オデュッセイアを読む@wiki

オデュッセイア

最終更新:

diktaion

- view
だれでも歓迎! 編集
オデュッセイア(odyssey)はイオニアの詩人ホメロスの作とされる、イリアスと並ぶ古代ギリシャの二大叙事詩の一つである。作品の成立は紀元前8世紀から6世紀とされる。イリアスの続編であるこの詩は、主にトロイア戦争終了後にギリシャの英雄オデュッセウスが故郷イタカへ帰還するまでの長い流浪の旅を描いている。西洋文化の基礎をなす作品である。


解説

  • 元来の詩はアオイドスラプソードスの口頭の語りによって作られた。
  • 古代の詩がどのように歌われていたか、口伝の語りから著述された作品へどのように転換したか、などは古くから論議されている。
  • ダクテュロス調六脚韻で書かれた12,110行よりなる。
  • 第1~4歌は「テレマキア(Telemachy)」として知られる。若者テレマコスの試練と旅を描いている。
  • 第9歌は「キュクロペイア(Cyclopeia)」と呼ばれる。
  • 第11歌は「ネキュイア(Nekuia)」として知られる。ネクロマンシー(死者の降霊)の儀式と信仰を描いている。
  • 第9~12歌は「アポロゴイ(Apologoi)」と呼ばれる。オデュッセウスの“物語”という意味である。
  • 第22歌は「ムネステロフォニア(Mnesterophonia)」と呼ばれる。“求婚者の殺害”という意味である。
  • 英語では、オデッセイ(odyssey)は叙事詩的な航海記を指すようになった
  • イリアスよりオデュッセイアは遅く成立し、かつそれぞれの編纂者が異なるという説がある(ホメロス問題)。


時間経過

オデュッセイアは冒頭から最後までが40日間の物語である。(48や49日という説もある)

1日目 神々の集会で、アテナゼウスオデュッセウスの帰国を嘆願する。アテナはイタカテレマコスを訪ね、求婚者に立ち向かい、父の消息を求めてネストルを訪ねるよう助言した。(第1歌
2日目 テレマコスイタカ人の集会を開いて求婚者の悪行を訴えた。求婚者の圧力で集会は解散した。アテナは船と乗員を用意してやり、テレマコスは夜に出航した。(第2歌
3日目 テレマコスネストルの許に着いた。ネストルはイリアス以降のギリシャ人たちの運命を語り、テレマコスをもてなした。(第3歌
4日目 テレマコスペイシストラトスは馬車でスパルタへ向かった。ディオクレスの屋敷に泊まった。(第3歌
5日目 さらに馬を進めた。(第3歌
夕方、彼らはスパルタに到着した。メネラオスは彼らをもてなし、トロイアオデュッセウストロイの木馬の思い出話をした。(第4歌
6日目 メネラオスは海の神プロテウスから聞いたオデュッセウスの消息を話し、テレマコスは父が生きていることを知った。一方イタカでは、求婚者がテレマコスの待伏せを企んだ。(第4歌
7~31日目 オデュッセウスカリュプソの許を筏で発ち、難破して海上を漂流し、スケリア島に着いた。(第5歌
32日目 オデュッセウスナウシカアに会った。(第6歌
オデュッセウスはアルキノオスに会った。(第7歌
33日目 オデュッセウスパイエケス人たちと交歓した。(第8歌
オデュッセウスは冒険談を語った。(第9101112歌)
34日目 オデュッセウスパイエケス人に送ってもらいイタカへ向かった。(第13歌
35日目 オデュッセウスイタカに着いた。(第13歌
オデュッセウスは豚飼いのエウマイオスに会った。(第14歌
アテナスパルタテレマコスに帰国を促した。(第15歌
36日目 テレマコスピュロスからイタカへ向かった。(第15歌
37日目 テレマコスイタカに着いた。(第15歌
テレマコスはオデュッセウスと再会を果たす。求婚者を討つ計画を立てる。(第16歌
38日目 テレマコスは屋敷に帰還した。乞食姿のオデュッセウスと豚飼は後から屋敷に行った。(第17歌
オデュッセウスは乞食のイロスとけんかをした。日が暮れて求婚者は帰宅した。(第18歌
オデュッセウスは屋敷の武器を隠した。オデュッセウスは乞食姿でペネロペと対面した。ペネロペは彼の正体に気づかなかったが、老女エウリュクレイアは足洗いの場で彼に気付いた。(第19歌
39日目 屋敷では朝から求婚者の宴会。忠義の牧人ピロイティオスがやって来た。アテナは求婚者を狂乱状態に陥れた。(第20歌
ペネロペは弓の腕競べを求婚者に提案し、優勝者に嫁ぐことを約束した。求婚者は試みるが誰も成功しなかった。オデュッセウスが名乗り出て弓を試し成功した。(第21歌
求婚者全てを討ち殺し、屋敷の不忠の者たちを処刑した。(第22歌
オデュッセウスはペネロペと再会を果たした。(第23歌
40日目 オデュッセウスは父ラエルテスの農園を訪ねて再会を果たした。求婚者の遺族たちが襲ってきたが、主導者エウペイテスがラエルテスに討たれ、両者は和解した。(第24歌


