系譜
解説
- アンティオペはホメロスによるとボイオティアの河神アソポスの娘である。もっと後の時代では、テバイの“夜の”王ニュクテウスの娘(あるいはキュプリアのリュクルゴスの娘)といわれる。ホメロスによれば彼女は純粋なボイオティア人である。
- シキュオンでは、アンティオペはアフロディテの神殿に崇拝の像が祀られるほど重要だった。パウサニアスによると、ただ一人の年長の尼僧が、ロートロフォロス(※結婚や葬儀などの儀式の間、水を入れておく壺)として仕えるため毎年選ばれる一人の少女を伴って、その神殿の胞室(cella)に入ることが許されていた。
エピソード
双子を生む ゼウスは彼女の美しさに魅了され、サテュロスに変身し無理やり彼女を誘拐した(これはゼウスがサテュロスに変化する唯一のエピソードである)。この後、彼女はシキュオンの英雄エポペウスに連れ去られた。彼女の叔父のリュコス(ニュクテウスの兄弟)に強制されるまで、エポペウスは彼女を離そうとしなかった。
テバイへ帰る途中、アンティオペはキタイロン山のエレウテライの付近で双子の兄弟ゼトスとアムピオンを生んだ。アムピオンはゼウスの子で、ゼトスはエポペウスの子だった。双子はそこに残され、牧夫によって育てられた。
テバイへ帰る途中、アンティオペはキタイロン山のエレウテライの付近で双子の兄弟ゼトスとアムピオンを生んだ。アムピオンはゼウスの子で、ゼトスはエポペウスの子だった。双子はそこに残され、牧夫によって育てられた。
迫害され子に救助される テバイではアンティオペはリュコスの妻ディルケから迫害を受け、最終的にエレウテライへ逃亡するが、そこで牧夫となった二人の息子の家へ知らずに逃げ込んだ(これはエウリピデスの劇「アンティオペ」の状況である)。彼女はディオニュソス祭を祝いに来ていたディルケに見つかってしまう。ディルケは二人の青年にアンティオペを牡牛の角に縛り付けるよう命じた。二人は命令に従いかけるが、彼らを育てた牧夫が秘密を打ち明けたため、彼らは代わりにディルケを殺した。エウリピデス劇では、二人がリュコスを殺そうとするところをヘルメスが降臨して制止し、リュコスはテバイの都市カドメイアを二人に譲る。