解説
- イリアスとオデュッセイアは紀元前8世紀ごろ、文盲のアオイドス(歌人)による口頭の語りで作られたものだと考えられている。その群を抜いた才能や、オデュッセイアの内容が意識的にイリアスを補っているという事実によって、両方の詩は一人の作者によるものと推定されている。
- ホメロスという人物についてはっきりしたことは分かっておらず、そういう人物が存在していたという証拠もない。多くの古典ギリシャの詩文がホメロスについて言及しているが、記述は各人各様であり、身元を特定する根拠にならない。
- ハドリアヌス帝がデルフォイの神官にホメロスは実際は何者かとたずねた時、神官は、「彼はイタカの人間で、エピカステとテレマコスの息子だ」と答えた。
- オデュッセイア作中の、作者の自画像と考えられる楽人デモドコスの描写にもとづいて、ホメロスは後世のギリシャ人におそらく盲目であっただろうといわれた。