オブリビオン図書館

エリトラの一生

最終更新:

oblivionlibrary

- view
管理者のみ編集可
エリトラの一生
カルメル 著

ここシヴァリング・アイルズの獣の中で私が選んだのはある奇妙な生物である。このエリトラ── 優しい生物がいたとしても最も優しい生物─ は私を自分の子と同様にその中に迎えてくれた。私は彼らの巣穴の中で、まるでそこが自分の粗末な小屋であるかのように生活を送った。実際、私は彼らの暖かい家庭に招かれたのだ。

エリトラに遭遇すると、多くの者はその姿を見て最初は不安になる。単にその大きさで人間のような種族のほとんどは不安になってしまう。肥大した胸部は人間の男ほどの大きさになり、胴回りとほぼ同じになる。私が最初にこの昆虫のような友人に遭遇した時は、肥大した胸部はエリトラが生きていくために不可欠なイコルを作るためにあるのだと信じていた。だが実は、胸部は彼らのかわいい命が誕生する大切な子宮なのだ。

しかし、胸部の下部近くにある角に集まるイコルの重要性を無視することはできない。この大切な部位からはほとんどの者が酸味があって酸っぱい(私は楽しいと思うのだが)と表現できる匂いを発している。このイコルにはエリトラの最も輝かしい目的がある。それは他の生物の生体組織を麻痺させ、エリトラの進出に抵抗できなくさせるのに使われる。ここは本当に輝く場所なのである。

適した宿主を選ぶと、エリトラはその生物に居すわる。呼吸する生物であれば、何でもこの目的に適している。私自身、エリトラ・マトロンが単純なウルフから優秀な錬金術師カジートまでの生物を選ぶのを目撃した。毎回、宿主は注意深く選ばれる。確かに、アイルズの迷信を信じる農民はエリトラはどんな生物でも攻撃すると言うが、私は目撃してから、彼らがそれぞれの宿主に最大限の注意を払って近づくことを知っている。

宿主は刺されると、その体はイコルの溢れんばかりの甘さで満たされる。エリトラの毒針が優しく捕らえた宿主に刺さると、その不思議な性質によって静かに、すみやかに息を引き取る。宿主が死ぬと、エリトラは宿主のまだ温かい殻の中に卵の巣を作る。そこで、卵は宿主の体を餌にしながら、数日間以上かけて温まり、成長していく。その後すぐにヒナが出てくると、よろめきながら巣立っていくのだ。



タグ:

茶2 SI 生物学
記事メニュー
目安箱バナー