第九歌 巨人キュクロプスの国での冒険
内容
キコネス族の町へ着く オデュッセウスは自分の名前と故国がイタケであることを語り、これまでの冒険を語り始めた。「イリオスからキコネス族の町イスマロスに着いた。私は町を攻め落とした。キコネス族は奥地に住む仲間を援軍に呼んで逆襲してきたが、我らは辛くも船で死地を逃れた。故国に向かっていると船は潮流と風によってあらぬ方向に流された。
ロトパゴイ族の国へ着く 船はロトパゴイ族の国に着いた。彼らはロートスを食べさせてくれた。それを食べた者は帰還のことを忘れて、ずっとここに住みたい気持ちになった。私は彼らを無理やり船に連れ帰り出発した。
キュクロプス族の国で捕われる それからキュクロプス族の国に到った。ある島に船を着けると、私は部下と近くの島を調べに出かけた。そこに洞窟があって、家畜が飼われていた。待っていると巨人ポリュペモスが帰ってきて、巨岩で入口をふさいだ。彼は我らに気づいて、何者かと問うた。私はアカイア人で、助けを求めに来たと言い、船は沈んだと偽った。いきなり彼は部下二名を食べてしまい、横になって寝た。私は寝込みを襲おうかと考えたが、入口の巨石で出て行けないのであきらめた。
ポリュペモスの眼をつぶす 翌朝、ポリュペモスは部下二人を朝食にすると、入口を岩でふさいで出て行った。私は丸太を削って尖らせて隠しておいた。夕方、巨人は帰ってきて、また部下二人を夕飯にした。私が酒を彼に与えると、彼は喜んで私に名前をきいた。私は「誰もおらぬ」だと名のった。彼が酔って寝たので、我らは丸太の先端を熱し、彼の一つ眼に突き刺した。巨人は悲鳴をあげ、付近のキュクロプスたちに呼びかけた。彼らは集まって、誰かに暴力でもふるわれたかと彼に訊ねた。彼は自分を殺そうとしたのは「誰もおらぬ」だと答えた。彼の仲間たちはそれをきくと彼は病気だと思い帰っていった。
キュクロプス族の国を脱出する 彼は入り口の岩をどけて、戸口に座りこんで出てくる者を待伏せた。翌朝我らは羊の腹の下にぶら下がって、羊たちと牧場へ出て行った。巨人は一頭ずつ背中を触れるが、腹の下には気づかなかった。我らは家畜を連れて船に戻り出発した。ある程度進むと、私はキュクロプスを嘲ってやったが、巨人は怒って山の頂を投げつけてきて、危うく船に当たるところだった。私はオデュッセウスであると名のった。彼はテレモスという予言者に、オデュッセウスによって失明すると予言されたことを思い出し悔やんだ。彼は父ポセイドンに私の帰国を阻むように祈願した。我らは仲間の待つ島に戻り、食事をして眠ると、翌朝船を出してその地を離れた。」
関連
人名
アルキノオス…パイエケス人の王
オデュッセウス…冒険談を語る
ラエルテス…オデュッセウスの父
カリュプソ…かつてオデュッセウスをかくまった魔女
キルケ…かつてオデュッセウスをかくまった魔女
ゼウス…オリュンポスの最高神
アポロン…イスマロスの守護神だった
エウアンテス…マロンの父
マロン…イスマロスの祭司
アトレウス…アガメムノンの父
アガメムノン…トロイア戦争の英雄。ギリシャ勢の総大将
ポセイドン…オリュンポスの神
アテナ…オリュンポスの女神
ポリュペモス…キュクロプス族の巨人
エウリュモス…テレモスの父
テレモス…予言者
クロノス…ゼウスの父
オデュッセウス…冒険談を語る
ラエルテス…オデュッセウスの父
カリュプソ…かつてオデュッセウスをかくまった魔女
キルケ…かつてオデュッセウスをかくまった魔女
ゼウス…オリュンポスの最高神
アポロン…イスマロスの守護神だった
エウアンテス…マロンの父
マロン…イスマロスの祭司
アトレウス…アガメムノンの父
アガメムノン…トロイア戦争の英雄。ギリシャ勢の総大将
ポセイドン…オリュンポスの神
アテナ…オリュンポスの女神
ポリュペモス…キュクロプス族の巨人
エウリュモス…テレモスの父
テレモス…予言者
クロノス…ゼウスの父
地名
イタケ…オデュッセウスの故郷の島
ドゥリキオン…イタケの周りの島
サメ…イタケの周りの島
ザキュントス…イタケの周りの島
アイアイエ…キルケの島
トロイア…トロイア戦争の舞台
イスマロス…キコネス族の町
マレイア岬…オデュッセウスの航路がそらされはじめた所
キュテレ…オデュッセウスの航路がそらされはじめた所
ドゥリキオン…イタケの周りの島
サメ…イタケの周りの島
ザキュントス…イタケの周りの島
アイアイエ…キルケの島
トロイア…トロイア戦争の舞台
イスマロス…キコネス族の町
マレイア岬…オデュッセウスの航路がそらされはじめた所
キュテレ…オデュッセウスの航路がそらされはじめた所