基板加工


ユニバーサル基板では物足りないけど,プリント基板なんてやったことがない人向けのページ.

なぜ基板加工をするか


基板加工をしたことによる一番の長所は,どんなサイズの素子も取り付けられること.
表面実装も可能だし,2.54ピッチじゃない素子でも取り付けられる.

他にも基板のサイズが自由なので小型化したい,むしろ大型化したいなど様々な用途に対応できる.
斜めに素子を置くことすらできる.
また配線の手間をなくすことができ,はんだ付けの効率が上がる.

しかし一方で,感光基板は有毒で処理が大変なエッチング液を使わなくてはならず,基板加工機は高くて買えない.
実際加工する手間も結構あり,単純に製作が早くなるわけではない.

感光基板

感光基板というのは,光(紫外線)を与えると現像液に溶ける特殊な膜が塗ってあり,自由にプリント基板を作成できる.
細い線を実現するのは基板加工機よりも簡単だが,一方で作業によってはすべて失敗する可能性もあわせもつ.

前にプリント基板を行った時にまとめた資料です.
やりたいという方がいれば,参考になるといいですが.
プリント基板.pdf

実際作ってみるとパターンの露光とエッチングの時間による線の太さの変化が気になる.
安定して作るためには露光機やエッチング機を用意するといいかもしれない.


基板加工機


特殊なミルによって線を削れる基板加工機という機械を使ってプリント基板を作る.
基板加工機は通常買える値段ではないため,科や研究室にあればやっと使える.
ミルの値段は高いが,感光基板に比べ銅板が非常に安いため,基板加工機さえあれば意外と安く作ることができる.
ある程度の剛性があれば,卓上CNCフライスでも代用可能の模様.
MDX-20,ORIGINALMINDのミルで切削可能であることを確認.


Gコードとガーバーデータに互換性がないので,CNCフライスで代わりに作ろうとしても一苦労することになる.

ガーバーデータを作成するソフトは回路図エディタでも紹介しているので参考にしてください.



レジスト


基板加工が終わった場合,銅板は少し触れるだけでどんどん錆びてしまう.
そこで基板にレジスト材を塗布することで酸化を防止できる.

サンハヤトでいくつかレジストスプレーなどを販売している.
色は緑かクリアが多い.

企業に基板加工を依頼すると,レジストまでやってくれるところが多い.

このレジストの作業だが,はんだ付けの前にやるとはんだ付けが大変になり,はんだ付けの後にやると素子が邪魔で塗布しにくいという関係がある.
完成時の出来上がりを優先するならはんだ付けの前に,作って動かしてから保護したいならはんだ付けの後にやるとよい.

厚さにもよるが,マイナスドライバーではがすことはできる.
むしろ自作の場合はレジストの厚みは厚くしようとして多くかけても溶剤が多くなり溶けて流れてしまうので結構難しい.


シルク

外注する基板の上には,レジストに加え文字や図形を印刷することができる.
それをシルクと呼び,部品番号や部品の配置図などを書いておくことができる.
大量生産するためには誰でも作れることが望ましいので,ちゃんと書いて整えておくといい.


スルーホール加工

基板加工機や感光基板で作った基板では,表と裏は導通してないため,ビアと呼ばれる通電穴を用意する必要がある.
しかし部品が置かれてる場所にビアを配置するとはんだ付けが干渉してしまう.
そこでスルーホール加工を行う.
専用の工具が必要となるが,両面基板の表と裏の配線を導通させるだけでなく,部品の配線を表裏自由に配置することができるようになる.

ただ,私は持ってないのでなんとも・・・


はんだ付けの注意点


ユニバーサル基板では部品を取り付けるときに隣のランドにはんだが流れても大丈夫だが,基板加工をするとそばにグランドが来ることが多く,少しの油断がショートにつながってしまう.
また一度つながってしまうとどこがつながっているか確認するのが大変である.

そこではんだ付けするときはそばにテスタの導通チェックモードを用意しておき,一つつけるごとに回路の導通をチェックすることをお勧めする.

レジストより先にはんだ付けする場合は,液体フラックスを用意しておき,基板加工をした後にすぐ塗布することで酸化を防止できる.
最終更新:2011年11月28日 17:47