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豊国 ミロ@レンジャー連邦

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『お弁当を作ろう!』



豊国ミロは困っていた。

お見合いに当選…したのは嬉しいものの、彼女にはおそろしく恋愛関連の経験がなかったのだ。

「な、何を話せばいいんだろう…」

初めて会う人とと何を話せばよいか、これはわかる。
差し障りのない会話というのもできると思う。

しかし、それが好きな相手となると別だ。ミロの中には『好きな人とする適当な話題』なんてデータの蓄積はなかった。
特に今回は最初で最後とも言えるチャンスである。失敗できないのである。

「うおー!ど、どうすればいいんだよう~!!」

外見だけは小奴秘書官を始めとする女性陣が磨き上げ、別人のようにお肌つやつやに変わったものの…中身はそう簡単に変えられるはずもなく。

せっかくきれいに結ってもらった髪を自ら手でかき乱してぐちゃぐちゃにしながら、おめめ@@にしたミロは図書室に駆け込んだのだった。

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『彼を夢中にさせる100の方法』
『どんな男もこれでイチコロ!女の武器レクチャー』
『エレガントに男を仕留める方法』
『愛の秘術』
『恋の占いと呪い大全』
『愛のソックスQ&A』

「…む…無理です…ハードルが…高いです…」

図書室にて恋愛に関する本を読み漁ったミロは撃沈していた。

流し目とか誘うようなセリフとか気があることを匂わせるとか、そんな高等テクニックなんて自分には無理だ。無理ーむりむりむりむりぃー!
それ以前の問題なのにッ!!

「参考にならないー!誰だこの本入れた奴ー!」

ミロはぐれた。閲覧デスクになついてぐれにぐれた。
しかし神様も彼女を少しは哀れに思ったのか、救いの手を差し伸べたのである。
机に突っ伏した衝撃でたまたま開いたページを見て、ミロはこれだ、と直感した。

「こ、これならできるー!うわーん」

その本をひっつかみミロは王城の食堂に突進していった。

「…か、貸し出し…手続き…」
後には、呆然とした顔の今日の図書当番猫士だけが残された。
その日の就業日誌には『ぷんぷん!』と最近の利用者マナーについての愚痴が書き綴られていたという。

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「なに?好きな人にお弁当を作りたい?」
「まあ胃袋を最初に押さえるってのはいい手だよ。なんたって食事は生活の基本だからね」
「よーし、あたしたちに任せときな!簡単でうまいのを作ってやるからね!」
「ダメだよぉ、きよちゃん。ミロちゃんが自分で作らないとね~」
「あーらそうだ、ズルさせるところだったよ~あははははは!」

そう、ミロは食堂のおばちゃんたちに頼み込み、彼女らに教わりながらお弁当を作ることにしたのである。

(できること…できること少ないから、お弁当だけでも作ろう…!)

それで、おいしいって言ってもらえればいいな。もう、喜んでもらえるだけでいいや~。

緊張のあまり逆に無欲になりつつ、ミロは慣れない料理を始めたのだった。

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○●食堂のおばちゃんにならった弁当●○


ごはん
  • ちらし寿司
  ~ポイント~
   ・鯛そぼろがのっている
   ・ハート型にくりぬいたのりをのせている

ミロ    「ハート型なんて、ちょっとはずかしいようおばちゃん…」
おばちゃんA「なーにいってんの!かわいいじゃない」
おばちゃんB「こんくらいしても平気よー。あ、鯛はあたしらからのご祝儀だからね!」


おかず

  • ポテトサラダ(ミニトマトつき)
  ~ポイント~
    ・まだポテトが熱いうちに玉ねぎをまぜる。シャキシャキ感が残りつつも火が通って辛味が半減
    ・レモン果汁を少し加えて爽やかな風味に

  • カリカリチキン
  ~ポイント~
    ・しっかりと塩コショウして下味をつけること
    ・皮のある方を下にして裏返さず弱火でじっくり焼く。フライパンの温度が上がりすぎないよう、ときどき濡れ布巾の上において冷ますこと
    ・にじみ出てきた油はクッキングペーパーで小まめにとる。これで皮がパリパリに

  • ピーマンのおひたし
  ~ポイント~
    ・少し料理酒を入れて風味を豊かに

  • たまご焼き
  ~ポイント~
    ・砂糖の量が多いと焦げやすくなるので注意

ミロ    「こ、こげた!たまご焼きが…!@@」
おばちゃんC「あ~、砂糖入れすぎたのねえミロちゃん」
ミロ    「甘いのが好きだったんだもん…うう…(がっくり」
おばちゃんD「まーまー、気にしない気にしない。手作りって感じがしていいじゃない!」

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「…ちゃ、ちゃんと渡せますようにー!赤・緑・黄色はなんとかそろえたよー!」

手作り弁当をしっかりとかかえ、おばちゃんたちの声援を背中に受けながら、ミロはよろよろとお見合い会場へ向かった…

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