ダクテュロス調六脚韻(Dactylic hexameter)とは古典詩における韻律の形式のひとつである。ダクテュロス調は詩脚の形の一つであり、「長短短」の音節で脚が構成される。この韻律はギリシャ語とラテン語の古典叙事詩に現れ、その最も古い例はホメロスのイリアスやオデュッセイア、そしてウェルギリウスのアエネイドである。
この韻律では、ひとつの行が六つの脚よりなる。厳格なダクテュロス調六脚韻では、どの脚もダクテュロス調であるべきだが、実際の作品ではスポンデイオス調の脚(「長長」)で自由に置き換えることを許されていた。特に最初の4つの脚はダクテュロス調とスポンデイオス調のどちらでも自由であり、5つ目の脚はだいたいダクテュロス調(ホメロスでは95%の割合)、そして最後の脚は常にスポンデイオス調だった。
よってダクテュロス調六脚韻の一行はふつう次のような形をとる。(―は長音節、uは短音節、Uは「長」「短短」のどちらでも良い)
よってダクテュロス調六脚韻の一行はふつう次のような形をとる。(―は長音節、uは短音節、Uは「長」「短短」のどちらでも良い)
― U | ― U | ― U | ― U | ― uu | ― ―
全ての古典詩には、ブレヴィス・イン・ロンガ(行の最後の短音節を長音節と見なすこと)という現象が見られるので、実際には最後の音節は長短どちらもありうる。