オデュッセイアの地理



オデュッセイアの舞台はペロポネソス半島および現在のイオニア諸島である。古くから現代に至るまで、オデュッセウスが訪れた場所が実在するかしないかは、学者たちによって議論されている。


主要登場人物

()カッコ内は、人物が登場する巻数。登場の多い人物については、これを略す。

オデュッセウス イタカの王。トロイア戦争後、二十年におよぶ放浪の旅をする。求婚者たちを謀殺する。
ペネロペ オデュッセウスの妻。オデュッセウス出征後、無礼な求婚者たちに悩まされ続ける。
テレマコス オデュッセウスの息子。求婚者たちに悩まされている。父の消息を求める旅に出る。
アガメムノン ミュケナイ王。トロイア戦争ではアカイア勢の総大将。帰国後、妻とその情夫に殺害される。(3,4,11)
ネストル ピュロス王。旅をするテレマコスを歓待する。(3,15)
メネラオス スパルタ王。テレマコスを歓待し、父親の消息を教える。(4,15)
ヘレネ メネラオスの妻。トロイア戦争の原因となった女。(4)
アルキノオス パイエケス人の王。スケリア島に漂着したオデュッセウスをもてなし、故国へ送り届ける。(7,8,13)
アレテ アルキノオスの妻。賢明な王妃。(7)
ナウシカア アルキノオスの娘。スケリア島に漂着したオデュッセウスを助ける。(6,8)
エウマイオス イタカの豚飼。オデュッセウスに忠実な下僕。求婚者討伐で戦う。(14~)
ピロイティオス イタカの牛飼。オデュッセウスに忠実な下僕。求婚者討伐で戦う。(20~)
エウリュクレイア 屋敷の老女。オデュッセウス親子の乳母。
アンティノオス 求婚者のリーダー。
エウリュマコス 求婚者のリーダー。
ポリュペモス キュクロプス(一つ目の巨人)。オデュッセウスに目を潰される。(9)
アイオロス 風の神。島にやってきたオデュッセウスをもてなす。(10)
カリュプソ 女神。島に漂着したオデュッセウスを助け、愛する。(5)
キルケ 魔女。オデュッセウスに魔法を破られ、愛するようになる。(10,12)
ゼウス 神々の主。
ポセイドン 海を司る神。オデュッセウスに怒り、帰国を邪魔する。
アテナ オデュッセウスを守護する女神。
ヘルメス 神々の伝令役。(5,10)


概要

テレマコスの旅(第1~4歌)



テレマコス、旅を決意する  流浪のオデュッセウスを故郷イタケに帰国させることが神々の集会で決まった。アテナが賢者メンテスに扮してオデュッセウスの屋敷を訪ねると、彼の妻ペネロペへの求婚者たちが宴会に興じて屋敷の財産を食いつぶしていた。アテナはテレマコスに、集会を開催して求婚者の悪行を訴えることと、父の消息を尋ねて旅することを勧めた。テレマコスは求婚者たちに、明朝集会を開催して彼らを糾弾することを宣言した。(第1歌

テレマコス、父を探す旅に出る  翌朝、テレマコスアカイア人の集会を催し、求婚者の悪行を訴えた。アンティノオスエウリュマコスを中心とする求婚者たちは、ペネロペが求婚に応じないのが悪いと主張した。結局、求婚者の圧力の前に、集会の効果はなく散会となった。テレマコスはその晩、後見人メントルと共に船で旅に出発した。(第2歌

ネストルに会う  テレマコスピュロスネストルに会った。ネストルはトロイアからの帰還の様子を語ったが、オデュッセウスの消息は知らないという。ネストルはアガメムノンの最期を語り、メネラオスを訪ねるよう助言した。テレマコスはペイシストラトススパルタへ出発する。(第3歌

