である時間の割合は,

0,1/5,2/5,3/5,4/5,1

と分数で表すことができる.
ディジタル信号では少数や分数は表しにくいが,これなら割合として分数を示すことができる.
この波形を増幅すると,モータを0.5倍速で回したり,0.1倍速で回したりすることができる.

この分数で表された数値をデューティ比,切り替えられる段階の数(今回は6)を分解能と呼ぶ.
またデューティ比を0.5としても次のように周波数も変えることができる.


分解能が大きいほど細かくデューティ比を調節できるが,

パルス波の周波数×分解能 < (=) 回路の動作周波数

となる.
周波数は一般にモータとモータドライバが対応できる周波数に合わせる必要があり,

モータは約20kHzまで,
モータドライバは仕様により変化.

そして感覚的に1kHz以上なければモータの回転に違和感を感じる.




PWM波形の利用方法

モータドライバでPWM信号は,主にトランジスタやFETのスイッチングに使われている.
一種のD/A変換としてとらえることもできる.
ただし,電圧制御と違い回転数とデューティ比が比例しない.


モータドライバにはよくトランジスタやFETが使われているが,それでもPWM使用可能だったり不可能だったりするものがある.
それは周波数を上げていくと,FETの消費電力が増えていくため.
FETにはコンデンサの成分があり,パルス波の電圧を高周波で与えるとたくさんの電流を必要としてしまう.
そのためたくさん電流を流せる素子を用意する必要があるが,これの値段が高い.
だから,ある程度周波数は低めに設定することで値段を抑えて自作することが多い.


PWMの発生方法

一般にPWMの発生には比較器が用いられている.
比較するのは電圧でもカウンタでもよい.

マイコンのPWM発生方法には,カウンタ比較が用いられる.
一定速度でカウンタを上げていき,ある値になったらカウンタをリセットする.
このカウンタの値とある一定の値を比較すると,PWMを作ることができる.

一方アナログ回路ではカウンタの代わりに三角波を用いる.
まずタイマ回路で方形波を作り,それを積分して三角波を作る.
この三角波をコンパレータを用いて一定の値と比較することで,PWMを作る.
最終更新:2011年06月07日 15:25