オブリビオン図書館
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オブリビオン図書館
ja
2012-05-26T14:59:57+09:00
1338011997
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書物/本物のバレンジア 第3巻
https://w.atwiki.jp/oblivionlibrary/pages/276.html
#blockquote(){本物のバレンジア 第3巻
著者不明
数日のあいだ、友人に会えないという悲しみにバレンジアの心は沈んでいた。が、二週間もすると少しは元気を取り戻しはじめていた。こうしたまた旅ができることが喜ばしくはあったが、ストローがそばにいないという喪失感はことのほか大きかった。護衛についていたのはレッドガードの騎士団で、彼らのそばにいると心がなごんだ。かつてともに旅した隊商の衛兵に比べると、ひと回りもふた回りも規律にうるさく、礼儀をわきまえてはいたのだが、バレンジアのおふざけにも気さくに、それでいて敬意を忘れずに応じていた。
シムマチャスはこっそりと彼女を叱りつけた。女王たるもの、ひと時たりとも王族の威厳を忘れてはなりませんと。
「いっさいのお楽しみはおあずけってこと?」と、バレンジアはすねながら訊いた。
「その、ああいう輩とはいけません。女王の沽券にかかわりますから。権力者に求められるのは典雅さであって親しみやすさではないのです。帝都ではいつもしおらしく、慎ましくなさるように」
バレンジアは顔をしかめた。「ダークムーア城に戻ったほうがましかもね。エルフはね、生まれつき淫乱なの。みんなそう言うわ」
「なら、みんながおかしいのです。淫乱なエルフもそうでないエルフもいる。皇帝としても私としても、あなたには見識と良識を兼ね備えていただきたい。お忘れでしょうか、女王様。あなたがモーンホールドの王位に就けるのは血筋の力ではなく、タイバー・セプティムのご意向だからですぞ。皇帝が不適格とみなせば、あなたの統治は始まるまでもなく終焉を迎えます。皇帝は知性、服従、分別、それに絶対的忠誠を部下に求められる。とりわけ、女性には純潔さと謙虚さを要求されるお方だ。女王様にはぜひとも、ドレリアン嬢の立ち居振る舞いを見習っていただきたい」
「ああもう、ダークムーアに帰りたいわ!」と、バレンジアはいらついて言い放った。冷静沈着でぶりっ子なドレリアンの真似をするなど願い下げだった。
「あきらめるんですな、女王様。あなたの価値がなくなれば、皇帝は自分の敵にとってもあなたの価値がなくなったと考えるでしょうから」と、将軍は大仰に言った。「用済みにされたくなければ言うことを聞くんですな。さらに付け加えるなら、権力のもたらす喜びには淫蕩やち
2012-05-26T14:59:57+09:00
1338011997
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書物/本物のバレンジア 第2巻
https://w.atwiki.jp/oblivionlibrary/pages/275.html
#blockquote(){本物のバレンジア 第2巻
著者不明
バレンジアとストローは貧民街に安い部屋を借りて、&tooltip(リフトン){UESPによると"Riften (also known as Rifton)"、スカイリム日本語版ではリフテン}で冬を過ごすことにした。バレンジアは盗賊ギルドに入ろうとしていた。好き勝手に盗みを働いていてはいつか面倒なことになるとわかっていたから。ある日、盗賊ギルドの名の知れたメンバーのひとりと酒場で目が合った。若さあふれるカジートで、その名をセリスといった。ギルドに紹介してくれたらあなたと寝てもいいわ、とバレンジアは声をかけた。セリスは彼女を見つめてから笑みを浮かべると、いいとも、と言った。が、まずは儀式をこなすのが先決だとも言った。
「どんな儀式なの?」
「ああ」と、セリスは言った。「前払いでたのむぜ、かわいこちゃん」
(この一節は神殿によって検閲を受けている)
