無題（26-a） - 唯澪@ ウィキ

無題（26-a）

「第1回チキチキ！恋人にしたい桜高生発表会～！」
「わー」ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ
「そういえば、学祭でそんなのやってたな…」
「あぁ、ありましたね」

りっちゃんが楽しそうに開会宣言し、それに反応するムギちゃん、澪ちゃん、あずにゃん
私も投票したけど…えっ、誰にって？そんなの…決まってるじゃん

「もう、先輩たちは勉強しなくていいんですか？特に唯先輩と律先輩！」
「グサッ！…うぅ、あずにゃんの言葉が胸に突き刺さります…りっちゃん隊員…」ﾖﾛｯ
「しっかりしろ唯隊員！おのれー、中野め…」
「律先輩…中野って呼ぶの気にいってますね」

あずにゃんの言葉が痛い…でも、勉強ばっかじゃ疲れるもんね！

「まぁまぁ梓、たまには息抜きも必要だよ」
「澪先輩…でも、あのお二人は抜きっぱなしだと思います！」
「はは、そうかもな…でも唯と律も、梓に寂しい思いして欲しくないから賑やかにやってんだよ」

あっ、私がりっちゃんとふざけてる間に澪ちゃんがあずにゃんの傍に…

「そのお心遣いは嬉しいですけど…それで落ちたら私…」
「大丈夫だよ、そうならないために私とムギがいるんだから」ﾎﾟﾝﾎﾟﾝ
「…はいっ、そうですよね！澪先輩とムギ先輩がついてれば安心ですね！」ﾊﾟｱｧｯ

さっすが澪ちゃん！落ち込みそうになったあずにゃん、さりげなくはげましちゃった
ああいう気遣いとか、上手だよねー

「はい！それじゃあ梓が立ち直ったところで、3位から発表しよーっ！」
「わー」ﾊﾟﾌﾊﾟﾌ
「待ってましたー」ﾁﾝﾄﾞﾝﾁﾝﾄﾞﾝ

「澪先輩は誰だと思います？」
「うーん…さっぱりだな」
「わっ、私もです！」ﾆﾊﾟｧｰ

私とムギちゃんでりっちゃんを盛り上げてる間に、あずにゃんはしっかり澪ちゃんの隣キープしてる
それに、あずにゃんすっかり澪ちゃんに蕩けちゃってるし…
あそこは私の場所なのにーっ！
でも…腕組んで立つ凛々しい澪ちゃんの姿拝めるから、これはこれでいいかなっ！

「まず第3位は…うおぉっ！…っしゃ！…軽音部の頼れる部長、田井中律様だーっ！」

「えっ、ホントにーっ？！」
「まぁ…りっちゃん1位じゃなかったの…」

3位の結果に驚く私に残念がるムギちゃん…ムギちゃんは、りっちゃんに入れたんだ

「律が3位か…これは意外だな」
「…律先輩、1人で何票も入れたんじゃないんですか？」
「んだとぉ中野ぉーっ！！投票用紙は１人１枚しか貰えなかっただろぉーが！それに私は自分に入れてねぇーよ！」
「あぁ、そうでしたか…」

りっちゃん、あずにゃんの言葉にキレちゃった
まぁ、普通自分には入れないよね

「まぁ律が3位ってことは、それだけ私たちの演奏を多くの人たちに見てもらえてるってことじゃないか？」
「確かに…そうですね！」ﾊﾟｧｯ

あっ、また澪ちゃんがフォローした…なんか、あずにゃんの目がハートになっているような気が…
むーっ…澪ちゃんは私の恋人なのにー

「澪、良いこと言った！さすが幼馴染だな…さて、気を取り直して私に入れた方々のコメントを読んでみましょう！
『力強ドラムを叩く律さんの逞しい腕に抱かれたい！』ふむふむ…田井中のココ、空いてますよ
『ライトに照らされて光る、律さんの汗がたまりません！』むむっ…これはなかなかフェティッシュな…
『後ろにいても分かるデコの存在感！』これは私というより、デコだろーっ！
『優しくリードしてくれるりっちゃんは、誰よりも紳士です！』んっ、これって？…」

あれ、コメントを読むりっちゃんの手が止まって…ムギちゃんは顔真っ赤だ！

「…コホン。まだまだあるけど、コメントはこれくらいにして…2位を発表するぞーっ！」
「逃げたな」
「あっちで小さくなってるムギ先輩が可哀そうです」

ホントだ。ムギちゃん、いつの間にか部屋の隅っこにいっちゃった

「…ムギは後でフォローするからいいんだよ！…では、第2位は…生徒会長、真鍋和だーっ！」

「おぉ…まぁ、和なら納得かもな」
「そうですね、生徒全員が知ってるでしょうしね」

ふおぉ…和ちゃんが2位なんだー。幼馴染として鼻高々だねっ！

「じゃあ和のコメントを読んでみるか
『スピーチする真鍋会長が素敵すぎます！』まぁそんなとこだろうな
『しっかりしてて、ちょっとドジな和さんが好きです！』あぁ、確かに和は抜けてるトコあるよな
『メガネが好きです』これは…どうなんだ？
『本当はお姉ちゃんが1位ですけど、姉妹で恋人は無理なので1番まともな和さんにしました』…まぁ、これはノーコメントで」

