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先駆者たち

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先駆者たち

シヴァリング・アイルズの奇妙な廃墟の検証と、我々の未来に対するその恐ろしい意義


放浪者イングヴァール 著

地方に点在する古代の廃墟は、シヴァリング・アイルズの住民たちにとっては見慣れた光景である。あまりにも見慣れているため、その重要性について大部分の人たちがこれまで気づかなかったほどだ。最近になって私はこれらの廃墟に隠されていた恐ろしい秘密を発見し、その秘密をここで皆さんと共有したいと思う。しかし忠告しておくが、この知識は一部の人にとっては過酷すぎるかもしれない。恐ろしい運命が待ち受けているというのに、それを避ける術が全くないのだから。残酷な未来があらわになることで受ける精神的な衝撃に耐えられるだけの強い心を持っているなら、読み進めなさい。

廃墟に対する私の興味は、ある単純な観察から始まった。表面的に見る限り、どの廃墟もだいたい同じ古さと建築様式を持っているようである。かつては堅固だったはずのこれらの構造物を作ったのは一体誰で、その人々に一体何が起きたのだろうか?

調査を進めるうち、さらに奇妙な真実が見えてきた。廃墟は一見どれも同じ時代の物のように見えるが、実はそれぞれ大幅に異なる時代の物だったのだ。シラルンの廃墟(比較的保存状態は良いが、間違いなく、現存する地上最古の物)と、約千年前に建てられ、アイルズで最も新しい遺跡の一つであるエブロッカの廃墟とでは、何千年もの開きがあるのだ。この結論を却下される方は、廃墟を訪ねて自分で証拠を確かめてみることを勧める。つまり、建造物の埋まっている部分を覆う地層の深さや、むき出しになった石の風化の度合い、建造物の上および周辺の植物の成長、等々だ。(証拠に関しては、別の研究論文「先人たちの廃墟の年代測定:衝撃の新証拠を徹底解明」にまとめてあり、この件をもっと掘り下げて詳しく調査したいという学者のために喜んで公表したいのだが、今のところまだ出版はされていない。)

様々な廃墟の年代を正確に立証してみたところ、気になるパターンが見えてきた。廃墟はいくつかの明確な年代に分類することができ、それぞれの年代がきっちり一千年ずつ離れているのである(シラルンだけは例外で、その次に古い廃墟から何千年も時代をさかのぼる。このことは、より古い時代の廃墟がまだ発見されずにいるか、あるいは時の試練に破壊されて失われてしまったことを示していると思われる)。

一千年ごとに確実に繰り返されたこの破滅のプロセスは、何を持って説明することができるのだろうか? すぐに思い浮かぶのは、復讐心に燃えた神がその怒りを大地に向けて発散したという古代の物語、グレイマーチの伝説である。もし仮に、それが単なる伝説でなかったとしたら? 実際に起きた出来事が、おぼろげな記憶として伝わっているのだとしたら?

発見された中で最も新しい廃墟であるところのエブロッカの年代を測定することの重要性を、私は即座に理解した。検証の結果、約一千年前の物であることが証明されたのである。そうです、親愛なる読者よ、ついにこの点に到達してしまった。大変動は私たちの身に再び降りかかろうとしているのだ。エブロッカの廃墟に関しては、極めて正確に年代を測定した。我々の破滅が何年に起きるのか、私は知っている。この知識は、他の人たちに負わせてしまうにはあまりにも恐ろしい重荷であるため、正確な日付まで公表するのは差し控えたいと思う。

この概略的な警告書を出版することさえ、パニックあるいは絶望を引き起こしかねないため、私は長い間ためらってきた。しかし、何も知らないまま終末を迎えるよりは、どのようなことであれ、それに向けた準備をする時間があったほうがいいだろうという結論に達したのだ。グレイマーチの伝説が歴史上の出来事に基づく物だということを、私は今や確信している。我々の文明が迎える最後の日が恐ろしい物となることも間違いないだろう。過ぎ去りし時代の強大な都市が残した、破壊されて崩れ落ちた石の数々を見れば、それは疑いない。しかしながら、我々の最後が先人たちの石にすでに書かれていたことを知って、私は奇妙な安らぎを覚え、破滅に抗おうとすることは、押し寄せる波に向かって叫ぶのと同じぐらい無意味なことだとも感じたのである。この暗い見通しに対して、私と同じように安らぎを感じる読者が少しはいることを願っている。



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