ストローに殺される、たぶんセリスも。いったいどういう気まぐれでこんなことをしてしまったのか。バレンジアはおどおどした目つきで部屋を見渡した。だが、他のパトロンはとっくに興味を失って仕事に戻っていた。知らない顔ばかりだった。彼女とストローが泊まっている部屋ではなかった。運がよければ、しばらくはストローにばれずにすむかもしれない。あわよくば永遠に。
&nowiki(){***}
バレンジアはセリスほど刺激的で魅力のある男には出会ったことがなかった。盗賊ギルドのメンバーに求められるスキルについて教えてくれるばかりか、そうしたスキルの稽古もつけてくれた。あるいは、稽古をつけられる人物を紹介してくれた。
その中に、魔術に詳しい女がいた。カチーシャは貫禄たっぷりに肥えたノルドで、鍛冶屋の妻として二人の十代の子供をもうけており、派手さはないが尊敬すべき女性だった。ただし、とにかく猫が好き(論理的に考えれば、その人間版であるカジートも)で、いくつかの魔法の才能があり、変わった友人が多いという特徴はあったが。彼女はバレンジアに透明化の呪文を教えて、隠密行動や変装の技法をいくつか仕込んだ。魔術の才能と魔術のいらない才能を好きなように組み合わせて総合力を高めるということもやってのけた。盗賊ギルドのメンバーではなかったが、セリス
2012-05-26T14:57:54+09:00
1338011874
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書物/本物のバレンジア 第1巻
https://w.atwiki.jp/oblivionlibrary/pages/274.html
#blockquote(){本物のバレンジア 第1巻
著者不明
500年前のことだ。宝珠の街、モーンホールドに盲目の未亡人と、かさばる体つきの独り息子が暮らしていた。亡き父がそうであったように、彼もまた鉱員であった。マジカの才能に乏しいため、モーンホールドの王の所有する鉱山でありふれた肉体労働についていた。立派な仕事ではあったが、賃金は安かった。母親は手作りのコーンベリーのケーキを市場で売って、苦しい家計の足しにしていた。なんとか暮らしていけるものね、と母は言った。食事に困ることもないし、衣服は一着もあれば事足りるし、雨が降らなければ雨漏りもしないから、と。が、シムマチャスはそれ以上のものを望んだ。とてつもない鉱脈を掘り当てて、高額の賞与を手にすることを夢見ていた。仕事が終わればジョッキを片手に酒場で友人と盛りあがり、賭けトランプに興じていた。かわいいエルフの娘たちに色目を使い、ため息をつかせてもいたが、まともに相手にされることはなかった。彼は典型的な田舎育ちのダークエルフの若者で、巨体以外にはとりえがなかった。ノルドの血が混じっているのではないかという噂もあった。
シムマチャスが30歳のとき、モーンホールドの街が歓喜にわいた。王と王妃に女の子が授かったのだ。「女王様の誕生だ!」と人々は喜びを歌にした。モーンホールドの民にとって、女の世継ぎが生まれたことは、未来の平和と繁栄を約束する象徴でもあった。
王族の子の「命名の儀」が近づくと、鉱山はいったん休業となった。シムマチャスはすっ飛んで家に帰って体を洗い、一張羅を身につけた。「真っ先に家に帰ってきて母さんに報告するから」と、出かけられない母親をきづかった。体が弱っていたこともあったが、祝典に集った人ごみの渦に飲み込まれてしまいかねなかったからだ。それに盲目のため、いずれにしても何かを見ることはかなわなかった。
「おまえや」と、母は言った。「出かける前に、僧侶か医者を呼んできておくれ。おまえが帰ってくるまでにおだぶつになっちまいそうだよ」
シムマチャスはわら布団に横たわる母のもとへ近づくと、ひどく不安になった。母のおでこは燃えるように熱く、その息も浅かった。床板を力ずくでずらすと、その下に隠してあったわずかばかりの蓄えをじっと見た。僧侶に治療してもらうにはとても足りなかった。すべ
2012-05-26T14:56:06+09:00
1338011766
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書物/死霊術師の月
https://w.atwiki.jp/oblivionlibrary/pages/273.html
#blockquote(){虫の兄弟姉妹たちよ!
