第4歌 テレマコス、スパルタでメネラオスに会う
内容
メネラオスやヘレネと語らう メネラオスがトロイア戦争での兄や戦友やオデュッセウスの悲運を嘆くと、テレマコスは急に泣き出し、メネラオスはこの若者は何者かと思いをめぐらせる。ヘレネが現れ、テレマコスがオデュッセウスにそっくりなことを指摘する。ペイシストラトスは身分を明かし、トロイア帰還の話を聞かせてもらいにきたと説明した。メネラオスがオデュッセウスとの友情を語り、彼の悲運を嘆くと皆が涙した。ペイシストラトスは嘆いてばかりいないで食事を楽しもうと提案する。ヘレネもメネラオスも戦場でオデュッセウスの働きが見事だったことを称賛した。夜になり皆眠りについた。翌朝、メネラオスはテレマコスに用向きを尋ねる。テレマコスは求婚者に屋敷を荒らされており、父の消息を尋ねてきたことを言う。
オデュッセウスの生存が分かる メネラオスはトロイアから帰還中パロスの島で順風が吹かず立ち往生した話をした。「そのとき女神エイドテエが現れ、海の翁プロテウスの話をきくよう助言した。わしはプロテウスをどうやって捕らえて話をきけるのかエイドテエにたずねた。エイドテエは、海の翁が昼寝する岩屋にあざらしに化けて待ち伏せよと言い、昼寝したら飛びかかって押さえつけ、翁が変身しても離さないようにと助言した。わしらはその通りにして海の翁を捕まえると、いろいろな話を聞くことができた。翁は、小アイアスの死のことと、アガメムノンが殺害されたことを語った。そしてオデュッセウスが仙女カリュプソに引き止められていることを語った。わしらは翁の助言どおりアイギュプトスの河で神への生贄を果たし帰国できたのだった。」
求婚者の待伏せ そのころ、オデュッセウスの屋敷では求婚者たちがテレマコスの旅に気づいた。アンティノオスは怒って、途中で待ち伏せして殺害することを周りに相談する。屋敷の近習メドンはそれを立ち聞きして、ペネロペに告げた。ペネロペは息子の旅を初めて知ると驚き嘆いた。アテナはペネロペの夢枕に、彼女の妹イプティメの姿で現れて慰めた。求婚者たちは船を出して、アステリスの島でテレマコスを待ち伏せた。
関連
人名
テレマコス | 父の消息を尋ねてスパルタへやってきた。 |
ペイシストラトス | ネストルの子。テレマコスを案内してきた |
メネラオス | スパルタの王。オデュッセウスの消息を語る |
メガペンテス | メネラオスの息子 |
ヘレネ | メネラオスの妻 |
ヘルミオネ | メネラオスとヘレネの娘 |
エテオネウス | メネラオスに仕える従士 |
アンティロコス | ネストルの息子 |
アスパリオン | メネラオスの近習 |
アンティノオス | 求婚者のリーダー格。テレマコス殺害を計る |
メドン | 屋敷の近習。求婚者の企みをペネロペに告げる |
エウリュクレイア | テレマコスの乳母 |
イプティメ | ペネロペの妹。アテナが姿を借りる |
デイポボス | トロイア戦争中にヘレネの夫だった |
イドメネウス | 木馬の中にいた |
アンティクロス | 木馬の中にいた |
プロテウス | 海の翁。海の進み方をメネラオスに教える |
エイドテエ | プロテウスの娘。プロテウスの捕らえ方をメネラオスに教える |
小アイアス | トロイアから帰還中にギュライの岩礁で死ぬ |
アガメムノン | アイギストスに殺害される |
アイギストス | アガメムノンを殺害する |
地名
ラケダイモン | スパルタのこと |
パロス | プロテウスの住む島 |