なめくじ◆hD/dmj6av6


その日。ニコニコが震撼した。
狭い世界であるニコニコは、その性質上排他的な側面も持っている。
気に入らないものは叩き、肌に合わないものは隔離する。
それがニコニコのあり方であり、また、それがある種の掟に近いものだった。

話は変わる。ニコニコに住まうものたちは日本人が多い。
日本人というものは、海外の『何か』を敬遠しがちである。
もちろん全てがそうではない。一般的にそうであることが多い。ということだ。

その日本人が、ある日出会ったのは【組曲『ニコニコ動画』台湾人で大合唱】である。
改めて言おう。ニコニコが震撼した。
そして人々は感動した。

排他的な性質を持つコミュニティであり、その住民は海外を敬遠するのに。だ。
日本人はこぞって動画を見、歌を聴き、キーボードに想いをぶつける。
その住人の中に、なめくじもいた。

彼、なめくじはただの人である。
技術も知識も持たぬ彼であったが、想いは持っていた。
「何かお返しを」「この胸に滾る熱き心の叫びを届けたい」
「翠星石は俺の嫁」「身は遠く離れていても心は近いと伝えたい」
「何か、何でもいい。俺にできることはないのか!」
そして彼はとある集団の中に身を投じる。
そう、後のNNT団である。

彼はまず、歌詞の改変に着手した。
曲を聴き、歌詞を書き取り、想いを込めて文字を書き換える。
その作業は早朝から深夜に及んだ。約10時間の作業である。
内、8時間ほどが休憩に費やされた。

多く提出された歌詞は投票で選別されることとなった。
彼の歌詞もいくつか選ばれた。
彼は喜んだ。思わず衣服を脱ぎ捨て、ポーズをとった。
その行いには、意味も生産性も皆無である。

次に彼は歌を歌った。
音漏れとノイズ対策のために窓は締め切った。
暑かった。しかしノイズはなく、音は漏れなかった。
しかし、力んでシャウトした時に、彼は少し漏らした。

この頃から彼は露出趣味を団員に告白。
自身の裸体を写真にとっては公開。
それにより彼の裸踊りが動画に組み込まれることになる。

こしみのを手作りした。
等間隔に切った梱包用の紐を、ひたすら縛り付ける。
約6時間かかった。内、休憩は30分程。
割と、ガチな作業だった。

そして彼の仕事は終了を迎える。
あとは各地から集まった超人達の作業を見守るだけだった。

彼はこう、言葉残している。

台湾だとか海外とか関係ないですよ。
わたしたちが好きなものを好きになってくれた。
ん?そりゃ違いは色々とあるでしょう。しかし、
最も大切なのは気持ち。
高い志。その二つがあれば人は何でも出来るんです。







最終更新:2007年11月30日 22:57