我々が直面している試練に落胆することはない。我らの時代はすぐにも訪れるのだから。
虫の神は我々の教団を見守っており、最後の審判の日に我々を苦しみの時代から救い出してくれる。その時が来るまで神が与えし務めを密かに果たし、神の求めに従い、空に目を向けて神の印を探し続けるのだ。
死霊術師の月である幽鬼が我々を見守っている。神性へと昇華した彼の形態は、それがあるべき場所である空に収まり、我々が神に仕えられるよう、敵であるアーケイを我々の目から隠してくれている。印を期待して待て。神々しい光が空から降りてくる時、神の祭壇へと駆けつけ、捧げ物をするのだ。そうすれば神はその真の力の一端を見せてお前を祝福してくれるだろう。神に捧げられた極大魂石は黒ずみ、無意識な魂をわなで捕らえる際に使われるだろう。偉大なるガスタでさえその偉業に驚嘆するに違いない。
黒虫の教団に忠実であれ。お前の忠誠はやがて報いられるだろう。いずれ時が来れば神は世界を正しい状態にするために戻ってきて、邪魔だてをする者たちは、かつて刃向かった者たちがそうなったのと同じように、その手にかかり永遠に苦しむことになるだろう。
その日が来るまで、辛抱強く信じ続けるのだ。洞窟の中に、廃墟の要塞に、あるいは秘密の隠れ家に身を潜めて。子分を育て、召使いを召喚し、呪文をかけるのだ。求められた時には教団の招集に応じるがいい。目を凝らし、耳を澄ませ。}
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&tags()
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&furigana(しりょうじゅつしのつき)
2012-05-26T14:48:09+09:00
1338011289
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書物/ベロのスピーチへの反応
https://w.atwiki.jp/oblivionlibrary/pages/272.html
#blockquote(){ベロのスピーチへの反応
魔闘士マルヴィサー 著
収穫の月14日、ベレヴァー・ベロという名の幻惑士が、帝都にあるジュリアノスの礼拝堂にて、非常に無知なスピーチを行なった。類稀なる無知なスピーチであったため、反応する理由がなかった。残念ながら、彼はその後スピーチの内容を『魔闘士へのベロのスピーチ』として自主的に出版し、少しばかりの受けるに値しない注目を学会から浴びた。ともに彼の誤認を解消しよう。
ベロは講演を、タイバー・セプティムの帝都魔闘士、ズーリン・アルクタスから、ユリエル・セプティム七世の帝都魔闘士、ジャガル・サルンまでの有名な魔闘士の一般的に事実とされている記録を述べるところから始めた。彼の狙いは、重要な場面で魔闘士は、その強みとされている破壊学よりも、違うマジカに頼るということを知らしめたかったのである。まず、この歴史の事実について異議を唱えさせてもらう。
ズーリン・アルクタスはベロが主張するように、神秘論や召喚の呪文を使ってヌミディウムというゴーレムを作り出していない。実際のところ、ヌミディウムがどのように作られたか、またはそれがゴーレムや精霊のような言葉がもつ伝統的な意味あいのものであったのか、我々は知らない。ユリエル5世の魔闘士ヘソスは帝都魔闘士ではなかった── 彼は単に帝都に雇われた妖術師であったので、彼がアカヴィルとの様々な戦闘でどのような呪文を唱えたかは無関係であり、それらが聞き伝えであることは言うに及ばない。ベロは女帝モリハーサの魔闘士ウェロックのことを「洗練された外交家」と呼ぶが、「破壊学の強力な研究者」とは呼ばない。帝都魔闘士を正しく識別できたことに関してはベロに祝いの言葉を送るが、破壊学に関するウェロックの技術の例は多くの書面に残されている。例を挙げると、賢者セララスは、ウェロックが吸血の雲をブラックローズの反乱軍に対して唱え、彼らの腕力と技術を味方に移したことを長く書き綴っている。これは何であるか? 破壊学の素晴らしい実例以外の何ものでもない。
ベロは哀れにも、ジャガル・サルンを実力の低い魔闘士として挙げている。気の触れた裏切り者を理性的行動の例に使うのは受けいれ難い見解である。ベロは何を希望しているのか? &tooltip(サーン){"Tharn" ジャガル・サルンのこと}に
2012-05-26T14:47:00+09:00
1338011220
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書物/ジール城の恐怖
https://w.atwiki.jp/oblivionlibrary/pages/271.html
#blockquote(){ジール城の恐怖
─幕物
バロス=クル 著
登場人物
クラヴィデス、帝都衛兵隊長 シロディール民
アナーラ、ダンマーの侍女
ユリス、帝都衛兵副隊長 アルゴニアン
ゾラッサ、若きアルゴニアン魔術師
深夜。洗練された家具やつづれ織りで十分に飾られている、スキャス・アヌド城の玄関大広間で芝居は幕を開ける。松明だけが唯一の明かりをもたらしている。広間の中心には、城への正面入り口である大きな鉄の扉が立っている。上の踊り場へと続く階段は扉の横にある。舞台左手には、今は閉じられている図書室への扉がある。舞台右手には、もうすこしで部屋の天井に届く、20フィートもの巨大な鎧の1式が立っている。誰も見えないが、女性の歌声が図書室の扉から伝わってくる。
正面扉を叩く大きな音。歌をやめる女性。図書室への扉が開き、何の変哲もない侍女、アナーラが部屋から出てきて正面扉へと急ぐ。インペリアルの制服をまとった見栄えの良いクラヴィデスが目の前に立つ。
アナーラ: こんばんは。
クラヴィデス: こんばんは。ご主人はいるかね?
