桜場コハル作品エロパロスレ・新保管庫

渋々と

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匿名ユーザー

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ナツキ 「あ」
 机に置かれた一枚の用紙を見て、ナツキは眉間にシワを寄せる。
ナツキ (山を張った所がほとんど出題されていない)
 現在ナツキのクラスは、中間試験の真っ只中。
 すでに国語と社会の試験は終わり、今は英語の試験をやっている。
ナツキ (国語と社会もあまりいい手応えじゃなかったな。この調子だと明日の数学と物理も危険かもしれない)
 解答用紙を睨みつけながら、ナツキは渋々とペンを走らせる。
ヒトミ 「……」
 その様子を、一人の女子生徒が見ているとも知らずに。


ヒトミ 「おい、ナツキ」
 三時限目の試験が終わり放課後となった頃、一人の女子生徒がナツキに近づいてきた。
ナツキ 「ヒトミ、なんだ?」
ヒトミ 「お前、今日のテスト3つともダメだったろ」
ナツキ 「それは…」
ヒトミ 「お前試験中、山勘外れたって目してただろ。ずっと見てたぞ」
ナツキ 「お前それカンニング――」
ヒトミ 「そんなことより、ほら」
 ヒトミはナツキにノートを差し出した。
ヒトミ 「どうせ明日の数学と物理のテストも不安なんだろ。このノート貸してやるから勉強し直せよ」
ナツキ 「ピンクの水玉とかっ! いや、恥ず――」
ヒトミ 「いいからほら、分かりやすく書いてあるからっ」
 ピンクの水玉柄のノートを開いて見せる。
ナツキ 「キテ○ちゃんとかっ! いや、ホントいいから!!」
 全ページに有名なキャラクターが印刷されたノートを見て、ナツキはさらにたじろぐ。
ヒトミ 「ったく、ホント仕方がない奴だな。わかったよ、わたしが勉強教えてやるよ」
ナツキ 「何がわかったんだ、何で勉強教えることになったんだ」
ヒトミ 「いいからほら、帰るぞ」
 こうしてナツキは、ヒトミから無理やり勉強を教えさせられることとなった。



ナツキ 「ただいま」
ヒトミ 「お邪魔しまーす」
 ナツキは渋々と、ヒトミを連れて家に帰ってきた。
ナツキ 「まだ誰も帰ってきてないのか…」
ヒトミ 「はやく来いよナツキー」
ナツキ 「おいヒトミ、勝手に俺の部屋に入るな」


ヒトミ 「さー、やるかー」

 ガラガラッ バサバサッ

 ヒトミは自分のカバンの中身を全部机の上に放り出した。
ナツキ 「もっと普通にカバンから出せよ」
ヒトミ 「もう一冊のノートどこに挟んでたか分かんなかったんだよ」
ナツキ 「まったく…」
 ヒトミが散らばらせた筆記用具や教科書や手帳を、ナツキは渋々と整理していく。

 パラッ

ナツキ 「ん?」
 手帳を持ち上げた時、挟んであった写真が数枚散らばってしまった。
ナツキ 「なんだこれは?」
ヒトミ 「これか?前に部活仲間と一緒に海水浴に行った時の写真だよ」
ナツキ 「ふーん…」
 ビーチバレーを楽しむマキやアツコの写真、怪しいボトルを口にしている速水の写真などを、ナツキは一通り目を通していく。
ナツキ 「あっ」
 そして一枚の写真を見た時、ナツキの動きが止まった。
ヒトミ 「ああ、その写真は…」
 その写真は、ヒトミと春香が一緒に写った写真だった。
ナツキ 「……」
ヒトミ 「ナツキ?」
 ヒトミの呼ぶ声にも反応せず、ナツキはその写真を真剣に見つめていた。



ヒトミ 「…はっ!?」
 ヒトミはナツキの目を見て、何を考えているのか読み取った。
ヒトミ (ナツキのあの目は…『写真でもいいけどやっぱり生で見たい』って思ってる目だ!!)
 ナツキの目を見て、そう理解する。
ヒトミ (そんなにわたしのを…ならここは大人らしく!!)
 そして、ヒトミは覚悟を決めた。
ヒトミ 「…わかったよ、そんなに見たいんなら見せてやるよ!」
ナツキ 「…あ?」
 頬をピンク色に染めたヒトミは、上着のボタンに手を掛けた。
ヒトミ 「下は水着じゃないけど、それでもいいなら見せてやるよ!」
ナツキ 「は!?」
 そしてヒトミは上着のボタンを外し始めた。
ナツキ 「おいっ、何やってんだお前っ」
 ナツキは慌てて、脱ぐのを止めにはいる。
ヒトミ 「見たいんだろっ、止めなくていいから!」
ナツキ 「いや何も言ってないから!…あっ」
ヒトミ 「きゃっ!」
 ナツキはバランスを崩し、ヒトミの上に倒れ込んでしまった。
ヒトミ 「いたたた…」
ナツキ 「ん…悪い、ヒトミ」
ヒトミ 「あっ…」
 ナツキの顔がこんなに近くに…。
ヒトミ 「だっ、駄目だから!!」
 ゴキッ
ナツキ 「ぐおっ」
 ヒトミの張り手が顔面に直撃し、ナツキはヒトミの上から吹っ飛ばされた。
ヒトミ 「わ、私にそんなことを求められても…まだ駄目だからぁ!!」
 そしてヒトミは何も持たずに部屋を飛び出す。
ナツキ 「おい待て、ヒトミっ」
 ナツキの呼び止める言葉は届かず、ヒトミは家から出ていってしまった。
ナツキ 「………」



トウマ 「ただいまー」
 程なくして、トウマが帰ってきた。
トウマ 「なあナツキ、さっき女の人がすごい勢いでウチから飛び出していったのを見たんだけど、何かあったのか?」
ナツキ 「いや、なんでもねえ」
トウマ 「なんで鼻押さえてるんだ?」
ナツキ 「いや、なんでもねえ」
 トウマの疑問に答えず、ナツキは自分の部屋へと戻った。
ナツキ 「………」
 ナツキの机の上には、ヒトミが置いていったカバンやその中身が…。
ナツキ 「キテ○ちゃん…それにミッフ○ー…」
 そして数枚と物理のノートが置きっぱなしになっていた。
ナツキ 「…はぁ」
 そしてナツキは、渋々とノートを手に取って、試験勉強を始めるのであった。


おしまい


  • いいね -- 名無しさん (2017-08-15 09:21:54)
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