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戦士ギルドの歴史 第1版

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戦士ギルドの歴史 第1版

 第二紀の283年、支配者ヴェルシデュ・シャイエは、帝都分裂の危機に直面していた。タムリエル全土の従属する王国の数々は反乱の極みに達し、公然と彼の統治に挑んできた。彼らは税の支払いを拒否し、全土で帝都軍に対して突撃隊を繰り出してきた。ドーンスターの要塞が破壊されたとき、彼は、ドーンスターの南に位置する街で集まったことから、後にバードモント評議と呼ばれることになる街に、帝都評議会を招集した。そこでポテンテイトは、包括的かつ全土共通の戒厳令を敷いた。タムリエルの王子たちは軍を解散するなか、彼の憤怒を目の当たりにすることとなる。

 次の35年間はタムリエルの激しい歴史の中でも、おそらく最も血塗られた期間であった。

 王族軍を最後の1兵まで鎮圧するために、ヴェルシデュ・シャイエは多くの精鋭部隊を犠牲にしたと同様に、帝都公庫のゴールドをほぼ使い切った。しかし、かれは考えられないことを成し遂げた。歴史上初めて、全土に1つの軍隊しか存在しなくなった、それは彼の軍であった。

 直後に表面化した問題は、大勝利と同じくらい信じ難いことだった。破られた各王国は、防衛にゴールドを使い果たしてしまい、ポテンテイトは戦争によって全土を貧困に陥れてしまったのだ。農民も商人も皆、生計をたてる手段を絶たれてしまった。以前は、タムリエルの王子たちは税を支払わなかったが、今は支払えないのだ。

 戦争で得をしたのは、地元の衛兵や民兵が居ないのを良いことに、崩壊した無秩序な土地を食い荒らした犯罪者たちだけであった。それはアカヴィリが最後の従属国軍を打ち負かす遥か前から危ぐしていたことであるが、解決策を見出せづにいた。国は未だかつて見たことがない混乱の渦の中にあるのだが、従属国にまた軍を持たせる訳にはいかなかった。彼の軍が犯罪の増加と戦ったが、中央軍では地元の地下組織に敵うはずがなかった。

 320年が明けると、ヴェルシデュ・シャイエの血縁者である(鋼鉄の)ディニエラス・ヴェスが同伴者を引き連れてポテンテイトの前に現れた。常設軍の代わりに貴族階級に雇われる、商業としての「雇われ戦士」を提言したのは彼であった。雇用は一時的で、料金の一部はポテンテイトの政府に流入する。したがって、ウェルシデュ・シャイエの2つの大きな傷に応急処置をすることになる。

 その頃は、ツァエシの言葉で「兵士」を表す「スィフィム」と呼ばれていたが、後に「戦士ギルド」として知られるようになる組織が誕生した。

 (鋼鉄の)ディニエラス・ヴェスは当初、この一団は完全にアカヴィルで構成するべきと考えていた。彼のこの考えは、どの歴史学者も異議を唱えないが、彼の動機に関してはしばしば論議される。従来の簡単な説明としては、彼は同胞のことをよく理解していたし、信頼もしていたし、アカヴィリの伝統である、利益のための戦闘が役に立つと考えたからである。もう一方が根拠とともに信じているのは、彼はポテンテイトとともにこの一団を使って、500年以上も前に始まったタムリエルの征服を完結させようとしたことだった。アカヴィルがタムリエルを第一紀の2703に攻撃した際、彼らはレマン王朝によって押し返されていた。今はポテンテイトが玉座に座り、ディニエラス・ヴェスの策謀があり、地元の軍もアカヴィリになる。戦闘にて成しえなかったことを、我慢することによって首尾よく成しえることができたであろう、典型的な、時には不自由しなかった不死の蛇、アカヴィルのツァエシ戦略と多くの学者は提言する。

 一方で、重要な点は、実用的ではなかったことである。スィフィムはシロディール周辺の王国に定着したが、地元の戦士も必要であることが明らかとなった。問題の一部は、単純に、仕事の量に対してアカヴィリの数が足らなかったのである。もう一方の問題は、蛇男たちは割り当てられた地域の地理や政治が理解できなかったのである

 スィフィムにアカヴィリ以外が必要であったのは明白であり、その年の中頃にはノルドの魔闘士、ならず者、騎士の3名が入団した。

 名前は消失されてしまったがこの騎士は、非常に腕の良い鍛冶であり、おそらくディニエラス・ヴェス以外の誰よりも、組織の強化に貢献した。良く言われていることであるが、アカヴィリ、特にツァエシは鎧よりも武器に精通していた。例え彼らが着用できなくても騎士は他のスィフィムたちにパルドンやグリーブの結合部分の数を教えたり、アケトンとアームカシェン、ゴーゲットとグリードシュリム、パレットとパスガード、タバルドとタセットの違いなどを説明することによって、敵の鎧の弱点を説明できた。

 この知識をもとに、彼らの人数では考えられないほどの飛躍的な速度で略奪者たちを破っていった。もしアカヴィルがノルドの鍛冶を第一紀に雇っていたなら、侵略は成功したであろうと、歴史家の間では冗談が交わされていた。

 最初にスィフィムに入団した3名の部外者の成功によって、地元の人口に扉が開かれた。その年が終わる前にディニエラス・ヴェスは彼の商売を帝都全土に広げた。絶望的な貧困者、戦闘や冒険好き、近所の治安を守るためなど様々な理由から、若い男女が大量に彼の一団に押し寄せた。彼らは訓練を受け、衛兵や兵士としての役割を担い、すぐに上流階級の問題解決の任務に就いた。

 犯罪との戦いや、その土地のモンスターとの戦いにおけるスフィムの当初の成功は支配者ヴェルシデュ・シャイエを感動させ、帝都の認可に興味を持っている他の組織の代表者たちを歓待した。もっと早くに結成されていたが、魔術師ギルドは疑いの目で政府から見られていた。そして第二紀の321年、ポテンテイトはギルド法令を承認し、ウィザードギルドに正式認可を下し、次のギルドも認可した。よろず屋、靴屋、売春婦、写本筆者、建築家、醸造者、ぶどう酒醸造者、織工、ネズミ捕り、毛皮職人、料理人、占星家、治癒師、仕立屋、歌手、弁護士、スフィム。特許状のなかでは、もはやスフィムと呼ばれておらず、人々に呼ばれるようになった戦士ギルドとなった。すべてのギルド、そして以後の第二紀、第三紀中に認可されたギルドは、それがタムリエルの人々にとってどれだけ価値があるかを理解していたシロディール帝都の保護と奨励を受けることとなる。すべてのギルドはその影響力を全土に広めるらめには対価を払わねばならない。帝都は彼らの存在で強化され、帝都の金庫はまた満ちた。

 ヴェルシデュ・シャイエが他界してまもなく、ギルド法令からたったの3年後、彼の後継者であるサヴィリエン・チョラックは地方軍の再結成を許した。もはや戦士ギルドは地元の上流階級の主力ではなくなったが、彼らの価値は確立されていた。もちろん富を追い求めた強力な個人は過去にも居たが、多くの歴史家は、ディニエラス・ヴェスを現在の冒険者現象、それは富と名声の探求に人生を捧げる男女の元祖と位置づけている。

 よって、我々は戦士ギルドにたいしてとても感謝している── 隊員や強力な戦力を法の範囲内の料金で提供する中立の方針によって助けられた人々に限らず。彼らが居なかったら、ギルドは存在しなかったであろうし、独立した冒険者の手本さえもなかったと言っても過言ではない。



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