アナーラ: いいえ、不在です。いるのは私だけです。私のご主人様であるセデゥーラ・ケナ・テルヴァンニ・ホルダルフ・ジール様は避寒地にいます。私で何かのお役にたてますか?
クラヴィデス: かもしれない。入ってもいいかね?
アナーラ: どうぞ、お入りください。フリンでもお持ちしましょうか?
クラヴィデスは広間に入り、あたりを見回す。
クラヴィデス: いや、結構。名前は?
アナーラ: アナーラです。
クラヴィデス: アナーラ、ご主人はいつスキャス・アヌドを発った?
アナーラ: 2週間以上前です。なので、私しか城にはいないのです。閣下にお仕えする他の召使いや奴隷たちはみんなご主人様に同行しています。何かあったのですか?
クラヴィデス: うむ、あったのだ。サル・カリファという名のアッシュランダーを知っているかね?
アナーラ: いいえ。知りません。
クラヴィデス: では、これからも知ることはないな。彼は死んだのだよ。数時間前、アッシュランドで凍傷によって死にかけているところを発見されたのだ。彼は狂乱していて何を言っているのかほとんど理解できなかったが、
2011-11-07T21:28:23+09:00
1320668903
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書物/氷とキチン
https://w.atwiki.jp/oblivionlibrary/pages/270.html
#blockquote(){氷とキチン
プレティアス・スパテック 著
物語の舞台は第二紀855年、タロス将軍がタイバー・セプティムを名乗り、タムリエルの征服に乗り出した頃にさかのぼる。その配下の指揮官の一人であるイリオロスのビアティアは、皇帝と謁見した帰り道、待ち伏せにあって驚かされることになった。彼女とその警護に当たる5人の兵士はかろうじて難を逃れたが、本隊からはぐれてしまった。みぞれの降る荒涼とした崖の岩場を、彼女たちは徒歩で進んだ。襲撃があまりにも急であったため、鎧を着る暇も馬に乗る暇もなかったのだ。
「ゴルヴィグの尾根まで行くことができれば…」と、かすみの向こうに見える峰を指さしながらアスカタス中尉が叫んだ。その声は風にかき消されてようやく分かる程度だった。「ポルフナックに駐留させた軍隊と合流できるはずです」
ビアティアは岩だらけの地形を見渡し、風にさらされ霜に覆われた木々へと目をやり、首を振った。「こっちには行けないわ。山に着くまでの道を半分も行かないうちにやられてしまうもの。木の間から、敵の馬の白い息が見えるでしょう」
彼女はゴルヴィグの尾根とは入り江を隔てて反対側にある凍てつくネローン地峡の、天守の廃墟へと警護の者たちを導いた。突き出した岩の岬に建つそれは、スカイリム北部にある他の多くの見捨てられた城郭と同じように、アカヴィル大陸に対する防御用の盾としてレマン・シロディールが築いたものの名残だった。目的地に辿り着いて火を起こしていると、ダンストラーの酋長たちが立てる音が後方から聞こえてきた。ビアティアたちが今いる場所から南西の位置に敵がキャンプを張ったことにより、彼女たちの退路は海以外になくなった。ビアティアが廃墟の窓から霧に覆われた海を見つめている間、警護の者たちは天守の貯蔵品を調べて回った。
彼女は石を放り投げ、それが霧をわずかに引きずるようにしながら氷の上を跳ね、水しぶきを立てて裂け目に落ちるのを見ていた。
「食料も武器も見当たりません、指揮官殿」と、アスカタス中尉が報告した。「倉庫には鎧が積まれていますが、長く風雨にさらされてボロボロになっています。果たして使えるものが掘り出せるかどうか……」
「ここにいても長くは持ちこたえられない」ビアティアが答えた。「夜になれば我々が脆弱になることをノルド
2011-11-07T21:18:43+09:00
1320668323
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書物/鍛冶の試練