「…だな」
「はい…」

へぇーっ、お姉ちゃんが1位かーっ。憂じゃないよね…だって私、こんなにダメなお姉ちゃんなんだから…

「さて、いよいよ第1位の発表だー（ﾄﾞｺﾄﾞｺﾄﾞｺﾄﾞｺｼﾞｬｰﾝｯ）さぁ、栄えある第1位は…なっ、なぁんとぉ…秋山澪だーっ！」

「えっ、えぇぇっっ！！わ、私ぃ？！」
「やっぱり！澪先輩だと思ってました！」

おぉーっ、さっすが澪ちゃん！やっぱファンクラブがあるだけのことはあるね！
…でも、こんなに人気のある澪ちゃんの恋人が…私なんかでいいのか、不安になるよ…

「な、何でだよ…唯とかいるだろ」ｱｾｱｾ
「まぁお前にとっての恋人は唯だけど、他の子から見たら澪のほうが良いって話だ」
「私のクラスにも、澪先輩のファンがたくさんいますよ！」

澪ちゃん、私の名前を…すっごく嬉しい！こんなことでも、澪ちゃん澪ちゃんの恋人でよかったって思えるよ
さっきまではクールな澪ちゃんが急に焦っちゃって…カワイイなぁ～

「はぁ～…じゃあ、コメント読んでみるか」
「おい、やる気出せよ！」
「そうです！澪先輩に失礼です！」

うぅ…聞きたいような聞きたくないような…

「えーっと…
『ステージで颯爽とベースを弾く姿に見惚れます』これは基本だな
『歌う姿が凛々しすぎます』まぁ、普通だな
『優しくてカッコイイ澪先輩が1番です！』あれ、こ・れ・は…」

「り、律先輩次行ってください！」ｱｾｱｾ

あずにゃんが必死になってる…そうだよね、澪ちゃんが1番尊敬する先輩だもんね

「梓」ﾎﾟﾝｯ
「にゃんっ！」
「ありがとな、嬉しいよ。私も、梓が1番の後輩だよ」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
「ちょ、ちょんでもないですにゃぁ～」ﾃﾞﾚｰｯ

あぁ…あずにゃんに代わって貰いたい！
それにしても、今日のあずにゃんは澪ちゃんにベッタリだなーっ

「まだまだあるぞ…
『教室で、澪様の横顔を見てるだけで幸せです！』これはファンクラブの子か
『澪様と同じ空気を吸えるだけで幸せです！地球に生まれてよかったーっ！』織田○二かっ！
『私もベースになって、澪サマの指技に酔いしれたい』んっ…なんか…
他のは…うん！これくらいにしとこう！」

「そうだな」
「賢明な判断です」

こんなに多くの子から思われてたなんて…どんどん自分に自信がなくなってく…

――――――ｷｰﾝｺｰﾝｶｰﾝｺｰﾝ

「おっ、もう下校時間か。じゃあ、これでお開きだな」
「はぁ、結局練習も勉強もしませんでしたね」
「私たちは帰ってやるから、梓もしっかり練習しとけよ」
「はい！少しでも澪先輩に近づけるよう頑張ります！」

もう終わりかー、澪ちゃんといれる時間も終わり…でも今日は澪ちゃん、あずにゃんと一緒だったから何か物足りない…

それに、さっきから不安な気持ちで…押しつぶされそう

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―――――下校中

あれから、りっちゃんがムギちゃんを復活させてみんなで下校となりました
下校中でも、澪ちゃんはあずにゃんの隣で…
りっちゃんとムギちゃんも二人で楽しそうにしてるし…
わたしは4人の後ろを一人で…

