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オデュッセイア19

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第19歌 オデュッセウス、ペネロペとの出会い。足洗いの場

オデュッセウス父子は広間の武器を隠す。オデュッセウスはペネロペと初めて対面し、窮状を訴える妃に、うその身の上を語り、オデュッセウスが近く帰国するという。老女エウリュクレイアはオデュッセウスの足を洗う時、古い傷痕を見て、正体に気付くが、オデュッセウスに口止めされる。妃は結婚相手を選ぶため、翌日弓の競技を開催することを明かす。


内容

オデュッセウス、ペネロペと対面する 広間に残ったオデュッセウステレマコスに「武器をみな奥へ片付けよ」といった。二人は一緒に広間の武器を片付けた。テレマコスは寝室に去り、オデュッセウスは部屋に残っていた。そこへペネロペが降りてきて、炉の傍らに腰をおろした。この時女中メラントがオデュッセウスに「この乞食め、さっさと出ておいき」と毒づいた。オデュッセウスは、「わしも昔は裕福であった。お前も今の栄耀を失わないよう気をつけるのだな」といった。ペネロペもメラントを叱りつけた。「私がこの客人に、夫の消息を訊こうとしていることは、いっておいただろう」ペネロペはオデュッセウスに素性や出身をたずねたが、オデュッセウスは昔を思い出すのが辛いからと答えなかった。

ペネロペ、悲しい身の上を語る ペネロペはいった。「夫のオデュッセウスイリアス目指して出征して以来、近隣の王侯や貴族たちが、嫌がる私を妻にと求め、屋敷を荒らしています。結婚を迫る彼らに私は策をめぐらしました。部屋に大きな機を据え、布を織ることにし、求婚者たちに言いました。『この布を織り上げるまで待ってください。これは老雄ラエルテスが亡くなった時に備えて、弔いの衣裳として織っているものです』そして昼のうちは機を織り、夜はそれをほどくことを続けたのです。三年間、求婚者をあざむきましたが、四年目に恥知らずの女中らの密告で、仕事の現場を押さえられてしまいました。もはや結婚をのがれる口実もありません。両親は私に結婚せよと迫り、息子は求婚者が財産を食いつぶすのを辛がっています。それはともかく、そなたはどこの出身なのか素性を明かして下さらぬか」

オデュッセウス、うその身の上を語る 妃に答えてオデュッセウスがいった。「ではお話しましょう。クレテの王デウカリオンが私の父でした。デウカリオンは私とイドメネウス王の二人の息子をもうけました。私の名はアイトンといいます。私はここで、トロイアへ向かう途中、クレテに漂着されたオデュッセウス王に会いました。私は王を屋敷へお連れして、もてなしました。王はこの地に十二日間滞在しました」オデュッセウスが作り話をまことしやかに語ると、ペネロペは涙にくれて悲しんだ。

老女、オデュッセウスの傷痕に気づく オデュッセウスは、「奥方よ、実は私が先頃聞いたところでは、王はこの近く、テスプロトイ人の土地に息災でおられるそうです。近いうちに必ずお帰りになられるでしょう」といった。ペネロペは、「そなたのいう通りになってくれればよいが。さあ、エウリュクレイアよ、この方の足を洗って寝床に案内してあげなさい」といった。老女は金だらいに湯を注ぎ、オデュッセウスに近づいて、足を洗いかけた時、足の古い傷痕に気がついた。かつてオデュッセウスが、母の父アウトリュコスを訪ねた時、猪の牙にかかって付けられたものであった。

オデュッセウスが猪に傷をつけられた次第 アウトリュコスは名高い盗賊だった。彼がイタカを訪れたとき、孫の名付け親を頼まれた。アウトリュコスは、「わしはこれまで多くの人間に憎まれて(オデュッサメノス)きた。されば、この子にはオデュッセウスという名を付けるがよい」といった。やがて成長したオデュッセウスは、パルナッソスを訪れた。アウトリュコスと妻アンピテエと息子たちは暖かく彼を迎えた。次の朝、アウトリュコスの息子たちは猟に出て、オデュッセウスも彼らに随った。パルナッソス山を越えた所で、巨大な猪が一行の前に立ちふさがった。猪はオデュッセウスの膝の上を、牙で深くえぐった。オデュッセウスは槍で猪の右肩を刺して、これを倒した。皆はすぐに屋敷に戻り、オデュッセウスの傷を手当てしたが、傷が消えることはなかった。


オデュッセウス、老女に口止めする エウリュクレイアは足の傷痕に気づくと、「あなたは間違いなくオデュッセウスさまですね」と泣いた。そのとき、アテナがペネロペの心をほかに逸らしたため、彼女が気づくことはなかった。オデュッセウスは、「婆やよ、誰にも知らせてはならぬぞ」といった。老女はオデュッセウスの足を洗い、油を塗った。オデュッセウスは再び炉のそばに座った。

ペネロペ、見た夢を語る ペネロペはいった。「客人よ、私は二つの道の間で迷っています。このまま屋敷に留まるべきか、それとも求婚者の一人と結婚するべきか。それで、これから話す私の見た夢をきいて、その意味を解いて下さらぬか。屋敷の中で二十羽のガチョウが小麦をついばんでいると、大ワシが山から飛んできて、全部のガチョウを殺してしまった。私は悲しんでいた。そのうち、ワシが舞い戻ってきて、『これは夢ではない。ガチョウは求婚者であり、私はそなたの夫として、求婚者全員に悲運を下すべく、ここに参ったのだ』というと、私は眠りからさめました」オデュッセウスは、「明らかに求婚者全員に破滅が迫っているのでしょう」といった。

ペネロペ、弓の競技の開催を明かす ペネロペは、「もう一つお話することがあります。実は私はこれから斧を使って競技を催そうと思っているのです。以前夫はよく、全部で十二本の斧を一列に並べ、遠くに立って、そこから矢を射通していたものです。私は求婚者たちにこの競技を催してやるつもりです。十二の斧を残らず射通したものに、私はこの屋敷を出て随っていくでしょう」といった。オデュッセウスは、「奥方よ、その競技をお延ばしなさいますな。求婚者どもが斧を射通す前に、オデュッセウス王はここに帰ってこられるでしょうから」といった。それからペネロペは就寝の挨拶をして、女中たちを伴って寝室へ引きあげ、眠りについた。


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