https://w.atwiki.jp/oblivionlibrary/pages/269.html
#blockquote(){鍛冶の試練
マイモフォナス 著
300年前、それはダンマーがタムリエル全土を支配した最初で最後のことであったが、カタリアは女帝の地位に就くと、帝都議会の反対意見に直面することとなった。彼女の夫であるペラギウスが精神の治療を受けている間、いかに夫に代わって摂政をきちんと行うと説明したところで、依然議会の攻勢は衰えなかった。特にヴェンゲト公爵や従士ミングルマイアーは喜々として女帝の実践的知識のなさを世間に知らしめようとした。
そのいい例が、カタリアと議会で行ったブラック・マーシュの不安定な情勢やアルマニア近郊での帝都軍の大敗についての協議である。沼地や夏の間のうだるような暑さは従来の武器を身に着けた兵士を危険にさらす恐れがあった。
「腕利きの鍛冶屋を知っています」と、カタリアは言った。「彼の名前はハザジール、アルゴニア人で我が軍が直面している状況を熟知しています。私は彼が鍛冶屋の親方の下で奴隷として働いている時にヴィヴェックで知り合ったのですが、今は自由の身となり、帝都に移り住んでいます。ぜひ彼に今回の作戦に適した武具を作ってもらいましょう」
これを聞いたミングルマイアーは突如大きな笑い声をあげ、「女帝が我が軍に持たせる武具を奴隷に作らせようとは! 帝都で一番優秀な鍛冶屋と言えばシロラス・サッカスです。それはみなが知っています!」と言った。
長い議論の末、2人の鍛冶屋にこの任務をめぐって競わせることになった。議会は力と腕前が同じくらいの2人の戦士、ナンドール・ベライドとラファラス・エールを選び出し、実戦さながらに武装させ2人を戦わせることにした。その勝者が身に着けていた武具を作った鍛冶屋がこの勝負に勝ったものとし、今回の依頼を引き受けさせる。ベレイドはハザジールの武具を、エールはサッカスの武具をそれぞれ身に着けることになった。
勝負は7日後に執り行われることになった。
シロラス・サッカスは早速、作業に取り掛かった。もっと時間が欲しかったが、彼は今回の試験の本質を見抜いていた。アルマニアにおける現状は差し迫ったものである。帝都は早急に鍛冶屋を選び出したいのだ。そして選ばれたあとも、ブラック・マーシュにいる帝都軍のため早く、最上の武具を作らねばならぬ。彼らが求めているのは単に優秀な鍛冶
2011-11-04T22:11:06+09:00
1320412266
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書物/ケメル・ゼーの廃墟
https://w.atwiki.jp/oblivionlibrary/pages/268.html
#blockquote(){ケメル・ゼーの廃墟
ロナルド・ノードセン 著
帝都協会で浴びた拍手喝采がまだ耳に残っているうちから、私はもうモロウウィンドへ戻る決心をしていた。帝都での贅沢な暮らしが名残惜しくないと言ったら嘘になるが、ラレド・マカイから持ち帰った驚きなど、モロウウィンドにあるドワーフの遺跡の上っ面をなぞっただけのものでしかない。あそこにはまだ目を見張るような宝が埋もれていて、掘り起こされるのを待っているのだ。出発しないわけにはいかなかった。それに、哀れなバナーマンの示唆に富む前例もあった。二十年前、ブラック・マーシュで一度きりの発掘を行い、今になってもそのおこぼれで食いつないでいるような男になるつもりなどない。私はそう誓ったのだ。
女王の手紙を持っていたので、今回ばかりは帝都政府も全面的に協力してくれそうだった。もう、迷信深い地元民に襲われる心配もない。が、いったい次はどこを探せばいいのだろう? ケメル・ゼーの廃墟は妥当な選択だった。ラレド・マカイのように廃墟にたどりつくまでが苦しいということもない。“崖の街”としても知られるケメル・ゼーはヴァーデンフェル断層の本土側にあって、断崖絶壁の海岸線のたもとに広がっている。ヴァーデンフェルの東海岸からなら海路で訪れるのが一般的だが、近くの村から陸をとっても、余計な苦労を背負い込むことなくたどりつける。