メネラオスに会う  テレマコスペイシストラトススパルタメネラオスと会った。メネラオスとヘレネが、戦場でのオデュッセウスの活躍を語った。メネラオスは海の翁プロテウスから聞いたオデュッセウスの消息を語った。そのころイタケの求婚者たちはテレマコスが旅に出たのを知り、殺害するために待ち伏せを企んだ。(第4歌


オデュッセウスの旅(第5~8歌)



オデュッセウス、故郷へ出発する  ヘルメスによってオギュギアの島の女神カリュプソに、オデュッセウスを帰国させる神々の決定が伝えられた。オデュッセウスは筏を作り海へ出た。ポセイドンが大波を送って筏をバラバラに砕くが、彼は女神レウコテエに与えられたローブを着て泳ぎつづけ、なんとか陸を発見し上陸した。(第5歌

ナウシカアに会う  スケリア島の王女ナウシカアは川へ洗濯に行った。彼女は洗い場でオデュッセウスと出会い、食料と衣服を与えて彼を助けた。ナウシカアはオデュッセウスを町まで案内すると、人々から誤解されたくないので、しばらく待ってから町に入り王アルキノオスの屋敷を訪れるよう彼にいった。(第6歌

アルキノオスに会う  アテナは少女の姿になってオデュッセウスアルキノオスの屋敷まで導いた。彼が屋敷に入ると、貴族たちの宴の終わる所だったが、彼は妃アレテにすがって助けを求めた。オデュッセウスはそこで歓待を受けると、アレテに問われて、筏で海へ出て漂流の後ここに着くまでのいきさつを話した。(第7歌

パイエケス人と交歓する  アルキノオスパイエケス人の集会の席でオデュッセウスを故国に送ることを提案した。宴の席でデモドコストロイア戦争を歌い、オデュッセウスは落涙した。それから一同は外に出て競技をしたが、オデュッセウスは円盤投げで見事な腕を示した。デモドコスアレスアフロディテの恋物語を歌った。また宴になり、今度はトロイの木馬の物語が歌われたが、オデュッセウスは再び落涙したので、アルキノオスは彼に素性を訊ねた。(第8歌


オデュッセウスの冒険談(第9~12歌)



巨人の国の冒険  オデュッセウスは自分の名前と故国を語り、これまでの冒険を語り始めた。イスマロスの町を攻めたが、手痛い反撃にあったこと。ロートスを食するロトパゴイ族の国に行ったこと。さらにキュクロプス族の国に到り、ポリュペモスの洞窟に囚われたこと。そこで彼は部下を食われながら、策略によって巨人の眼を潰し、辛くも脱出した。(第9歌

キルケの島へ着く  オデュッセウスアイオロスの島で歓待を受け送り出されたが、帰国寸前に風の袋を部下が開けてしまいアイオロスの島に逆戻りした。次にライストリュゴネス族の国に着いて、多くの部下を失った。次に女神キルケの島で一年を過ごした。出発する時彼女は冥府に行ってテイレシアスの予言を聞いてくるよう指示した。(第10歌

冥府行  オデュッセウスの一行はキルケの島を発ち冥府に行き、そこで羊の血を地面の穴に注いで予言者テイレシアスを待った。血にひかれて寄ってくる亡霊たちを退けているとテイレシアスが来て、予言を語った。それから、伝説の時代の高貴な女たちや英雄たちから話を聞いて、一行は冥府を後にした。(第11歌

カリュプソの島へ着く  オデュッセウスは冥府からキルケの島に戻り、故国へ出発した。セイレンの歌う海を通り、怪物スキュラカリュブディスのいる岩を抜け、トリナキエの島に着いた。そこでヘリオス神の家畜を部下たちが殺したため、海上で嵐にあい部下たちは悉く死んだ。オデュッセウスは再びカリュブディスの場所へ戻されるがかろうじて逃れ、女神カリュプソの住む島へ着いた。オデュッセウスの冒険談はそこで終わった。(第12歌


イタケで父子の再会を果たす(第13~16歌)



オデュッセウス、故郷へ帰還する  オデュッセウスパイエケス人の国を発ち、無事イタケの島へ着いた。ポセイドンは怒って、彼を送ったパイエケス人の船を石にして沈めた。オデュッセウスは海辺でアテナに会い、求婚者を討つ手立てを協議した後、乞食の姿に化けることになった。アテナはテレマコスを呼ぶためスパルタへ向かった。(第13歌

オデュッセウス、豚飼に会う  オデュッセウスは乞食姿で忠実な豚飼エウマイオスを訪ね、親切なもてなしを受けた。彼は身分を隠し、作り話の遍歴を語り、オデュッセウスが生きているという噂を語った。豚飼は主人が死んだと思っており、その噂を信用しなかった。(第14歌

