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伝説か脅威か

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 幾人もの調査人が盗賊ギルドという難問を解いてみせようとした。組織としての盗賊ギルドは存在しないといくら証明されようとも、うわさ話が立ち消えになることはない。この謎の組織が実在する証拠を掴もうとする歴史家はいたが、何ひとつとして発見されず、目撃者は何も知らないと言い、隠れ家はもぬけの殻であった。故買人はただの業者だった。
 ひとつはっきりさせておこう。盗賊は実在する。彼らはタムリエル各地の地下牢に投獄されているし、何人かの盗賊が徒党を組んで犯罪を行っていることも間違いない。まれにだが、窃盗その他の行為を何年も続けていたしぶとい盗賊団の存在が立証されたこともある。
 しかし、ギルドはただの集まりではなく、会員名簿があるような組織であるとされている。財務構成がしっかりしていて、登録料やその他の資金確保の手段が確立されている。会員規約だってある。ギルドとはリーダーを頂点とする階層的組織で、組織内には昇級や継承の決まりも定められている。
 立証されている盗賊ギルドでも最大のものはモロウウィンドにあった。わずかな期間ではあったが、郷神ジム・ステイシーが盗賊の組織を運営し、この島国で暮らす裕福な商人や貴族の家に盗みに入らせていたのだ。最近のネヴァリンの事件で、戦士ギルドと謎の人物、モラグ・トングがこのごろつきどもを一掃した。ジム・ステイシーの末路については定かではない。
 モロウウィンドの盗賊ギルドはしっかりした財務構造を持つ、リーダーを軸とする組織であった。そういう意味では真のギルドにふさわしい条件を満たしていたが、短命であった。ステイシーの盗賊団が世間を騒がせたのはわずか数年でしかない。戦士ギルドが彼らを壊滅に追いやったと称される一方、ある歴史家は、ステイシーの盗賊団は地下組織化したにすぎないのではないかと見ている。
 盗賊ギルドが存在しないと断定するには、きわめて論理的な問題がつきまとう。反対意見を証明することができないのだ。歴史家がその存在を記録に残してこなかったというだけでは、盗賊ギルドが実在しないと証明するのはとうていかなわないのである。
 盗賊ギルドがシロディールで活動しているならば、犯罪がはびこっていてもよさそうなものだが、そういうことはない。盗賊とは、本質的に、長いあいだお互いを信用して仕事を続けることができない人種なのだ。生まれついての違法者なのである。そのため、盗賊のみで構成された法にもとづく組織は崩壊する運命にある。こうした理由から、現代の盗賊ギルドがシロディールで暗躍しているという主張には異議を唱えたい。



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