探検チームがセイダ・ニーンに集結すると、こうした文明の遅れた土地での作業につきものの面倒をうんざりするほど抱えたまま、私たちは廃墟にほど近いマログの村へと出発した。発掘の作業員はその村で雇えばいいだろう。私の通訳を担当するツエン・パナイはダークエルフらしからぬ陽気な男で、地元の軍司令官から推薦されてセイダ・ニーンで雇ったのだった。パナイいわく、ケメル・ゼーを熟知しているマログの村人たちは、祖先の代からあの廃墟を荒らしているらしい。ついでだが、テン・ペニー(その場でつけた彼のあだ名で、本人も気に入っていた)は雇っても後悔させない男で、モロウウィンドの原野への似たような探検を考えている同僚がいたら、ためらうことなく彼を推薦しようと思う。
マログ村で最初の困難にぶつかった。控えめで気品のある村の長は快く協力してくれそうだったが、村の僧侶(この地で信仰されている、モロウウィンドの王宮に住
2011-11-04T22:07:15+09:00
1320412035
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書物/西の歪み
https://w.atwiki.jp/oblivionlibrary/pages/267.html
#blockquote(){西の歪み
報告編集:ウルヴィウス・テロ、ブレイズ公文書保管係
極秘事項
閣下のウェイレスト王宮への大使任命の儀に、お祝いの言葉を申し上げます。
閣下がお尋ねになられた第三紀417年の「西の歪み」に関して、現存するブレイズ報告の再調査、およびそこの現在状況に関する要約書であります。
閣下は当時、ブラック・マーシュにてソソリウス提督に幕僚として仕えていたため、「平和の奇跡」と位置づけられている期間や、これらの事象を帝都公表や聖堂布告からしかご存知ないかと思います。公式説明によると、「平和の奇跡」の間、以前は戦争によって破壊されていたイリアック湾領域は、小競り合いを続ける貴族領や小規模王国の寄せ集めから、一夜にしてハンマーフェル、センチネル、ウェイレスト、オルシニウムの平和で近代的な郡に変貌しました。「西の歪み」としても「平和の奇跡」は知られ、問題の多いこの地域を平和で、しっかりと統治された帝都の郡に変えようとしたステンダール、マーラ、アカトシュの奇跡的介入の結果として祝われています。この奇跡に伴った壊滅的な地形や所有物の崩壊、そして失われた多くの命は「悲劇、そして人智のおよばぬところ」として理解されています。
この報告が現在の境界線の正当性を立証、および裏づけており、「九大神による任命」によってこれら郡の支配者や境界線が特定されていますが、「平和の奇跡」は太古の小規模領地や主権国家を平和的に合併し、従順な帝都管轄区域にしようとする帝都の目的を果たしています。この事象による他の驚くべき特徴は── 集団失そう、軍が不可解に何百マイルも移動させられるか、またはその全滅、巨大な嵐、天象、特定の場所の時間の途切れ── これらの事象は非常に大きく、不可思議な神の干渉であると言う概念に当てはまります。
しかしこれは、これらの事象の公の報告であり、おそらくは閣下が疑われているように、他の多くの報告とは矛盾しています。単純に言いますと、これらの説明は帝都の方針に都合よく、歴史的妥当性に欠けています。
閣下にお知りおきいただきたいのは、ブレイズはこれらの事象に対するもっともらしい歴史的説明はないと結論付け、今後ももっともらしい歴史的説明は生まれないであろうと絶望ししています。ブレイズの結論は、事象の程度は説
2011-11-04T21:57:25+09:00
1320411445