テレマコス、故郷へ帰還する  テレマコスアテナに帰国するよう言われ、スパルタを発ち、ピュロスで船に乗ってイタカへ向かった。そのとき予言者テオクリュメノスという男を船に乗せた。アテナの指示に従い待伏せの求婚者を遠回りして避けた。翌朝テレマコスはイタカに着き、豚飼の農場に向かった。(第15歌

父子が再会を果たす  テレマコスエウマイオスを訪ねると、帰国をペネロペに知らせるため豚飼を町へ遣わした。アテナは乞食姿のオデュッセウスを元の姿に戻し、テレマコスと父子の再会をさせた。二人は求婚者殺害の策略を練った。求婚者はさらにテレマコス殺害を企てるが、ペネロペは彼らの非道を責めた。(第16歌


求婚者謀殺の前夜まで(第17~20歌)



テレマコス、帰館する  テレマコスは屋敷に帰館し、母に会った。オデュッセウスと豚飼は後から屋敷へ向かった。オデュッセウスは屋敷の入り口で愛犬と再会した。オデュッセウスは広間で食物を乞うて求婚者の間を回ったが、アンティノオスに足台を投げつけられた。ペネロペは夫の消息を知るために、乞食姿のオデュッセウスと会う約束をした。(第17歌

オデュッセウス、乞食のイロスと格闘する  土地の乞食のイロスがやってきてオデュッセウスに喧嘩を挑んだが、叩きのめされた。ペネロペが求婚者たちの前に現れ、テレマコスの無力を咎め、求婚者たちから贈物を要求した。オデュッセウスはエウリュマコスと口論して、足台を投げつけられた。テレマコスが一同を諌め、アンピノモスがとりなして、求婚者は帰宅した。(第18歌

オデュッセウス、ペネロペと会う オデュッセウス父子は広間の武器を隠す。オデュッセウスはペネロペと初めて対面し、窮状を訴える妃に、うその身の上を語り、オデュッセウスが近く帰国するという。老女エウリュクレイアはオデュッセウスの足を洗う時、古い傷痕を見て、正体に気付くが、オデュッセウスに口止めされる。妃は結婚相手を選ぶため、翌日弓の競技を開催することを明かす。(第19歌

求婚者謀殺前夜のこと 眠れぬオデュッセウスの枕許にアテネが現れ、援助を約束する。翌朝、成功を祈るオデュッセウスにゼウスが吉兆を示す。豚飼エウマイオス、山羊飼メランティオス、牛飼ピロイティオスが屋敷にやってくる。テレマコスは求婚者にきびしく対応する。アテナは、宴会中の求婚者を錯乱状態に陥れる。テオクリュメノスは彼らに訪れる災厄について予言する。(第20歌


求婚者謀殺とその後(第21~24歌)



ペネロペ、弓の引き競べを開催する ペネロペは屋敷で弓の腕競べを開催し、オデュッセウスの弓を用いて、十二の並んだ斧を射通した者に嫁ぐことを約束する。求婚者は次々と弓を試みるが失敗する。オデュッセウスは豚飼と牛飼に正体を明かし、求婚者討伐の協力を求める。オデュッセウスは弓の腕競べに名乗り出て、弓を試みて成功する。(第21歌

オデュッセウス、求婚者を謀殺する オデュッセウスアンティノオスを弓で討ち倒し、求婚者に正体を明かすと、テレマコスと二人の忠実な下僕を従えて求婚者と戦う。アテナの助けもあって、求婚者を全員誅殺した後、不忠の山羊飼や女中を処刑する。そして、惨劇の後を清掃する。(第22歌

ペネロペ、夫の帰還を信じる ペネロペは老女から、オデュッセウスが帰国し、求婚者たちを討ち果たしたことを聞く。ペネロペは容易に信じようとしないが、二人だけが知る寝室の秘密をオデュッセウスが話したので、ようやく納得する。翌朝、オデュッセウス父子と二人の下僕は、ラエルテスの農園へ向かう。(第23歌

オデュッセウス、求婚者の親族と和解する 求婚者たちの霊はヘルメスに導かれて冥界へ降りていく。オデュッセウスは農園で老父ラエルテスに再会する。求婚者たちの親族は、エウペイテスに率いられて農園を襲うが、エウペイテスはラエルテスに討たれ、アテナの裁定によって両者は和解する。(第24歌


各巻の詳細



関連リンク












+ タグ編集
  • タグ:
  • オデュッセイア
  • 書名

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

記事メニュー
目安箱バナー