―――――――――――私は、やっぱ澪ちゃんの恋人にふさわしくないのかな？

　　　　　あずにゃんみたいに、可愛い子のほうがカッコイイ澪ちゃんに…釣り合うのかな？―――――――――――

「…んっ？」
「澪先輩、どうかしたんですか？」
「いや…」

あれ、前を歩いていた澪ちゃんの足が止まった…って私、無意識に澪ちゃんのスカートの裾引っ張ってる…はっ、離さないと（ﾊﾟｯ）
あずにゃんは気付いてないみたいだけど

なんでこんなコトしたんだろ…なんて考えてると、澪ちゃんがゆっくりこっちを…

「…」ﾊﾟｸﾊﾟｸ
「えっ？！」
「…」ﾆｺｯ

み、澪ちゃんが何か口パクパクさせて…私に優しく微笑んだ
何て言いたかったのか、分かんない…

「ゴメン、私と唯はよって行くとこあるから今日はここで」

えっ！今日どっか行くなんて、そんなの私聞いてないよ

「そうかー、家の唯に悪いことすんなよー」
「するか！というか、いつから唯はお前の家の子になったんだ」

「あらそう、じゃあまた明日」
「そうですか…お疲れ様です」ﾍﾟｺｯ

「あぁ、また明日」
「み、みんな…バイバイ」

どうしよ、心臓がすっごいドキドキして…上手く言葉が出ない
それに、やっと澪ちゃんと二人っきりになったのに顔を見れないよ…

「さて唯…」
「へぇっ？！な、何…澪ちゃん？」

わわっ、急に声掛けられてびっくりしちゃった

「さっき、何で私のスカートつかんだんだ？」
「あっ、あれは…その…」
「それに、今日の唯はやけにおとなしかったな」
「うん、それはね…」

うぅ…完璧に澪ちゃんのペースだよぉ…

「ちょっと人目につかないとこに行こっか」ｸﾞｲｯ
「ひゃっ！…う、うん」

澪ちゃんったら…強引なだから
でも私が痛くないように、優しく腕引っ張ってくれた
こういう澪ちゃんの優しさ一つ一つが、すっごく嬉しいよ

それに、どんどん好きになっていく…
もうドキドキしすぎて、心臓の鼓動が普通になってる

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―――――――――路地裏

「み、澪ちゃん…暗くて怖いよ」

ホントに…ここは、全然人がいなくて怖いくらい静か…
でも、ここにいるのは澪ちゃんと私だけ…

「…唯」ｷﾞｭｯ
「わぁっ！…み、澪…ちゃん？」

珍しく澪ちゃんから抱きつかれて、すっごくビックリしちゃった…

「今日は寂しい思いさせて、ゴメンな」
「えっ、そんなことは…」
「だから、さっきスカートをつかんだんだろ？」

なんだ、澪ちゃんには全部お見通しかぁー…

「う、うん…ちょっとね」
「ホントにちょっとか？」ｷﾞｭｳｯ

あっ、もっと強く抱きしめられちゃった
…もういいや、澪ちゃんに全部言おう

「…ううん、私嘘言った…」ｷﾞｭｯ
「そうか」
「うん…最初は、澪ちゃんがあずにゃんと仲良く話してるの見てて…寂しくなって
「…うん」
「で、澪ちゃんが1位だって知って…すっごく不安になって…」
「うん…」
「そしたら、私が澪ちゃんの恋人にふさわしいのかなって不安になって…」

澪ちゃんに包まれ、不安を全部吐き出す私…
私、ダメだよね…こんなんで

「バカだな、唯は…」
「えっ…」

抱きしめてた腕を解いて、澪ちゃんが私の顔を見る…うわっ！そんな近くで見つめられると、照れるよ…

「唯が恋人にふさわしくないなんて、そんなはずないじゃないか」
「でもでも、私…」
「むしろ、私が唯の恋人にふさわしいか不安なくらいだよ」
「そ、そんなことない！澪ちゃんは最高の恋人だよっ！」

そうだよ、こんなに素敵な恋人…世界で一人だけだよ

「私も、唯が世界で最高の恋人だよ…」
「そうなの…」
「あぁ…だから私たちは、同じ気持ちだってことだよ」
「でも、澪ちゃんにはファンクラブがあって、みんなが恋人がなりたいって思ってるのに…」

せっかく澪ちゃんが、最高の恋人だって言ってくれたのに…ホント、バカでダメな私…

「…唯！」ｸﾞｯ
「えっ…んっ！…」

んんっ！…澪ちゃん、口に…

「んっ…ん…」
「んんっ…」

路地裏に響く、私と澪ちゃんの吐息

「んっ…はぁっ…どうだ、これでも不安か？」
「はぁ、はあ…う、ううん…」

こんなに長くキスしたの…初めてだよ
それに、もう足がフラフラして…澪ちゃんに支えて貰わないと、立ってられないよ

「私は、唯を信じてるし…唯に信じて貰いたい」
「うん…」
「だから、さっきみたいなことは…もう言うなよ？」
「うん…ごめんね」

なんか、さっきから…頭がボーッっとする

「そうか、よかった」ｷﾞｭｯ
「あっ…」

そして、私は再び澪ちゃんに強く抱きしめられる
…地に足がついてないって、こういうことを言うのかな
体中がポワポワして、空を飛んでるみたい

「…ねぇ澪ちゃん…」
「ん、何だ？」
「もっかい…キスして…」

あれ、無意識のうちに…勝手に言葉が…
私の中で、もっと澪ちゃんを求めているのかな…

「分かった…唯が望むなら、何回でもやるぞ」
「うん…」

そして、要求に応えてくれる澪ちゃん…ホント、優しくて綺麗で可愛くて…カッコイイ、世界でただ一人…最高の恋人だよ！

それから、どれくらいしたか分からないくらいキスをした私たち
キスの後に一人で歩けなくなった私は、澪ちゃんに支えられて帰宅

それから、、澪ちゃんに帰らないでとわがまま言ってそのまま一緒に寝たとこまでは覚えてんだけど…
その後の記憶があんま無いんだよね
だから、朝起きて澪ちゃんと私が裸だったことに更にビックリ！

これは…隣でぐっすり寝ている澪ちゃんが起きたら、何があったか聞かなきゃ！

…でも今は、綺麗な澪ちゃんの寝顔をじっくりと堪能しちゃおっ♪

あんまり寝てると、目覚めのキッスしちゃうからねっ！

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かっこ唯Ver

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